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あの子は表情筋が死んでいる

その子は至極女の子らしい

この子は愛に一途に生きている

そこの子は正に女王様

あそこの子は神出鬼没な要注意人物

 

欲望に忠実過ぎやしないかい

何でもない顔してそんなことを言う!

すべてその一言で片付けるつもりか

甘い匂いに誘われて

どうしてそんなとこに突っ立ってるの

 

神様さえも殺しかねない立ち姿

ゆらりとも波立たない琥珀の双眸

あたたかさを運んでくる賑やかな足音

含めば死に至る毒のような美しさ

まるで野生動物のような身のこなし

 

時々見せるその表情はどんな感情から?

夢幻へ誘う絶望をひどく甘美に彩って

裏表なんて無いだろう無邪気な笑顔

揺蕩うような足取りで何処へ行くのだろう

木陰で静かに本でも読んでいそうな横顔

 

何が似合うって、何でも似合いそうだ

魔法とか見えない力とか、そんな雰囲気

シャキンと音を立てて笑う鋏は何で錆びるか

舞うように槍を扱い異形のものを自在に操る

獅子の如き一撃で豹の如き身軽さでいたぶる

 

甘く滴る珊瑚の心はとろりと落ちた

舞い散る白花の願いは幸せを望む

闇夜に紛れない黄金は頭上の光

蜂蜜が煌くようにあの日々も輝いて

何にも紛れることのない色彩

 

心がないなんて言われても

地に足がついてないんだってさ

馬鹿だ阿呆だと言われたって笑ってみせて

傲岸不遜にして唯我独尊がサマになる

登場は悲鳴と奇声と共に嵐のように

 

その手にあるカメラの中身をどうするつもり

それは独占欲と言えるのだろうか

いっそ清々しいほどのジャイアニズムだね

駄々こねたってダメなものはダメ

欲しいものは自分で手に入れるんだってさ

 

シンと静かな冬のように

澄み渡る青が眩しい夏のような

舞い踊る黄金が秋の夢幻を映した

サヤと囁く命の微笑が溢れる春

いつだって変わらない風景だった

 

甘い棒付き飴に唇を落として

ふわふわのケーキを頬張った

焼きたてのパイにナイフを入れた

採れたての果実に白い歯が刺さる

紅茶か珈琲かを問う声が聞こえた

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