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雷鳥さんリスペクト

844:本当にあった怖い名無し:****/**/**(殉) **:**:** ID:*********

師父から聞いた話。

 

今ではもう文献にしか残っていない南斗の一門のひとつの寺院は山中にあった。

それだけならば別段珍しくはない、よくある一門の寺院である。

しかしその一門の寺院がある山には祠があり、そこには何かが確かに祀られていた。

ある日、決していたずらに近寄ってはならないとされていた祠に近付いた門弟がふたりいた。

好奇心の抑えられない年頃だったのだろう。

ふたりは祠の扉を開け、中に安置されていた白くてまろい石に触れた。

持ち上げ、日に翳したり宙に浮かせてみたりして、冷たく滑らかな石の感触を楽しんだ。

そして何事もないじゃないかと石を戻し、山を下りようとした時だった。

先に祠に背を向け歩き始めた門弟は足音が自分一人のものしか聞こえていないことに気付いた。

振り返ると、先程までそこに居たはずのもうひとりの姿がなくなっていた。

落ち葉の上には結っていた髪が切られて残されていた。

ひとり残された門弟は半狂乱で山を下り、師父に山であったことをすべて打ち明けた。

師父は憂いた溜め息をひとつ吐いて、「そうか、そうか…今がその時だったか」と言ったという。

それからその一門の門弟が一人消え二人消え、最後に師父が消え、寺院も塵と消えていった。

 

師父は、思えばあの一門はやけに好いことが起きやすいようだったと言っていた。

おそらくその山の何かと契約を交わしていて、それが途絶える時を迎えてしまったのでは、とも言っていた。

39 :本当にあった怖い名無し:****/**/**(義) **:**:**.** ID:*********

もう時効だと思うので少し前の話を。

 

数年前、毎朝使ってる駅で人身事故があった。

その時は小さいけどニュースにもなってたから見た奴もいると思う。

ニュースでは自殺だって言ってたけど本当はそうじゃない。

電車に飛び込んだのは確かにリーマンだったけど、そのひと直前まで普通の顔してた。


 

43 :本当にあった怖い名無し:****/**/**(義) **:**:**.** ID:*********

>>41

毎日おれと同じ電車使ってて、隣のドアのとこに並んでたから顔おぼえた。

 

んで、そのひとその日に限って別のとこに並んでたんだよ。

いつもおれから見て右手側の列に並んでるのに左手側に並んだんだ。

それが何故か一番前。他のとこはもうズラーッとひと並んでんのにそこだけ人が居なかった。

そこまでは何の変哲もないいつもの朝だった。

でも電車がホームに入って来るってところでそのひとがフラッと倒れ込んだ。

自分から飛び込んだとかじゃなくて、引っ張られたって感じだった。

引っ張られて、抵抗せずに身を任せたって感じ。前に腕伸びたりとかしてなかった。

いきなり隣の人が倒れるのが視界に入ったからおれ驚いてそっちの方見たんだよ。

そしたらチラッとそのひとの顔が見えた。

無表情だった。

電車が来てる音とか何も聞こえてない見えてないって感じの顔だった。

不思議なものだよな。そういう瞬間って時間がゆっくり流れてくみたいに風景が見えんの。

ハッとした時にはもう目の前に電車の車体が流れてってた。

さっき見てた人の姿なんてもうどこにもねぇの。

数秒遅れて悲鳴とかざわめきとか、周りが騒ぎだすのが聞こえた。

周り見てみたらさっきまで人が全然いなかった左手側にも他の列と同じくらい人がたくさんいた。


 

46 :本当にあった怖い名無し:****/**/**(義) **:**:**.** ID:*********

あとはもうニュースとか報道の通り。

マスコミとか警察とか野次馬でごった返して大変だった。

 

はたから見ればよくある飛び込み自殺なんだけど、近くで見てたおれとしては絶対に違うと思う。

さっき書いた通り、そのひとホームの中から引っ張られたって感じだったし、

その時だけ様子っていうか雰囲気?がすげぇぼんやり希薄な感じで普通じゃなかった。

あと、これは気のせいかもしれないけど声が聞こえた。

おれがそのひとの方見た時「ふふふ」だか「うふふ」だか、笑い声みたいなのが聞こえた。

 

いまいち怖さとかなくてすまん。

けど最近よくこのこと思い出すし、年単位で時間が経ったから書き込んだ。

近いうちにあのひとが最期に立った場所であのひとのように電車を待ってみるつもりだ。

おれの見間違いや気のせいだったら一番良いと思うんだが…。

何事もなかったらまた報告しに来る予定だ。

 

 

 

※以後、本人と思われる書き込み無し

誘う場所 - 義

944 :本当にあった怖い名無し:****/**/**(妖) **:**:**.** ID:*********

数日前にあったことなんだが、話す相手もいないのでここで吐き出させてもらう。

というのも、周囲に話せるような相手がいない。いなくなった。

 

先日、知り合いとおれ含めた六人で茶でも飲もうかという話になって、喫茶店に集まった。

共通点も少ない、はたから見たら「お前ら本当に接点あるのか」レベルでデコボコしているが。

おれと他の五人はすぐに集まった。元から時間なんかには見かけによらず気を遣うヤツが多いからな。

だがあと一人がなかなか来ない。そいつをRとしよう。

五分十分経っても来る気配がないRにおれは電話をかけた。電話はすぐに繋がった。

R「あ、(おれ)か! 悪い、なんか駅の様子がおかしくて……すげぇ暗いんだよ」

開口一番わけのわからんことを言い出すRに「ハァ?」となった。

おれ「何を言っている……本当にそこは最寄りの駅なのか? 降りる駅を間違えたとかではなく?」

R「いや……駅は間違えていないはずだ。看板とか売店とか同じだし」

人の気配も影も無いものだから少し散策していたらしい。馬鹿かと思った。

とりあえず外に出てみるというヤツの言葉におれはそうしろと言った。思えばこれが間違いだったのかもしれん。

直後、Rはまたも耳を疑うことを言い放った。

R「そろそろS(待ち合わせている五人の一人。年が離れてるくせにRと仲が良い。集合済)も来るだろうし」

あまりに薄暗い無人駅に思わずSに電話して迎えに来てくれと頼んでいたらしい。馬鹿かと思った。

だがおかしい。そもそもSはさっきからずっとこの喫茶店にいて、電話に出る素振りなど一度もしなかった。


 

947 :本当にあった怖い名無し:****/**/**(妖) **:**:**.** ID:*********

こいつは何を言っているんだと本格的に不安になってきた時、電話口の向こうでヤツの引き攣った声が聞こえた。

おれ「おい、どうした。何かあったのか」

R「Sが! Sの目が抉れてっ……! な、なぁこれって救急車呼んだ方が良いのか?呼んだ方が良いよな?」

おれ「は? ちょ、ちょっと待て。落ち着け。何を言っているんだお前」

R曰く、駅を出たら眼窩から血を流したSが目の前に現れたとのこと。色々な意味であり得ない。

Sなら席に就いて珈琲啜りながらもう一人の男とタブレットでオセロをしている。

というか、電話口の向こうからボソボソと複数の人間が囁き合うような音が聞こえてくる。

どういう状況だと思っていると、オセロをしている二人がボソボソ何やらひとりごち始めた。

「俺は足をもらった。腕で這って逃げようとしていた姿は良いものだった」

「俺は心の臓を得た。ただ茫然と立ち尽くしてから顔を歪めたアレは良い」

時々クスクス笑ったりしながらそんなことを言い合っている。意味がわからんし、何より気色悪い。

あと二人の方も、それほど仲が良かったわけでもないのに並んで静かに茶を飲んでいる。

オセロ組の会話になど全く反応していない。悪戯にしては手が込み過ぎている。

いよいよ可笑しいと思ったおれはRに駅の構内に引き返せ、逃げろと言おうとした。


 

951 :本当にあった怖い名無し:****/**/**(妖) **:**:**.** ID:*********

だがおれは言い切れなかった。途中でブッツリと通話が切れた。

その直前に聞こえたのは忙しない衣擦れの音と大人数の足音だった。

しかも電話が切れた直後にRが喫茶店の扉を開けておれたちと合流した。何食わぬ顔で。

手の中の電話はまだ通話の切れた単調な音を漏らしている。

 

おれが動けないでいるとオセロをやっていた二人がやってきたRと平然と話し始めた。

おれにも話しかけてくる。だが目の前のRに違和感しか感じなかった。

なんというか、噓臭い。表情や仕草や、すべてが噓臭い。演技染みたものを感じた。

他の四人も、改めて見ると同じように噓臭く見えた。

その日は適当を言って早めに帰宅したが、その後の電話なんかでも違和感は拭えなかった。

むしろ滅多なことでは連絡を寄越さなかったヤツらがよく電話してくるようになった。

 

あの日以来知り合い五人が全員本人なのかどうか判らん。

共通の知り合いにRやSは最近どうだと話を聞いても間違いなく本人だと断言される。

本人にそれとなく聞いても貼り付けたような笑顔で「何を言っているんだ?」と言われる。

数日前から続いていて、これからもこの得体のしれない何かと付き合っていくのかと思うと気が滅入る。

書いたからどうなるとは思っていないが、一人で抱え続けるにも面倒だ。

あぁクソあいつらどこに行きやがった

得体のしれない知り合い - 妖

77 :本当にあった怖い名無し: ****/**/**(仁) **:**:**.** ID:*********

先日師父に遣いを頼まれ急ぎで南斗の本殿に向かった。

その際、山中の朽ちた廃屋の前を通ったんだが、人影を見た。

はっきりと見たわけではないんだが、視界に白い人影が入った。

なんとなくの感覚で髪の長い女のような気がした。

 

それ以来ことあるごとにその青白い人影が視界の端に入って来る。

他派の寺院に行っても鍛錬をしていてもチラチラと目に入る。

遠くだったり近くだったり、距離は様々だ。

最近では耳元で妙な囁き?のようなものも聞こえてくる。

屋内外関係なくチラついていい加減鬱陶しい。

どうにかしたいのだが、塩でも撒けばいいのか?


 

79 :本当にあった怖い名無し: ****/**/**(次) **:**:**.** ID:*********

>>77

あなたの対応はおかしい


 

84 :本当にあった怖い名無し: ****/**/**(義) **:**:**.** ID:*********

>>77-79

これが本当の塩対応


 

87 :本当にあった怖い名無し: ****/**/**(妖) **:**:**.** ID:*********

>>84

お前は黙っていろ

視界の端 - 若仁

45 :本当にあった怖い名無し:****/**/**(仁) **:**:**.** ID:*********

先日の夜、倉庫で備蓄の整理をしていたら息子がやってきた。

寝起きでまだ寝ぼけているのか、出入り口に立ったままポツリポツリと呟いていた。

けして大きな声ではなかったし距離もあったので詳しいところまでは聞き取れなかった。

ただ、私自身も聞き覚えのない単語が、断片的にだが、聞こえた。

何か言いたいことでもあるのだろうかと思って、一段落したところで話を聞いてやることにした。

 

箱を片付けて、一区切りがついたところで、出入り口に立っている息子の元へ行く。

出入り口に立ったまま、もちろん動いていない。相変わらず何か不明瞭な言葉を呟いていた。

「どうかしたのか? 気になることでも」

と、しゃがんで声をかけたところで、通路の方から声が聞こえてきた。

「父上?」

息子の声だった。

そんなはずは、と思って手を伸ばしても私の前には誰も居なかった。

 

夜も更けた時分であったし、私が寝ぼけていたのだろうか。

そういえば、あの夜以来、耳元で誰かが呟く不明瞭な何かを呟く声が時々聞こえるような気がする。

夜の倉庫 - 仁

359 :本当にあった怖い名無し:****/**/**(将) **:**:** ID:*********

本殿に呼び出された時に旧道場の方へ行った。

旧道場は人の出入りが少ない分静かでいいからな。

その途中、何かを抱えている人間の後姿を見かけた。

こんなところに誰が何の用だと思ったが、面倒なので無視した。


 

361 :本当にあった怖い名無し:****/**/**(将) **:**:** ID:*********

>>360

ぶつぶつひとりごちる声が聞こえてくる背中に話しかけたいと誰が思う

 

まぁ、通り過ぎた直後にゴトンと何かが落ちる音がして振り向いたんだが、

そいつの足元に子供の頭ほどの何かが転がっていた。人形相手に何をしているのか。

声をかけずに良かったと心から思った。

気付かれていたらまず間違いなく面倒なことになっていただろうからな。

面倒事 - 将
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