寒い寒い冬の日。
僕らがまだ緑色の制服を着ていた頃。
その頃は今よりも休日がいっぱいもらえて、よくノボリとポケモンを捕まえに行っていた。
だけど、二人揃ってサブウェイマスターになってからは休みなんてほとんど無くって、
でもバトルは時々しか出来ないから少し暇。
そんなことを考えていると視界に紫炎が揺らめいた。
「んー? どしたの?」
ペンを持ったままデスクで遠い目をしていたらしい僕をシャンデラが気遣う。
「大丈夫。ちょっと考え事してただけ」
「…?」
そういえば、このシャンデラも僕らが鉄道員だった時に出会ったヒトモシなんだ。
今日みたいな寒い冬の日にノボリが「ぬっくいです」とか言ってぬいぐるみにするみたいにぎゅうぎゅう抱きしめて連れてきたんだっけ。丁寧に丁寧に育てられているヒトモシを見て当時は少し嫉妬したものだ。
そして几帳面なノボリに育てられたヒトモシはやはり強く美しいシャンデラへと進化した。
なんて考えながら仕事の邪魔にならないよう、机に置いた制帽で遊んでいたバチュルを指先で撫でると、気持ち良さそうに青い目を細める。可愛いなぁ。……って、いけない、いけない。またギョームホーキしちゃうとこだった。
ノボリが帰って来る前に終わらせるって決めたんだから。
久々にスーパーシングルに挑戦者が来たから、すっごく嬉しそうだった。
……まぁ、他の人から見たらいつもと変わらない表情だろうけどね。
「僕今すっごい本気。だってノボリ嬉しそうだった。紙切れで悲しくさせたくない」
そうだよ。僕だってやればできるんだよ。
みたいなことを考えながらペンを走らせていると、ちらちらと紫炎が視界の端で踊る。
「なぁに? 僕今仕事して…?!」
さっきと同じくシャンデラが炎を揺らめかせているのかと思って顔を上げると、違った。
大量のヒトモシたちが他のポケモンと協力してココアを持ってきてくれていた。
呆然としていると、ごとん、とマグカップが置かれる。優しくて賢い子たちだなぁ。
「…えへへ。ありがと」
なんだか嬉しくなってお礼を言うとヒトモシたちは照れたように紫炎を揺らした。
「さーて。もうちょっとで終わる! がんばろっと!」
ヒトモシと僕
(ってかノボリまじヒトモシ廃)(バチュル廃のあなたに言われたくありませんよ)