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えっちらこっちらするハンソド(エロいとは言っていない)
あのね 滅尽龍の棘をね 整えれば突っ込めると思ったんです

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 クエストから帰った狩人が真っ直ぐに駆けて行く。拠点の指揮を執る総司令――正確には、総司令の近くにいる「先生」の元へ駆けて行く。まるでその日あったことを親に報告しようとする子供のようなその姿を、拠点の者たちは微笑まし気に眼で追う。狩人の後ろをついて走る、プーギーとオトモの姿もそれに拍車をかけていた。

 空から来た5期団、或いは青い星などと呼ばれる5期団のハンターが1期団の先生ことソードマスターに懐いていることは周知であった。口数少なく、表情の変化もわかりにくい青年ではあるが、クエスト出発前と帰還時にソードマスターのところへ足を運んでいれば、その好意は自ずと察せられる。いつからか、時折その手を引いてマイハウスへ招待するようになっても、父か祖父に懐く息子のようだと――実際総司令とその孫と言う前例もあり――皆微笑ましく受け止めていた。だから、今回ハンターがクエストから帰還し、ソードマスターの元へ直行、その手をしっかりと掴んでも周囲は特に驚きなどしなかったのだ。ハンターがチラと総司令の方へ顔を向け、伺いを立てる。特に予定も無し、構わないと頷いて見せれば、ハンターはあれよあれよと片腕を連れて行ってしまった。

「……今日はまた、随分と活きがいいな?」

「丈夫なのと元気なのが旦那さんの取り柄ですニャ。今回もソードマスター先生をお借りしますニャ」

嵐のように去ったハンターに対して、自分はゆっくり戻るつもりらしいオトモが総司令にペコリと頭を下げる。取り残されたプーギーを撫でてやりつつ、あの若さは少し羨ましいなぁと眼を細める。

 

 ハンターがソードマスターをマイハウスへ招いてすることと言えば、武器の取り扱いや手入れ、立ち回りの指南であったり、調査団の話を聞くことが主である。他には捕まえて来た環境生物を披露したりと大体想像に難くないことばかりである。けれど、時々、そうではない目的のために二人でマイハウスへ赴く。

 実に鮮やかな手際で寝台の上で向かい合わされる。互いの装備もそのままに、相手の足を跨いだ膝立ちの格好。回された腕と腹に寄せられた頭部は幼子を思わせて愛らしくも思えるけれど、腰の辺りで動く手は確かに装備を剥いでいるから騙されてはいけない。これは愛らしい幼子などではなく、雄々しい狩人なのだと、ソードマスターは知っている。

「……今回の相手は、それほど猛るものであったか」

狩猟対象が何だったのかは分からないけれど、拠点へ帰還してなお冷めない興奮を訊く。訊けば、ピクリとハンターの動きが止まり、自身を静かに見下ろすソードマスターの顔を数秒見詰め返した。

 腰部の防具を外し、下着ごとインナーを引き下げるだけの状態で構わないと判断する程度にハンターは急いているらしい。ポーチからハチミツを取り出し、ソードマスターの後孔へ防具を外した指先を回した。素肌に垂らされる蜜の冷たさに小さく身体が跳ね、くちりと聞こえた小さな音と体内へ侵入してくる指の異物感に身を竦める。くちり、くちゅ、と動く指に呼吸が振れる。ハンターの肩に置いた手が緩くその肩を掴んでは放してを繰り返す。ゆっくり、落ち着いて呼吸をと、これまでの経験を手繰り寄せながら、ハンターを受け入れられるよう、ソードマスターは協力する。

 しかしハチミツを継ぎ足しながら二本分の指に慣れてきた頃、不意に身体に埋められていた指が引き抜かれた。小さく引き攣った呼吸がこぼれる。少し遡るが、前回行為に及んだ時には指三本分までは慣らされ解されたはず、と回想するソードマスターを余所に、ハンターはポーチからあるものを取り出していた。

 ハクハクと収縮している後孔へ、ハンターはハチミツを纏わせた何かを宛がう。それをゆっくりと埋めていく。指とは違い、堅く冷たいそれから逃げようとするソードマスターの腰を捉え、防具故リップ音はせずとも、薄く震えている腹にキスを落とす。背中が丸められ、より耳の近い場所で聞こえるようになった息遣いにハンターは防具の中で薄らと笑む。奥へ奥へ押し込まれる異物は、その堅さから結局すべてが収められることはなかった。

 深い、と小さく漏らされた声に応えて、押し込んだ異物で胎の行き止まりを軽く突いてやる。するとその身体は面白いように跳ね、動かすなと言わんばかりにそれを締め付けた。こちゅこちゅと戯れのように行き止まりを小突き、モノの先端と堅さを教える。そうして慣れて来たかな、と言うところでハンターは動きを大きくする。勢いよくモノを引き下ろし、すべてが体外へ出る前にモノを押し戻す。

「ッア、ひ、ィッ! ァアアアアア!」

ゴリゴリとやわらなか内壁を突き進む堅い異物に思わず叫声が生まれる。中を勢いよく割り拡げられる腹に顔を寄せていたハンターは、その感覚と音が聞こえたような気がした。

 堅く太い異物で弄ばれ、その衝撃に腰が落ちかける度に軽い平手を与えられていたソードマスターの感覚は蕩けかかっていた。緩く勃ち上がり、しかし決定的な刺激を待ち続ける羽目になっている半身が苦しい。これまでならもう本番――挿入されていてもおかしくないのに、今回は何故。そも、今回、いま使われている物は何だと思考が散っていく。ハンターを窺えども、回らぬ頭で防具に覆われた顔から心情を察するなどできるはずもなく、ただ無機に見詰め返され逃げ場を失う。泣き出したくなるような現状に、ソードマスターはなんとか言葉を紡ぐ。

「も……ッ、かまわぬ、から、挿れ――ぅぁッ、」

途切れ途切れに吐かれた言葉にハンターがソードマスターを見上げる。小さく傾げられる首に加えて、確認するようにコツコツと挿入されている何かで奥を叩かれる。

「それッ、より、そなたが、いい……っ!」

自分はなにを言っているのだろうと思うより早く、視界が回って天井が見えた。カチャカチャと金属が擦れ、シュルリと革が擦れる音。次いでひょこりと現れるのは見慣れた頭部装備。閉じかけた両脚が開き直される。ズルリと異物が引き抜かれた感覚に息を詰めるより早く、開いた孔に今度こそ熱が触れた。

 平時と変わりなく見えつつ、興奮はしっかりとしていたらしい。器用にも下穿きの前だけを寛げ、自身の熱を取り出したハンターはそれを数度扱くと銜えるものを失ったソードマスターの後孔へ先端を埋めた。そしてそのまま進められる腰。触れ合う熱に、安堵のような吐息が溢された。

 

 金属や、防具に使われた鱗や殻がぶつかり擦れ合う音。それらに混じって、肌のぶつかり合う音や糸を引くような水音が部屋を飾る。放し飼いにされた環境生物が時折視界の端を行ったり来たりする。その姿の変わりの無さに羞恥が増す。思わず逃げるように頭を振れば、不満気により一層強く腰が叩き付けられた。ガチャリと装備が大きく鳴る。そうして、衝撃にずり上がったソードマスターの身体を、ハンターはその腰を掴んで引き寄せる。生理的に溢れた涙が蟀谷の辺りを濡らしていくのを感じながら、ソードマスターはハンターが手を伸ばしているのを見た。

 両手を伸ばされ、何を考えるより早く反射的に両手を伸ばし返す。片や防具の無い人間の手。片や防具を付けたままの鋭い手。二つの手に包まれ、導かれたのは己の半身だった。しっかりと勃ち上がり、熱の解放を今か今かと待ち望んでいるソレに、見覚えのある赤と黄の布が巻かれ、握らされる。その上からはハンターの手が重ねられ、離すことは許されないようだった。

「あ、ぅ、ふァ、ッ! ンッ、ァアッ!」

ゆっくりと、徐々に速度と込める力を上げて熱棒が扱かれる。己の手は筒を形作っているに過ぎない。ずちゅずちゅと濡れた衣擦れの音。その濡れた布の色を改めて視認することは憚られる。ごりごりと布越しに当たっていく緩やかな凹凸。それが防具に覆われた自身の指であると、自覚すれば冷めぬ熱が理性を焼きにかかる。けれど両手を押さえ主導権を握っている手の平と身体を穿つ楔が、他者に抱かれているのだと現実を教え続ける。それを思い知らされる度、キュンと身体は震えてしまう。あぁ、と思わず声が濡れた。

 「先生、」

身体が更に折り畳まれ、息を詰める。自身と相手の腹に半身が挟まれる。そして、より近付いたハンターの顔が、それこそ動物のように首元に擦り寄ったかと思えば、あまり聞くことのない声が耳元で聞こえた。

「先生、せんせ――ッ、はッ、ぁ、センセ、先生……!」

防具に覆われ、くぐもった声が荒く弾んでいる。獣の唸り声とも幼子の泣き声ともつかないそれは、しかし確かにソードマスターを呼び、求めていた。

「すき……っ、すきです、せんせい、あなたが、好きです、」

「――ァ、」

掠れた声に手中の熱が弾ける。真っ白になる思考。身体は未だ揺さぶられていて――苦しげにすら聞こえる息遣いも未だ聞こえている。

 達していると、少し待ってくれと悶える身体を黙殺して、快感に痺れながらソードマスターはハンターの腰へ足を絡めた。それとほぼ同時に、知らず締め付けていた胎の中で、ハンターの雄が欲を吐き出した。その熱さに胎は蠢き、それは吐き出されるすべてを搾り飲み干そうとしているようにも思えた。一滴まで残らず残していこうと言うように緩やかに動かされる腰に、甘えるように或いは気遣うように擦り寄って来る頭に、実に獣の交尾のようだとソードマスターは思う。奇しくも両者がリオス種の装備を身に纏っていたことも一端にあるだろう。

 

 ソードマスターが目を覚ますと、見慣れない天井が視界に広がった。加えていつも利用しているベッドよりもふかふかとした感触が背にある。つまりあのまま眠ってしまったらしい。けれど近くに人の気配は感じられず、ソードマスターは身体を起こそうとする。

 ベッドの方から聞こえて来た呻き声と防具の擦れ合う音に、ルームサービスはソードマスターが目覚めたことに気付いた。同時に、起き上がろうとして失敗したことも察した。隣でオトモ道具の点検をしていたオトモと共にルームサービスはベッドへ向かう。

「お気付きになられましたかニャ」

恭しく頭を下げ、甲斐甲斐しく具合を訊いて来るルームサービスに大事無いと答えながら、ソードマスターは身だしなみが整えられていることに気付いた。防具の装着はもちろん、汚れやにおいの残滓も無い。

「これは……青き星が?」

「旦那様にはご自身の後片付けと、洗い場までソードマスター様をお運びしていただきましたニャ。僭越ながら、ソードマスター様の身だしなみはこのルームサービスとオトモ様が整えさせていただきましたニャ」

「先生の太刀、ボクが預かって持って来たニャ。あそこ、いつも旦那さんの武器が置いてあるところに置いてあるニャ」

武器下ろすのも忘れてがっつくような旦那さんはしばらく武器背負いっぱなしの刑でいいニャ、と宣うオトモに小さく笑う。見知った客人に撫でてもらおうと寄って来たヨリミチウサギやフワフワクイナに構ってやりつつ、最も気になっていたことをソードマスターは訊いた。

「……ところで青き星は何処に? 姿が見えぬようだが……」

「旦那様にはバウンティ達成の報告や生態研究所への報告、植生研究所へ収穫物の受け取りへ行っていただいていますニャ」

「先生が起きるまで待つって粘ってたけどダメだニャ。だったら昨日先生のとこ行く前に済ませておけばよかったのニャ」

「そうであったか。フフ……すまぬな」

 やがてアイルーたちに尻を叩かれ、流通エリアへ用事を済ませに行ったハンターが、世間話や何やに巻き込まれて予定よりも大幅に遅れてマイハウスへ戻って来る。そこで彼が見たのは環境生物やアイルーに埋もれて眠るソードマスターの姿であった。

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