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ようやく書けた4GハンターさんとWハンターさんの話!お手紙ネタ!
お手紙の中身もとい全体的にだいぶ捏造と言うか私見が9.5割です( ˘ω˘ )

備考:Wハンターさんが兄で4Gハンターさんが弟。どっちもブラコン。

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 我が親愛なる弟へ。

 

 「はんたーさん、はんたーさん。ゆうびんおとどけニャ」

「わぁ、兄さんからのお手紙ですね? ありがとうございます、郵便屋さん」

「ニャ。りんごだいすき」

「いつもありがとうございます。ふふ。さっき雑貨屋さんにお裾分けを貰ったんですけど、食べますか? りんご」

「ニャ。たべたい」

「はい。どうぞ」

 

 まずは久しぶりの手紙になることを許して欲しい。お前からの手紙はちゃんと届いていたが、何かと忙しなく返事が遅れてしまった。本当にすまない。そしてこの手紙もまた交易船を通じて送るから、これを書いてからお前の元へ届くまでにまた少し時間が経つのだろう。それが口惜しい。この手紙が早くお前の手元へ届くと良い。

 ところでお前は手紙でこちらのことを心配してくれていたな。それは大丈夫だ。こちらは案外不自由なく活動できている。時には村や街の賑わい、風景、特色が恋しくなる時もあるが、基本的には退屈しない。同期や先輩方の、現大陸での話が聞けるし、新大陸自体もまだまだ知らないことが多い。施設も生活に不自由しない程度には整っていて、一期団から四期団までの活動があってこそ俺たち五期団が伸び伸びと活動できているんだと調査拠点に帰って来る度に思う。難点があるとしたら、拠点の集会エリアまで施設機能が及んでいないことだろうか。最近はパーティを組んで挑むモンスターのクエストも出現するが、拠点の下層にある施設の確認を、そこまで行ってしなくちゃならないんだ。この辺は総司令に相談してみたいな。

 ――総司令は調査団の第一期の人だが、まだ新大陸に残っている人だ。調査団の標準装備の一つの導蟲も総司令が発見と改良をしたらしい。怪我でハンター業から身を引いたらしいけど、そういう風に元々学者気質もあったみたいだから、ハンターを引退しても活躍の場は十分あったんだろうな。それは、少し、羨ましい。一期団や二期団のハンターはほとんどが国に帰っていて、今でも新大陸に残っている人たちは調査団の中でもかなりの猛者だって先輩が言っていた。俺もそう思う。特に、みんなから先生と呼ばれている一期団のハンターは、この人の立ち回りを参考に作られた特殊装具を貰ったんだが、これを使うと吹っ飛ばされるような高威力の攻撃が自動回避されてわけがわからない。それで、この人とパーティを組んでたって言う調査団の大団長は武器を持たずに新大陸を放浪しているみたいでよくわからない。可能性があるとしたら、大団長の剥ぎ取りナイフを見たら、鉈タイプだったから、アレが片手剣扱いになってたりするんじゃないだろうか。あとすごくラージャンだから調査員の目の無いところでブレスとか使ってるのかもしれない。……

 

 「旦那さん、お手紙読んでるニャ?」

「はい。新大陸の兄さんからお手紙が届きました。あ、そうだ。筆頭オトモさんもりんご食べますか?」

「ニャ!食べるニャ!」

「あらハンターさんに筆頭オトモさんに郵便屋さん。仲良くおやつですか?」

「お嬢! はい、えぇと、兄さんからの手紙を少し」

「お兄さんってあの、ハンターさんにバルバレ行きを勧めて、新大陸古龍調査団の推薦組に選ばれた?」

「ニャ!? 旦那さんの兄貴はスゴ腕だったのニャ!? で、でも旦那さんだってスゴイのニャ!」

「ふふふ。ありがとうございます、筆頭オトモさん」

「そういえば、ハンターさんにも来ていませんでしたか? 調査団への推薦というか、招集?」

「ギルドマスターから声をかけられた気はしますね……僕はこのキャラバンのハンターなので、どこかへ行く気はありませんけど」

 

 ――調査員と言えば、同期に面白いハンターが居る。新大陸へ向かう船の中で初めて会った時から気さくに声をかけてくれた、俺と同い年か少し下くらいのハンターだ。お前と良い友人になれるんじゃないだろうか。話を聞くと、新大陸に渡る前は現大陸のあちこちを飛び回ってたらしいから、各地を回るキャラバンに所属してるお前もどこかで会ってるかもしれないな。

 ――そんな風に、調査団はレベルの高い人材がほとんどだ。けど、拠点以外に居住区が開拓されてない新大陸で、同じ組織として生活・活動してることもあってか、みんな仲が良い。本当に気の良いやつが多い。普段は好き好きに活動しているが、大きな作戦の時には強い結束をもってあたる。集まった人の力の強さと大きさを、よく実感できる環境だと思う。

 大きな作戦時だけじゃなくても、フィールドの環境を利用して狩りをすることも楽しくて良い。自然の環境は決して人間の味方じゃないが、人間の敵と言うわけでもない。自然を利用して、自然の一部として、自然であるモンスターを狩る。この高揚感に、あぁ俺は狩人なんだ、と柄にもなく思う。ベースキャンプも食事や装備の交換、アイテム補充が出来て便利だ。先輩の一人が「いずれ現大陸でも新大陸式の狩りが採用されるんじゃないか」ってワクワクしてたから、いつかそっちでもそんな風になるんじゃないかな。そうしたらお前ももっと狩りがしやすくなるだろう。オトモの装備も変えられるんだ。さすがにトレンドまで変えるのは難しいものがあるだろうが、装備を変えられるだけでも狩りの安定性は格段に変わるだろう。

 オトモと言えば、俺のオトモは元気だ。相変わらず頼もしい。あの筆頭オトモがお前のオトモになったと聞いた時は驚いたが、俺のオトモもそろそろ筆頭と認められても良いと思う。俺のオトモは強くて賢くて可愛い最高のオトモだ。そういえば風の噂でオトモアイルーが拠点のどこかで時々集会を開いていると聞いた。俺のオトモも出席しているのだろうか。……

 

 「ほぅほぅ。お兄さんはオトモさんが大好きなんですね。ふふふ、兄弟ですねー」

「……途中からほとんどオトモについての話になってるニャ」

 

 ――色々と関係のないことも書いてしまった気がするが、実のところ何を書けば良いのか分からなかったんだ。伝えたいことや知らせたいこと、話したいことが沢山あって、今でも増えてて、どこから手を付ければいいか分からない。本当はお前がこちらに来て、俺の見ているもの、感じていることを体験してくれるのが一番なんだと思う。けどきっとお前は海を渡らない。だから手紙を書く。手紙を書いて、少しでもこちらのことが伝わってくれれば良いと思う。何時そっちに帰れるか、まだ分からない。もしかすると、帰れないかもしれないし、帰らないかもしれない。でもお前は俺のたった一人の大切な弟だ。ずっと変わらない。どれだけ離れていても、お前を想っている。身体に気を付けろ。

 

 「ニャ。いいおてがみ」

「そうですねぇ……。ルーキーさん、推薦されて新大陸に渡ったと聞きましたが、元気にやってますかね……?」

「きっと。きっと元気にしてますよ、ルーキーは。ふふふ……お返事、書かなきゃですね」

 

 親愛なるお前の兄より。

 親愛なる我が兄へ。

 

 「おう青い星! お前さん宛てに預かりモンがあるぜ、ホレ」

「ニャ。ありがとうございますニャ、船長さん」

「そういやその手紙って誰からなんだ? ちょくちょく向こうで預かって来るけどよ」

「若旦那(おとうと)さんからのお手紙ですニャ。恋人からとかでは、決してナイですニャ」

「おとうと……弟。そうか、弟からか。ハッハッハ! そうかそうか!そうだったか!」

「そうだったんですね。私はてっきり遠距離恋愛でもしているのかと……あ、船長、そちらの物資ください」

「はいよ!毎度あり!」

「……相変わらず旦那さん以上にマイペースな同期さんですニャ」

 

 ――兄さんの活躍は集会所や大老殿で見られる報告書で把握しています。兄さんがあの御伽話をなぞらえるように「導きの青い星」と呼ばれるようになった時のことなんて、昨日のことのように覚えています。長年に渡って追われていた謎の解明に導いた兄さんのことを誇りに思います。だけど兄さん一人の力ではきっと成し得なかったことなので調査団の推薦組として新大陸へ渡った兄さんを僕は誇ろうと思います。あの調査団に推薦組として参加する兄さんは本当にすごいです。噂によれば兄さんを待って出航が延ばされたとか、渡航前の説明会には欠席したとか。さすがは兄さんですね。良くも悪くも調査団に参加するべくして参加したような気がします。

 ――兄さんが海を渡ってから、手紙をくれる頻度が下がったことについて拗ねたりなんかしてないです。兄さんはじめ、調査団の活動が忙しいことや、航路がいつでも安定しているわけじゃないことくらい、僕も分かっていますから。僕ももう子供じゃないので、少しくらい兄さんからの音沙汰が無くても平気です。えぇ、平気です。

 そう言えば、僕の知り合いも調査団の推薦組に選ばれていました。前の手紙にもチラチラと書いた覚えがあります。僕がハンターになりたての頃、そう、兄さんが、兄さんの背中を追ってハンターを目指して故郷を出た僕にバルバレ行きを手紙で勧めてくれた頃のことです。あの頃に知り合ったハンターの一人が、調査団に推薦組として選ばれて新大陸へ渡りました。きっと兄さんもどこかで関わっていると思います。なのでもし彼と同じクエストを受けることがあればよろしくお願いします。彼はちょっとお調子者で陽気なハンターですが、武具の扱いや狩りの腕は一流です。ついでにアイテムの目利きもスゴイです。ただ、方向音痴なので探索に行くときは気を付けてください。……

 

 「……え?何?何スか? なんか手紙?読んでると思ったら……俺の顔に何か付いてる?」

「お気になさらないでくださいニャ。ちょっと若旦那(おとうと)さんの知り合いに似てるかもって思っただけですニャ」

「俺が? そういやアンタの弟ってどんな奴なんだ?やっぱハンターしてるの?」

「あら……すごく誇らしげな顔。自慢の弟さんなのね」

「若旦那(おとうと)さんも、新大陸に来る前の旦那さんと同じく、現大陸の各地を飛び回っているみたいですニャ」

「へー!キグー! それじゃ俺とも同じってことになるのかね」

「……あぁ、もしかして時々貴方が船長から受け取って読んでたのって、それと同じく弟さんからの手紙?」

「そうだったのか! なるほどー、大事に読んで大事に仕舞ってたわけッスね!」

 

 ――御伽話と言えば、蛇王龍も御伽話とされていたんですよね。空と地面を結びかねない大きさのモンスターですから、御伽話と言った昔の人たちの気持ちも分かる気がします。例えば地面だと思って立っていた場所が眠っている大きなモンスターの背中の上だったと言われるようなものだと思います。そう言えば古龍たちが海を渡るのは死期を悟るからだそうですね。そしてその骨や死骸で成り立つフィールドが、新大陸にはあるそうですね。いつかの蛇王龍も海を渡っていたりするのでしょうか。以前兄さんがくれた手紙に書かれていた、瘴気の谷にあるとても大きなモンスターと思しき頭骨、を一度見てみたいです。それに伴って、ふと思ったのですが、どうして古龍は死期を悟ると海を渡るのでしょう。

 今回の、古龍渡りの間隔が短くなっていることと冥灯龍の関係についてはもちろん把握しています。ですが、冥灯龍が新大陸に居たから古龍が海を渡っていたと言うなら、冥灯龍が居なければ古龍たちは海を渡らなかったのでしょうか。そもそも冥灯龍はいつから新大陸に息づいていたのでしょう。僕は生まれながらに故郷へ帰ることを目指す龍を知っています。彼らは生まれて、そして次を遺すために故郷へ帰ろうとしていました。でも、その後はどうだったのでしょう。次を遺して、役目を終えたら、彼らは、彼らもまた死期を悟れば故郷を離れて新大陸へ渡ったのでしょうか。僕には分かりません。この大陸で生まれてこの大陸で死ぬことは、古龍にとって何か不都合があるのでしょうか。

 兄さん、謎は尽きていません。そして、きっとこの謎は僕や兄さんが生きているうちに解明されるまでには至らないと思います。僕達人間の一生はあまりに短いからです。

 

 「……青き星よ、いかがした」

「ニャ。先生は、新大陸で生きるとおっしゃっていましたニャ。先生は、新大陸で、まだ何かを成したいですかニャ?」

「……あぁ、うむ。いや、某は――某は狩りびと故、何をか成すなどという器ではない。某は、此処を守り、手伝い、そうして次に繋がるための礎となれればそれで良い」

「ニャ。ありがとうございますニャ。仮眠のお邪魔をしましたニャ」

 

 新大陸にはまだ未知の土地の方が多いそうですね。聞けば、まだ四十年しか経っていないらしいので当然だと思います。むしろ四十年で古龍渡りの間隔が短くなった原因である古龍を探り当てたことがスゴイくらいだと思います。僕は兄さん含め、各期団の方々を尊敬します。そして更なる活躍に期待します。新大陸のまだ見ぬ顔を知らせてくれることと、古龍が海を渡る根本的な理由を見つけてくれることを。

 ――ところで、今更になってしまいましたが、僕や筆頭オトモさん、キャラバンの皆さんは変わらず元気です。おかげさまで大きな怪我や病気もしていません。なのでそこら辺は安心してください。兄さんの方こそ身体に気を付けてください。いつか、もしも兄さんがこちらに帰って来た時、変わりない姿を見せてください。そちらで命をまっとうすることにしても、僕を忘れないでください。兄さんは僕の大事な、唯一の兄さんなのです。

 

 「旦那さん、お手紙がグシャグシャになってしまうニャ。ちゃんとハンカチとかタオルを使うニャ」

「……えっ、なに?何か悪い知らせでも書いてあったの?」

「……旦那さん、さっそくお返事書くニャ?」

 

 親愛なる貴方の弟より。

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