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何が言いたかったのか迷GO!収集つかなくなりますた( ˘ω˘ )

ぜんぶがつくりものだったプラネットX組もといGF音波さんのはなし。当然の如く捏造多量。

​なんだか あたま の わるそう な はなし !

 

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ここまでのあらすじ:色々あってウニキュロン氏が復活しそう

 

 

「あぁ……やっと……やっと、我らの悲願が、達せられる」

生命の気配を色濃く示し始めた主の前で彼は歓喜に満ちた声で呟いた。

 

「復讐を……私たちの故郷を奪った奴等に復讐を、今こそ、」

「そうだな。俺も、嬉しいよ」

「ああ。そうだ。ようやく悲願が達せられる。我らが同胞の無念を、今こそ晴らすことが出来る」

「よくやった。お前のおかげだ。礼を言う」

「……? 何故だ?お前のおかげでもあるだろう?私だけでは――」

どうにも違和感を感じさせる親友の言い方に、彼は首を傾げた。

 

なぜか、いつもよりも、親友が遠くに感じられる。

「お前は本当によくやってくれた」

喉奥で笑っているような、愉しそうな声は確かに聞き慣れた親友のものだったけれど。

目の前にいるのは自分が知る親友ではないと機体の奥底が震えた。

 

ああ。そんなはずはない。

そんなはずはない、と彼は一度でも考えてしまったことを必死に否定する。

けれど、いくら振り払っても、一度芽生えた疑心は拭いきれない。

 

「なにを……なに、を、言って……?」

「余のためによく働いてくれた、と言っているのだ。サウンドウェーブ?」

「――」

ぐらりと足元が揺れたような気がした。

 

「ノ、ノイズメイズ……? なんで……どうして……?」

「ノイズメイズなどいない。或いは、いたのかもしれないが――あぁ否、そういえばこの機体がそんな名前だったか?」

恐る恐る、縋るように親友の名を呼んだ彼を、親友の姿をした誰か、否、主はわらった。

 

当然のことだと認識していた現実をあっさりと否定されて彼は揺らぐ。

「嘘だ。だって、ノイズメイズはずっと、ずっと私と――」

自分の傍に居たのは親友で、これは質の悪い冗談だと。

「そうとも。ずっとお前と居た。最初から、ずっと、お前と居た」

思おうとして、他意なく放たれた親友の声に、かろうじて上げられていた口角が限界を迎える。

 

「なぁサウンドウェーブ。目に見えているものは現実か?それが錯覚ではないと何故言い切ることが出来る? 触れられるから?言葉を交わせるから? それらが誰かにそう在るものだと思わされている可能性は――無いと言い切れるか?」

「し、しかし、そうだとしても、私は確かにノイズメイズと、今まで、」

「そうとも。お前はノイズメイズと行動を共にしていた。少なくともノイズメイズと言う名称の機体とな。お前たちが過去にどんな関係であったか……お前は思い出せるか? 余に隷属を誓う前のことを?」

 

そう言われて、彼は言葉に詰まる。

 

気の遠くなるような時間のことだからではない。

靄がかかったように、その頃の記憶を引き出すことが、できなかった。

故郷で親友と、その同型機たちと暮らしていたことは解っている。自分が担っていた役割も。

けれどその記憶だけがやけに鮮やかで、色褪せていなくて、不安を覚える。

そこだけが揺るがない。それだけが疑いようのないものとして在る。

 

「うそ、だ」

「そうだな。嘘になるな。すべて」

 

目の前の機体と過ごしてきた時間も、交わした言葉や約束、触れ合った感覚すら。

今までに築き上げてきた――と思っていた――もの、すべてが否定される。

 

「あ――ぁ、ぇ……そんな、じゃあ、それなら、私は、わたしは、今まで……?最初から……?」

「親友のノイズメイズではなく、余と共に過ごし、余のために動いていた」

一度に処理能力を超える量と質の情報を与えられた彼は正常に状況を処理できなくなっていた。

親友がそもそも居なかったことを悲しめば良いのか。その不在に気付かなかった己を責めるべきか。

それとも主と共に過ごせていたことを喜べば良いのか、その間の無礼を恐れれば良いのか。

もはや何もかもがわからない。思考がまとまらない。もう、どうにでも、なってしまえば良い。

 

「ご苦労。もう眠ると良い」

親友の――否。主の声がどこか遠くに聞こえる。

 

生きるために胎動を始めた主の体内で彼は立ち尽くす。

かつて親友と呼びあった機体は既に彼の方など見ていなかった。

彼の周囲に、花が花弁を広げるように無数のケーブルが展開する。

機体に絡み付き、体内に引き摺り込もうとする主のからだの一部に、彼は抵抗をしない。

できないと言った方が正しいのかもしれなかった。

 

ズブズブと機体が沈んでいく。

消失の危機に瀕していると言うのに、彼はそのマスクの下で笑みを浮かべていた。

それは先ほどのように引き攣ったものではなかったけれど、十分に歪なものだった。

これで復讐が果たせる。

と、壊れたように笑っていた。

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