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実は女の子だったGF音波さんな話…………なんかロリっぽくなってしまtt

こ、細かいこと気にしちゃいけないヤツだしなんかえろくないし……(((;˘ω˘ )))ウワアアア

​……お互い何か思惑がありそうな。

どうせ書き手は童貞だしお父様って言って欲しかったんだよ!!!!!

 

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 彼がそれに気付いたのは相手を寝台に抛って、その肢体の上に覆い被さった時だった。

 ぞんざいな扱いに文句を言おうと、上体を起こそうとした相手の胸を押し返した、その時だった。服の上、起伏のあまり見られない胸板に触れると、やわらかな、肉の感触が、あった。

 は、と、辛うじて声には出さずに思う。今、自分は何に触れた、と思う。

 同性にしては細い線を持つ眼下の男の胸である。それが、やわらかい――柔らかかった。まるで女の胸のように。まさかそんな、と彼は相手を注視する。自分の身体の下から抜け出そうと、猫がするように身を捩って、いまいち緊張感なくジタジタとしている。今度はその肩を掴んで自分と向かい合わせる。む、と不満気な声を聞いたが、聞こえなかったことにした。

「随分と手荒じゃあないか? ひとをこんな風に扱うものじゃないぞ」

「……これから何をされるのか、わからないわけでもあるまい。大人しくしていた方が賢明だと思わないのか?」

常と変わらず――ある意味武器とも言えるワープ能力を無効化され追い詰められた状況でも、常と変わらない、余裕を持った物の言い方に、仕掛けた側だと言うのに自分の方が状況に対応出来ていないような気がして、声音に影が落ちる。

「……これから?」

だと言うのに、当の相手はキョトンと小首を傾げているのだから面倒なことになりそうだと思った。

 芽生えた疑念は早急に処理しなければなるまい。そう考えた彼は、手始めに相手の素顔を隠しているマスクを剥ぎ取った。マスクの下から現れた唇は仄かに色付き、緩やかに引き結ばれて彼の不躾に対する不満を表している。そうして、その唇が動いて、なにするんだ、と非難の声が紡がれた。その声には当然ながらエフェクトなどかかっておらず、つまり彼は相手の素の声を聞いたのだった。聞いて、あぁ、と確信したのだった。

「差し詰め男装の麗人と言ったところか」

皮肉気にも自嘲気味にも聞こえる声、言葉だった。

「あぁ――……ふふ。バレてしまっては仕方がない……と言いたいところだが、生憎隠していたつもりはないぞ」

けれどそんな彼を特に気にすることもなく、彼女だと知れた相手は悪戯っぽく笑って言った。口元に手を遣って笑う笑い方は、平生と変わらない仕草のはずなのに――愛らしさを感じさせた。同時に、綺麗に笑んでいるこの顔を、自分の手で歪めてやりたい、と、征服欲にも似た衝動を感じた。

 人差し指の先を唇に当てている、合わせられた両手をそれぞれ掴んで寝台に縫いとめた。おや、とまだ取り払われていないバイザーの奥で彼女の目が丸くなる。それを真っ直ぐ見詰め返してやりながら、無防備な唇へ、噛みつくように口付ける。重なった唇のやわらかさに少しだけ眉を顰めて、けれど然して間を置かずに舌を相手の口内へ滑り込ませる。少なからず拒まれるかと思っていた彼は抵抗なく侵入を許した彼女をそっと窺う。熱の射し込み始めた双眸は潤んでいて、彼の口付けに応えようと動かされる舌は健気で――幼気な印象を受けた。

 この様子なら抵抗はないだろうと彼は掴んでいた彼女の手――手首――を離す。そうして空いた手を、するすると彼女の服の中へ滑り込ませていく。滑らかな肌を指先が辿り、腹部からあばら、そしてその上の胸に達する。外気に晒され、他者に触れられ、そわりと粟立つ肌と跳ねる身体。合間に漏れる声は甘さを帯びていた。

 小振りな胸の奥でとくんとくんと脈打つ鼓動を握り込むように、手に力を込めると小さく肩が跳ねた。

「――ここまでして先がわからないとは言わないだろう?」

口を離し、頬に朱を滲ませた彼女へ今度こそ挑発的に訊いてやる。ここまで来て白を切るほど初心でもあるまい、と彼は思ったのだ。そうでなければ口付けに応えたりはしまい。

「ぁ……こ、こういうこと、は、ほんとうに、よく、わからないんだ、」

けれど、彼女が眉尻を下げて困ったような――見ようによっては、泣きそうな、と形容できるだろう――顔で言うものだから、彼は固まった。仕草や所作に品を感じられど、そういうにおいがしなかったのは、つまり当人にその気が無かったということなのだろう。しかし、と彼はそこで思う。それでは、時折見せるあの艶は、先程の舌の動きは、何故なのだろうか。

「だから、その……、おしえて、くれないか」

そんなことを考えていたから、理由を暴いてやろうと、彼は彼女の答えに諾と快く返したのだろう。

 上の服を脱がせ、次いで下も脱がせようと彼は脚に手をかける。度々細いと思っていた脚も、今ならば、まぁそうだろうと思える。ヒールの高い靴から足を抜かせ、寝台の下へポイと抛る。そして腰から下を覆っていた衣服も全て脱がし、最後にまだ着けられているバイザーへ手を伸ばす。

「え、あ――ゃ、これ、は……!」

はずかしいからいやだ、と彼女が言い切るより早く、彼の手を止めようと伸ばされた手を軽々と避けて、その手は彼女の視界を覆うバイザーを取り払い、他と同じようにポイと他所へ抛った。見上げてくる恨めしげな眼を鼻で笑って、彼も上の服を脱いで抛る。裸体を見られるより顔を見られる方を恥ずかしがるとは、変わったヤツ、なんて思った。

「嫌だって、言ったのに……!ばか……!」

両腕で顔を隠した、その隙間から潤んだ目で睨め付けてくる彼女の肢体を見下ろす。普段の露出の少ない服からして、予想出来ていた肌の白さ。そこに大きく目立つ傷はないが、ちらほらと小さなものが見受けられる。筋肉と脂肪は双方程よく、触り心地も良い。胸はなだらかでやはり小振りだが――そもそも無いものだと思っていたのだから気にするところでもない。けれど、ツルリとしてきれいな下腹部には、少しばかり引っかかった。

 膝を立たせ、ツ、と下腹部に指を滑らせる。そして、そのまま身体の中へやわらかい肉を拓きながら指を埋めていく。その、感触にも、引っかかるもの。

「……ここは、」

破瓜した様子もなく、またそもそも受け入れることに慣れているような中の動きに、彼は眉を顰める。じわりと潤っている内部は、口付けからか身体の線を辿ったからか、それとも指を刺し入れたからか。

「んッ、ぁ、ぉ、お父さま、が、して、くれた……ぁっ!」

「お父様?」

動かしていた指を止めると、もっと、と強請るように指が締め付けられた。それを、今は無視して訊き返す。

「これ……っ、するとき、邪魔に、ならないように、と、」

「……初めてではないようだが、そのお父様とやらに何を仕込まれた?」

「なに……? 私、は、ただ、教育の、一環だと、言われて――少し、指南を、していただいた、だけ、で、」

「……」

つまり身体はその使われ方を知っているらしい。しかしそれがどういうことなのかを、身体の持ち主はよく理解していないらしい。色と無垢とが混在するわけだ――と彼はわらう。

「お前も、お父様と同じ……っ? して、くれる、のか……?」

「……さあ。どうだろうな」

ズラされた腕の隙間から覗く目は、熱に潤んではいたけれど、夜分の寝台で見るものにしてはあまりに純粋だった。

 お父様とやらに拓かれていた身体は――言っては何だが手間が無く、少し触ってやれば、ぐじゅぐじゅと容易に濡れた。熱くやわらかな肉壁を解しながら、彼は部屋に融け消えていく小さな嬌声を聞く。

 彼女の胎内で動く指が三本になる頃、戸惑いの色を帯びた声が彼女から発せられた。

「ッぁ、ふっ……、ま、まだ、入れない、のか?」

キュウと指を締め付けられるのを感じながら彼が彼女の顔の方を見遣ると、手をヘッドボードの方へ伸ばしたことで露わになった、赤く色付いた顔が見えた。慣らしている途中、何度か閉じようとした脚を押さえていた手で、そのまま脚の内側を撫でながら彼は口を開く。

「挿れて欲しいのか?」

彼女の身体から指を引き抜いた彼は赤が滲む顔を覗き込んで、いやらしいやつ、と囁いた。ふい、と顔が逸らされる。

「ぅ……だって、お父様は、こんなにゆっくり、しなかった、」

そして、逸らされた顔とは裏腹に、白くしなやかな足が彼を招くようにおずおずと開かれた。

 誘われたなら構うまいと彼はさっさと下を脱ぎ、反応を示していた自身を立たせて、蜜を溢れさせヒクヒクと熱を欲しがっている彼女の秘所へ宛がう。避妊具を着けろなど言われていないし――そもそも、今相手をしているのは自分だと言うのに他の男のことばかり口にする彼女に、苛立ちのようなものを感じていて、どんな理由があろうと彼に行為を中断する気はなかった。

「――ッあ、ふあ、ァアアア……! ッん、ぁ、」

宛がわれていた熱が胎内へ突き込まれ、ずちゅ、と粘質な水音が鳴る。彼女の手がシーツに縋り、グシャリと皺ができる。跳ねた顎と反った背に彼女が軽く気を遣ったことがわかった。

「ンッ、んぁ、ふ、ぅ……、あ、ああ……、」

熱を受け入れ悶え震える身体はひどく艶めかしい。

「好いか」

「あ、はあッ、いま、だめ、待っ――あッ、あ……!」

「そうか。好いか」

揺さぶられ、彼を映した彼女の双眸から、ぽろぽろと雫が溢れ落ちていく。制止の声を聞き入れず、彼は未だ微かに痙攣している胎内を穿つ。

 彼女の指先と爪先に握り込まれ、綺麗に張られていたシーツがどんどん波打っていく。加えて、ぢゅ、ずちゅ、と下腹部から溢れる音――或いはそこから生まれる快感――から逃げるように身を捩るものだから、余計に寝台の上は乱れていく。

 嬌声を溢しながらも、はく、と酸素を求めて動く顎を、彼の指先が捉えて自分の方へ向かせる。そうして、だらしなく口腔に収まっている舌を食んでやろうと、再び唇を重ね舌を刺し込み、目当てのものを掬い上げて引きずり出す。鼻に抜けるような音を漏らしながら、従順に彼に応える舌は少し強めに歯を立てても抵抗を見せなかった。ジュ、と音を立てて舌を吸えば背は跳ね、ぎゅうと閉じられた目蓋の先、長い睫毛がふるりと震えた。口が離されたその後には力無く蕩けた彼女の舌だけが残される。その後はと言えば、彼はそのまま細く柔な首筋へ舌を這わせ、時折そこに赤を散らしながら彼女の素肌を辿っていた。

 その腰の動きが緩やかなものになっていっても、肌を吸われる刺激や打ち込まれた楔の熱さに跳ね捩れる自身の肢体の動きで、彼女の唇からは悩ましい吐息が零れている。そこで、不意に彼が彼女の胸の頂きに歯を立てた。

「イッ――あッ、ひっ、あああ……ぁぅ!」

悦楽を含んだ悲鳴が上がり、彼の口角は上がる。もう片方の乳房へ手を伸ばし、食んでいた方を戯れに舌で撫ぜてから口を離す。濡れた淫靡な視線と唇を辿った舌の動きに、彼女の腹部がヒクリと引き攣った。

「……まったく、お父様の教育とやらは大したものらしいな?」

手を置いた方の胸の飾りを、その指先が摘まんで捻じる。

「ゃ、いた、ぁッ、ッ、んぅ……ッ、やめ、ぁ、いっしょに、するの、やらぁ……ッ」

ぐりりと爪の先で抉ったり弾いたりしてやるとその度に彼の熱を包む肉壁がキュンと切なげに締まる。気付けば煽るように緩やかに抜き差しされていた楔の周囲が、それを引き留めるように呑み込もうとするように後を追う。噛み合わない会話には、その言葉に応えて、胸に遣っていた手を退けてやる。ツンと立ち上がった胸の飾りが、離れていく温もりを惜しむように小さく震えた。

「どうして欲しい? 言ってみろ。この俺が、叶えてやる」

「ひあ――ゃ、ぁ、どう、って、なに……? わか、わからな、い……!」

「教えてもらわなかったのか?モノの強請り方ひとつも?」

小さく揶揄いの笑声が漏らされる。それに対して、愛らしい唸り声が返って来た。

「――そうだな。お前は俺にどうして欲しいかだけ言えばいい」

普段悠然とした彼女の、素の甘えた面を見たような気がして、ようやく自分が優位に立てたような気がして、彼は笑みを浮かべる。ゆるゆると動かされる腰に、擦れる熱に、彼へ拗ねた眼を向けていた彼女の双眸が融けていく。そうして、そんな穏やかな動きに焦れたのか、彼女の脚が彼の身体を捉えた。何かを吐こうとして動く唇の頑張りを聞いてやろうと顔を寄せる。その際に進められた腰で彼女の胎内に埋まった彼の半身が、コツリとその最奥部となる場所に触れて、彼女の身体がふるえて疼く。そして彼は寄せた頬へ伸ばされ、触れようとした彼女の手を掴んで、指を絡めて寝台に打ち止めた。

「ぅ……うごいて、欲しい……、動いて、気持ちよく、して欲しい……っ!」

「……及第点だな」

拙い言葉で初めて彼にモノを強請った彼女を及第点だと評して――けれど落とし重ねる口付けは険の無いものだった。角度を変え、重ね合わせるだけの接吻を何度か交わして、彼は本格的に腰を動かし始める。

 ぐちゃ、ずちゅ、と水気を含んだ肉が擦れ合う音。加えて、荒い息遣いと甘い嬌声が室内に響く。りょうて、と、蕩けた呂律で、辛うじて単語だけで強請られた内容を、それでも汲んだ彼は彼女の両手を握ってやっていた。

「――っ、気持ち良いか、とは……、訊かなくとも良さそう、だな、」

「んッ、んぁ、あ、ふあッ……! ひぁあ……ッ!」

しとどに濡れて熱を受け止めている場所はまだしばらく乾きそうになく、滴る程の蜜を溢れさせている。こちゅ、とちゅ、と熱の切っ先が胎の最奥――子宮口を叩く度に彼女の肢体が跳ね、握られた手に力が籠められる。

「ぅ、ぅあ、んんッ、きもちぃ、気持ち、イイ……!」

喘ぎ喘ぎ絶え絶えに吐かれた言葉は他でもなく彼の言葉に返されたもの。双眸から溢れては零れ落ち、シーツに染みを作っていく涙は、薄暗い室内できらきらと綺麗に光の線を描く。その水底に沈みながらも、健気に向けられた視線は他でもない彼へのもの。それらに安堵のようなものを覚えている自分がいることに胸中で苦笑する。そして、気付けば至る所に紅い鬱血痕が残る身体を見下ろして、充足感を感じていた。

「そうか。俺も――悪くは、ない」

そう、呟いた時、眼下の彼女は、よかった、と至極嬉しそうに口角を上げていたけれど――自分もまた笑んでいたことに、彼は気付いていただろうか。

 彼女の肢体が強張り絶頂が近いことを知らせる。彼の方もまた、同じように熱の解放を近く感じていた。

「ッ……、おい、脚、っ、中に、」

自分を捉えて離さない脚を解けと、彼は珍しく見せた優しさでもって彼女に言う。否。それはかたちだけの言葉かもしれなかった。

「イッ――、いいっ、このままで……ぁ、ぅ、わ、わたしのなかで、きもちよ、あ、くぁああ……ッ!」

「――っ! こ、の……ッ!」

それなのに彼女が絡めた脚で彼を引き寄せて繋いだ手を離すまいと握ったものだから――彼はそのまま彼女の中に白濁とした欲を注ぎ込んだのだった。きゅうぅ、と自身を銜え込む肉の熱さに思わず荒い息が小さな悪態と共に吐かれる。繋がれた手は、彼の指先も白くなっていた。

 最奥を叩かれた胎内へ流し込まれる熱が、そこを満たす感覚に身体が跳ねる。快楽の余韻を雄弁に語る嬌声の欠片がシーツの波間へ消えていく。浮いていた彼女の爪先が、恐る恐るというように下ろされ、緩く彼の身体を挟む立膝のかたちで、落ち着いた。

 彼が繋いでいた手を解き、上気した彼女の頬に当てる。てら、と濡れた唇を辿った親指の先をふやけた舌の先が掠める。そして水中で喘ぐように一度口を開閉した彼女は目蓋を閉じて彼の手に擦り寄る仕草を見せた。

「ん……、あったかい、」

その姿は、やはり耳にしたことのある歳――本人に直接聞いたわけではないから、正確かどうかはわからない――よりも幼く見えて、彼は刹那息を止める。

「お父さまは、あまり話してくれなかったから、こんな……はじめてだ」

微笑したまま言い、それまで脱力していた彼女の手が動いて、未だ彼の半身が収まっている下腹部へ伸ばされる。その手はそわりと熱と欲が収められた場所を撫でて、それから今触れ合っている存在を確かめるように、彼の背へ回される。とく、と脈打つように今一度自身を締め付けた胎に、彼の眉が微かに顰められた。

「そうか。こちらとしても、色々と初めて知ることばかりだ」

らしくないことを――と頭では理解しつつ、彼は挿れたままの半身で彼女の最奥を揺すってやる。蜜と白濁に塗れた内部がいやらしい水音を立てた。彼の予期せぬ動きに、彼女の口から甘い悲鳴が漏れる。

「お前のすべてを見せてもらおう」

頬に添えられていた手が顔の横に置かれる。自分を見下ろす眼の、そこに炯と灯った光を見て、彼女の下腹部がまた乞うように締まり蜜を溢す。背に回された手には力が籠められ、触れている場所の色味を変えていた。喉元へそっと立てられる牙は抵抗されずに受け入れられる。それは間違いなく彼女を求め、また彼を受け入れている姿だった。

 そんな互いの手の甲に、互いの爪痕が綺麗に残っていることに、彼らはまだ気付かずにいる。

 再び揺さぶられ始めた彼女の身体の、浮いた爪先がツイと軽く宙を蹴る。そうして、ふと思い出したように彼女が口を開く。嬉しそうな声の合間に色めいた吐息が混じる。

「ぁ……、はあッ、んッ……、後日、お父さまに、っぁ、ご挨拶――行かなければ、な、」

「――上等」

とろりと破顔した彼女に不敵な笑みが返される。

 これは自分の傍に置く、と彼はその時既に考えていた。彼女の有用さや能力の高さはよく知っている。身体の相性も悪くない。手放すには惜しい、と。仮令その所有権が件のお父様にあったとしても――攫ってしまえば良い。それは彼女の意思など微塵も考慮していない考えだったけれど、彼がそんなことを考えていた時の彼女は、確かに幸せそうな顔をしていた。

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