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支部でそういうネタを見てからずっと書いてみたかった防具≠人(ハンター)ネタ。

コラボ装備のドラケンさんを案内するブリゲイドさんの話。クロスオーバーになるのかなコレ……。

 

CP要素はほぼ無いけどリオソウル×リオハート、ガロン×ギエナなこころもち( ˘ω˘ )
各防具さんの口調や一人称なんかの設定は個人の趣味_(:3」∠)_
ちょっと先生に失礼なこと(ネタ)言ってる気がする_(X3」∠)_

青い星はPS⁺未加入( ˘ω˘ )

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 「彼」が最初に目覚めた時、ぼんやりとした視界に映ったのは見覚えのある黒い背中と白い毛玉だった。
 意識が鮮明になっていく。眠りから覚めるような感覚である。それに伴い、彼は周囲を見回した。そこは、何故だろう、自分には馴染みのない気配が溢れている、と感じたためだった。
「……!?」
そうして、周囲を見回した彼は、感じた通り、身に覚えのない景色や存在があることに息を呑んだ。
「おー、起きたか、“竜騎士”殿。調子はどうだ。気持ち悪いとか、大丈夫か?」
自分が知っている物が何も見当たらないことに呆然としていた彼に、やはり知らぬ声がかけられる。弾かれるように声のした方へ眼を向けると、そこにはフードを被った骸骨――のような男が木箱に座っていた。
「お前、は……いや、その前に、此処は……?」
「俺はデスギア。此処は新大陸の調査拠点アステラの居住区にあるマイハウスの一室。そんでお前は異世界から来た“魔獣”の素材から作られたドラケン。オッケー?」
「なん……ちょっと、待て……新大陸?アステラ?異世界からの、魔獣……? つまり此処は、エオルゼアではない……?」
「ちなみに、エーテライト、だったか? アレとモーグリって白い獣人族は青い星が魔獣を討伐した直後にそのエオルゼアってとこに帰ってったらしい」
「は? モーグリ?エーテライト?青い星?が魔獣を討伐……? で、帰ったァ!?」
「おう。帰ったってよ」
あぁ異世界。道理で風景も気配も何もかも身に覚えがないわけだと一つ納得したところに、異世界に取り残された現実を突きつけられ、彼――ドラケンは愕然とした。まぁ、ドラケンが装備である以上、この新大陸に留まることになるのは必然のことであったので、デスギアは「これからよろしくな」とだけ言っておいた。
 「くっ……エオルゼアへ帰る手立てが無いのならば仕方がない……この新大陸とやらでも竜騎士として竜を屠っていこう……!」
あまりに唐突な展開に一度は両膝を地に付けたドラケンだったが、なんとか気を取り直して立ち上がる。ネコタク沙汰にならなかっただけドラケンの防御力は褒められて良いだろう。
「うん、まぁ、がんばってくれ。お前が此処に慣れるまでは案内役をつけさせてもらうが、いいよな」
「妙な気を遣ってくれなくていい。案内役ではなく世話役だろう?」
厚意は受け取る、と答えたドラケンにそりゃよかったとデスギアは笑って――フードだし骸骨だしで表情が変わったとかではないけれど、声なんかで――マイハウスの外へドラケンを連れ出した。
 大きな滝が流れる崖の岩肌を取り巻くように設けられたマイハウスの森を進むと、船着場に近い少し開けた場所に辿り着いた。そこには妙に小綺麗な印象を受ける男が立っていた。頭上を飛ぶ鳥の影に向って何をか抛っている様子を見ると、餌付けでもしているのか。ドラケンを先導するデスギアはその羽飾りのついた帽子を被っている男に声をかけた。
「待たせたか? 悪いなブリゲイド」
ブリゲイドと呼ばれた男が二人を振り返る。つばの広い帽子を目深に被っているせいか、顔の上半分がよく見えない。けれどふわりと弧を描いた口元と雰囲気に、とっつきにくい人種ではないことがすぐに窺われた。
「いえ、大丈夫ですよ。それで、そちらが噂の“竜騎士”さんですね。はじめまして、僕はブリゲイド。貴方の案内役です」
「あ、ああ……あんたの世話になる、ドラケンだ」
よろしく、とごく自然に差し出された手を、ドラケンは一拍遅れながらもしっかりと握り返した。
「ん。それじゃ、俺の仕事はここまでだな。じゃあ二人とも、仲良くするんだぞ」
しっかりと握手を交わすドラケンとブリゲイドを見て、デスギアが満足そうに言う。そして踵を返して、ヒラヒラと手を振りながら二人から離れていく。見た目の割に陽気なヤツだな、とドラケンはデスギアを総括した。
「さて。では、さっそく拠点を一通り見て回りますか?」
言いながらゆるりと手を離したブリゲイドにドラケンは首を縦に振って答える。ドラケンの答えに、ブリゲイドは「行きましょう」とやはり緩やかに歩き出した。
 「本来なら、こういったことは指南役がするんでしょうけど――生憎彼は今日先生にスリンガーを教える日でして。それに貴方なら僕たちの方が適任でしょうしね」
一先ず現在地から最も近い流通エリアへ向かおうと言う途中にもブリゲイドは新大陸や拠点についての情報を与えてくれる。時々建物や植物の合間から射す光を受けながら、ドラケンは案内役の話に耳を傾ける。
「お気付きかもしれませんが、僕たちは青い星や指南役のような人間じゃありません。僕たちはそれぞれ“ブリゲイド”や“デスギア”、“ドラケン”と言った装備なんです。だから基本的に“個人”となるような“素顔”を持たない。まあ、ハンターが装備を人前で脱ぐなんて滅多にありませんし、僕たちのことに気付いている人間は少ないでしょう。マイハウスも、二等住みのひとたちは装備だけの相部屋を組んでますしね」
「……だが、人が身に付ける装備と姿形は変わらないんだろう? 間違われたりしないのか?」
「人に間違われても案外切り抜けられるんですよ。一式装備で活動している人は少なくないですから。僕たち側から間違えることは、気配とかで人か同類か判るので、滅多にないですし。実際に話してみなくても、オトモを連れていれば9割方人なので。僕たちはみんな此処の生まれなのでオトモがいないんです」
「なるほど。つまり、たとえば、あそこで話している蒼いやつと桃色のやつはどちらもオトモとやらを連れていないし、やけに馴染みのある気配がするから、俺たちの同類か」
流通エリアに差し掛かる辺りで、ドラケンがエリアの隅で何やら話し込んでいるらしい二人組を指差した。
「そうですね。ふふ。あれはリオソウルさんとリオハートさんです……っと、ここが流通エリアです。物資の補給は大体ここで済ませます。貨幣は基本的に狩猟なんかで自分で稼いで得ますが、支度金くらいは青い星にたかって良いでしょう。彼は僕たちのことを知っていますから」
調査員たちからされる、よう、とか、無事か、なんて気軽な挨拶を、はい、とか、大丈夫です、と慣れたように捌いていくブリゲイドの後ろをドラケンはついていく。おそらく、間違いなく新入りになる自分がどんな反応をすべきか迷い、とりあえず軽い会釈なんかをしてみたりしたが、無愛想ともいえるドラケンの挙動は特に気にされていないようだった。
「あそこが調査団の心臓部――総司令が居る場所です。司令エリアと呼ぶ人もいます」
生態研究所なんかも一通り見て周り、リフトの近くまで来るとブリゲイドはエリアの中央とは雰囲気の異なる場所をようやく紹介した。
「あれが……総司令か」
「はい。調査団の、総司令です。いつもなら指南役と先生も居ますよ。ちなみに指南役は総司令のお孫さんで、先生は現大陸って言って、ここじゃない場所で作られた装備を着ています。たぶん人です」
「たぶん?」
「……おそらく、人です。正直はっきりしないんですよ。先生が旧式の装備で居てくれて、本当に良かったと思います」
「なんだそれは……」
二人がそんな話をしていると、チラリと総司令が二人の方を向いた。優しげな中に鋭さを失わない視線とかち合う。帽子に手を添える、少し丁寧な会釈をしたブリゲイドに倣い、ドラケンも少し深めに頭を下げた。
 拠点の2階部分にあたる、工房エリアへ向かう長い階段で、ドラケンは度々話に登場する“青い星”とは何――誰なのかブリゲイトに訊いた。ブリゲイドはまず、五匹の竜の話という御伽話をドラケンに教え、それから調査団の“青い星”となった人間について話してくれた。その人間は、現大陸でも有数の、優秀な狩人だったと言う。
「基本的に単独で活動してますし、口数も少なくて表情もあまり変わらない、朴念仁みたいな人ですけど、良い人ですよ。武器や防具や仲間を大切にしていますし、自然や生命に敬意を払っている」
なんでもない風に、さらりと失礼なことを言っていったブリゲイドは件の青い星と仲が良いのだろう。
「さすがに“魔獣”の討伐には苦戦していましたが、初めて討伐した時の喜びようや、貴方を作った時の喜びようは小さな子供のようでしたよ」
「――、……そう、か……青い星は、やはり攻撃役だったのだろうか」
狩人に喜ばれたと教えられて、ドラケンは照れ臭さを感じた。喜ばれて悪い気はしない。けれどそれを隠すように話題を逸らした。自分が持つエオルゼアの記憶では、“魔獣”は戦闘に参加するそれぞれに役割がある。噂の狩人――青い星は、何の役割で立ち回ったのだろう、と。
「そうですね。攻撃役でしたよ。回復やバフをオトモに任せて、半泣きになりながら拡散弾をバラ撒いていたそうです」
「オトモ?は?? オトモって、人が3人以上居る時はキャンプで待機するんだろ?ってことは人は2人で……もう1人は何をしていたんだ?2人ともアタッカーを?」
「いえ、青い星と、そのオトモの2人です。彼は滅多なことがない限り単独で活動するので」
「いやいやいや。滅多なことだろ。異世界の魔獣だぞ。滅多なことだろどう考えても。何なんだ。馬鹿なのか、青い星は」
「慣れないパーティで戦って仲間に迷惑をかけるより自分のアイテムを犠牲にすることを選んだんですよ。それまで活動のほとんどを単独でこなしてきたツケですね。少し前も、ようやく爛輝龍の大角を1人で折れた、とはしゃいでいましたよ」
「なんだそれ……なんだそれ…………」
 2人が長い階段を上り、工房エリアを訪れると、ちょうど工房の横にある門から赤い装備の男女と青い装備の男が外から帰ってきた。3人はすぐに2人に気付いたようだった。その中で、赤い装備の女が2人に駆け寄ってきた。自分たちとは違い、顔の下半分が面に覆われていて見えないその女は、真っ直ぐにドラケンの傍に来た。腰から太腿にかけて体側の肌が見えている姿に、いつか大怪我しやしないか、とドラケンは他人事のように思った。
「お前!ちょっと見てくれが良いからっていい気になるなよ! あたしは見てくれじゃなくて狩りの上手さを見てお前を判断してやるからな!!」
そんなドラケンを知ってか知らずか、女は勢いよくドラケンに人差し指を突きつけ、啖呵のようなものを切って――言うだけ言って去っていった。威勢のいい声にポカンとしていたドラケンは鮮烈な赤に釣られるように去っていく女の背を見送る。
「……悪かった。アレは人見知りなんだ」
ブリゲイドと様子を見守っていた2人の、赤い方が口を開いた。意匠を見るに、女と同じ素材から作られた装備らしい。
「あ、いや、そう……いや、別に、気にしていない。あ、俺はドラケンだ。今こっちのブリゲイドにここを案内してもらっている」
「そうか。俺とさっきのアレはガロンαだ。こっちはギエナα。よろしく」
「なに勝手に私を紹介しているんですか。まったく…………ギエナαです。これからよろしくお願いします」
ガロンαとギエナαとは、そのくらいの挨拶だけで済んだ。これから調査資源物資管理所へ報告をしに行くらしい。自分たちが上って来た階段を下りていく2人の背中を見ながら、ドラケンはブリゲイドを振り返った。
「あいつらは……仲が良いのか?」
ギエナαについてはお高く留まっていると言うか、冷たい印象を受けたけれど、それは口に出さないでおいた。
「仲は良いと思いますよ。大体いつも一緒に居ますし。お付き合いしてるのかまでは、僕は分かりませんけど」
「そこまで知るつもりはない」

途中_(:3」∠)_

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