生まれるのは、1/75秒の随に。
日の光が届かない地下の奥の奥。
掘り下げすぎた、ひた走り続けた果てに行き着く先は、皆同じ。
やはり地の下で。
壊れるのは、1/75秒の間に。
意味が有るかと問われたら、何も無いと答えることしかできない。
待ち続けて、廻り続けた果てに見えた世界は、前に見た世界の名残なんて無くて。
そこにぼくらはいたのかい?
あぁ、やっぱりか、と俯いて。踵を返して。
それでも誰かと戦いたくて。少し、振り返って。
いつも通りの口上を述べて迎える。
いつも通りの戦略をもって迎える。
誰もこちらなど見てはいないし。あの日は返らない。
選択肢は、これ以外要らないから棄てて。
あんな話こんな話、信じちゃって、呆然。
黄昏も東雲もこの双眸に届きはしない。頬をなでる風だってありはしない。
ズレた制帽被り直して。緩んだネクタイ締め直して。
運行状況に問題は無い。
ダイヤ通りに。すべて、ダイヤ通りに廻る。
光を忘れた王者の姿。
右に左に倣い倣った整列育成。
差があるとしたら、それは一体なんだろう?
無邪気装う白には空っぽな笑顔が張り付いて。
最後の最後に、誰か誰かと涙を流して足掻くのでしょう。
閉鎖的な世界に立つ黒は消えた灯を灯して灯してと藻掻くんだ。
あぁ、だけどな、と呟いて。目を逸らして。
諦めたフリして、期待して。口を閉ざして。
数奇に奇怪に踊り続ける道化でいよう。
錆びついた車輪は二度と動かないでしょう?
あちらへこちらへ手の鳴る方へ行ったり来たり。
敷き詰められた冷たく硬い鉄の道。終わりなど無いと嘯いてみたり。
狂ってしまえば楽だろうか、と飲み込んでいた言葉をはなしてみたり。
やれ飛び込みだのやれ乗っ取りだの、事実なんて片手で足りる。
昔々のお話は、結局昔のことで。そのお話を口にするのは何回目?
廻り続けるのは飽きてしまって。
上るか下るか迷い迷って。結局どっちつかず。
ふたつはひとつで、ひとつはふたつでしかなかったのだけれど。
夢なんてもうやめよう。広がるのは空虚だけ。
だけど。ふたりはまだ。咲き続けようとする。
BGM:ポップミュージック論(wac)