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未開の惑星の原生生物に異種姦されるウォルター。
本編前、杖を使ってない若ウォルターのつもり。

触手姦、獣姦、潮吹き、母乳、出産等の要素を含みます。
何もかもファンタジー。
出てくる獣もファンタジーです。てきとうにつくった。どっかで何か被ってたらごめんね。

要素のわりにえっちになってないです。
ごめんね。

諸々気を付けてね。

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 未開の小さな惑星が、今回の仕事の場所だった。
 普段活動している星系から、少し離れた星系の、片隅に浮かぶこぢんまりとした星。そこの調査が、聞き慣れない名前の企業からの依頼だった。曰く、見て帰るだけのローリスクハイリターンな仕事だと。
 なぜ自分に依頼が回ってきたのか、正直なところ分からない。今は飼っている猟犬もいない。各企業の治験やらに参加して、細々と資金集めの最中だ。それがどうして名指しの依頼が入るのか。「ハンドラー」が休業中であることは、コンタクトページや音声案内に表しているはずだ。
 ――報復の一端、かもしれない。「ハンドラー・ウォルター」は名が売れ出している。そうなれば必然、いのちや立場を狙われやすくなる。その一環の可能性も、ある。
 だが選んでいる余裕はなかった。事実報酬金額は良い。航行費用も依頼企業持ち。受諾を、した。そのサインを「ハンドラー・ウォルター」ではなく「ウォルター」としたのは、せめてもの保険だった。
 ちいさな船から降り立つ。地面は想像よりも柔らかかった。足跡が残る。目の前に広がるのは、その惑星の原生林。人間の身の丈を優に越す花や葉。明滅し移り変わる色味は、身近なものではない。防護服を着ているとは言え、用心しなければ。記録装置を携えていることと、防護服がきちんと着用されているかを確認して、ウォルターは歩き始める。形容しがたい、聞いたことのない生き物の鳴き声が、原生林の奥から聞こえていた。

 原生林の奥の奥。ぼんやりと明るい草木を分け入った先に、その大きな樹はあった。パッと見て、それが樹であるとは思えない。聳える幹はツルリと平坦で壁のよう。企業からのデータ提供が無ければ、ウォルターもそれが樹だとは思わなかっただろう。
 どうやらこの樹の枝葉はこの一帯を覆っているらしい。支給された観測用ドローンを飛ばしてウォルターは樹の大きさを測る。ACやMTを比較対象にした方が良い規模だ。自分用にデータをコピーしておこうか。そんなことを考えた。
 リ、リン……。
 ふと、鈴を転がすような音が聞こえた。
 「……?」
 周囲を見回す。なにもいない。ウォルターたちからすれば、現実味のないかたちや色の原生林が広がっているばかりだ。
 リン、リン。
 また鈴が鳴る。風や気のせいではないらしい。ウォルターはドローンを操作して、音の発生源を探ろうとする。
 けれど枝葉に覆われた上空から撮せるものの中に、それらしいものは見当たらなかった。リンリン、リンリン。その間にも鈴の音は大きく重なっていく。
 ザリ、とウォルターの足が半歩退いた。手早くドローンを手元に帰らせる。離れた方が良い、と直感的に思った。踵を返す。リンリン、リンリン。リンリンリン。涼やかな音が重なり騒めく。軽く恐怖を覚える状況だ。ウォルターは大樹に背を向け、探査船へと駆け出した。
 けれど、ウォルターがあのちいさな探査船に帰りつくことはなかった。
 人影の失せた秘境に、静寂が戻る。人間が身に付けていた探査用の鞄だけが、その場にぽつりと残されていた。

 目が覚めると、そこは洞窟のようだった。
 否――あの巨木の内部だとウォルターはすぐに気付く。光の差し込む先の風景は見覚えのあるもの。探査用の鞄が落ちているのも見える。おそらくここは、巨木の虚の中、なのだろう。外からでは裂け目などを確認できなかったけれど、内部は空洞になっていたのだ。
 では、何故、自分はここに?
 ウォルターが最も気になった部分。気にすべき部分。見なかったことにした現実。
 ぬちゅり、と背後から音がして、“引きずり込まれた”時にマスクの脱げてしまった顔を、ぬめった何かが撫で上げた。
 「ひっ――!?」
 体温より低い温度とその感触に肩が跳ねる。地面に手をついて立ち上がろうと、した。
 「ぐあっ、」
 けれど、顔を撫でたものとは別のぬめった何か――触手が、起き上がろうとした腕を絡め取ってしまった。手首と親指を括られて、自由が利かなくなる。ウォルターの目に焦りの色が浮かぶ。
 だが、だからと言って何ができるわけでもない。腕をつり上げるようにして立たされ、壁際へ歩かされる。触手に縋るようにヨタヨタと歩いて移動したウォルターは、そして壁の前でくるりと身体を反転させられる。理解の追い付いていないウォルターを他所に、くぷん、と触手ごと両の手首が壁に飲み込まれた。
 ぬるりと触手が背後から伸びてくる。ウォルターは短い悲鳴をこぼす。それらはウォルターの耳裏や頬を濡らし、竦められる首筋を辿って、マスクが失われたことで気密性のなくなった首元から防護服の中へ入ってくる。は、は、とウォルターの呼吸が浅くなる。嫌だ、やめろ。通じるはずもないけれど、触手に対する言葉があふれる。
 「あっ、ぁあッ! ひッ、ゃ……!」
 ぬっとりと肌上を這い、触手が身体を辿る。鎖骨を乗り越え、胸板を滑り、あろうことか胸の飾りで立ち止まる。
 嫌な予感は往々にして当たるものだ。まさか、と思ったウォルターの予想通り、触手は小さく慎ましい粒を、くにゅ、と弄り始める。
 くにゅ。くりゅ。こりゅこりゅ。
 押してみたりつついてみたり、押し潰したまま動いてみたり。触手のぬめりと弾力のある感触にウォルターは唇を噛んで耐える。微かにむずむずとするが、耐えられないものではない。と、思っていた。
 「ッあ――? ぇ、あ……、ァアアッ!?」
 かぷ。コリッ、コリッ。ちゅぱちゅぱ。
 乳首を触手に噛み付かれて、吸われている。
 「な、ぇ、は、ぁあッ!? ぃや、だ、やめろ……っ!」
 身体を捩り触手を振り切ろうとする。しかし叶うはずがない。触手はウォルターの抵抗などそもそも無いかのように乳首やその周囲に噛み付き吸い付いて這い回る。こりゅ、くにゅ、ちぱちぱ、と防護服の中で厭らしい音が鳴っている。
 「ぁう、ぁ、嫌だ、こんな、どうして、っ」
 じんわりと痛みすら感じ始めている。けれど、ぴりぴりとしたその痛みはむしろ腰に熱を集める類いのものだった。触手に噛み付かれると共に何かが体内に注がれる感覚。そのせいだろう、とウォルターはふわふわしていく頭で、何とか考える。何にせよ、マズい状況だ。なんとか抜け出せないものかと片足を後ろの壁にあて、力を込める。囚われた両手が引っ張られ、背中が反っていく。その時だった。
 「ヒッ――ぃ、はッ、ァアアアアアッ!?」
 胸から何かが噴き出る感覚がした。
 同時に、腰がずくりと熱くなった。
 「うぁ、あ、ゃ、なん、ひゃうッ……!?」
 胸元が濡れていく。何事かと目線を落とせば、防護服に染みができていた。嘘だ、と思った。
 「はッ、は……!? ッア゙!゙?゙ ま、待て、いま、は、あァ゙ア゙ア゙ッ゙!゙」
 触手たちはウォルターの胸にかじりつく。本人には見えていない張った胸を揉んで、散々噛まれて吸われて真っ赤になった乳首をつついて弾いて、母乳と言うべき白い液体を噴き出させる。
 「ひ、ひンッ、ふぁ、ゃ、やだ、ァ、ア……!」
 噴き出た乳を触手が回収する。こぼさぬように乳首から直に回収しようとする触手は、当然そこに噛み付いて吸う。吸われれば、乳が出る。最悪なのは、それが快感を伴っていることだった。胸を弄られ、乳を絞り出される。ウォルターにとっては悪循環でしかない。
 膝から力が抜けてまともに立っていられなくなる。ズルズルと壁に寄りかかり、背を預けてしまう。そこに、また数本の触手が防護服に潜り込んできた。
 背筋を這い下りる触手が尻の間に入り込もうとする。腰の辺りで腹側に回ってきた触手が股座に触れようとする。ウォルターはせめてもの抵抗に脚を閉じようと力を入れるが、意味はほとんどない。緩く起ち上がった陰茎に巻き付かれ、汗に湿った双丘を割り開かれる。
 「ぅ……ふぅッ……!」
 訳のわからない状況に泣きたくなる。いっそ頭を霞ませる熱に流されてしまえば楽なのだろうが、理性がそれを許さない。ウォルターには成すべき使命があった。
 ぬぢ、と下肢の前後で音が鳴る。陰茎に巻き付く触手。後孔に先端を埋める触手。最悪だ。触手がぬめりを持っている分、痛みらしい痛みや負傷が無いことが、更に理性と本能の葛藤を煽る。
 「ん゙ぅ゙ッ、ゔ、ふぅ゙ッ゙……! はぁ゙っ゙、ぁ゙、ぐ、ぅ゙ぅ゙、」
 ぐちゅぐちゅと触手が陰茎を扱く。これ以上、せめて声は出すまいと上腕に顔を埋める。歯を食い縛る。口端から、涎が垂れ落ちていく。
 「――はっ、はあ、んッ、ン゙……!」
 後孔の触手はあまり動かない。何かを待っているようだ。その何かとは、間違いなく陰茎側の触手の動向だろう。
 陰茎を扱く触手の動きが速く激しくなる。ぬぢゃぬぢゃと音をさせて、竿を擦り睾丸を揉んで亀頭を撫でる。先走りの汁が、防護服に触れて糸を引いていた。
 「ふあ、ぁ、ん゙、ひ、ぃ゙――、ぎッ……!!」
 ガクンとウォルターの腰が振れる。陰茎が白濁を吐き出す。
 だが触手は、そこで動きを停めなかった。ウォルターが吐き出した精液を巻き込んで、仕事を終えて萎えた陰茎をなおも弄くり回す。
 「っ、はッ!? は、いや、ぃやだ、待て、も、出した、おわった、ぉわ゙――、ぁ゙、むね、ゃ、ひッ、~~~ッ゙!゙!゙」
 それも、今度は胸も同時に弄くった。堪らず二度目の射精と母乳噴射を同時に行い、ウォルターの全身から力が抜ける。その隙を背後の触手は待っていた。ぐぷ、と空気を食む音。
 「ひっ、ひぃ……!?」
 ずぶずぶと胎の中へ入り込んでくる触手から逃げようと、腰が反る。
 胎に押し込まれていく触手は、時折何かを確かめるように立ち止まって身を捩った。肉壁が轢かれ、潰され、刮げられていく。あ、あ、とウォルターは悲鳴をこぼす。胎の中に押し入ってくる触手は、どこまで入ってくるつもりなのだろう。
 「あ、う、あ……、ひ、ぐ、ぁ゙、ぅ゙ぁ゙……、ぉ゙、」
 薄らと腹に筒のようなもののかたちが見える。それはウォルターの中に潜り込んだ触手のかたちだ。
 結局触手はウォルターの胎の奥まで入り込んだ。律動などなく、淡々と侵攻して、今はとちゅとちゅと結腸弁を小突いている。カクンカクンとその度にウォルターの腰が跳ねた。苦痛は無い。苦痛が無いから、まるで自分がこの状況や触手を受け入れてしまっているように思えた。
 「は……、ぉ゙、ゔ、ひっ、かは、ァ、ア゙……!」
 とちゅ、とちゅ。ここを開けろとでも言いたげに触手が薄い壁をつつく。
 とちゅ、とちゅ。一定の間隔で胎の中を往き来され、その間胸も愛撫されて、ウォルターの胸と陰茎からはとろとろと白濁液があふれていた。ちゅむ、ちゅぷ、と触手たちがそれらを舐め取っていく。
 そして、くぽん、と、とうとう触手が結腸にはまりこむ音がした。
 かは、とウォルターが、空気が肺から押し出される乾いた咳をした。
 それが何か琴線に触れでもしたのだろうか。それまで比較的大人しくなっていた触手たちが、ずりゅずりゅと動き始めた。
 「――ッ!? な、なんれ゙っ゙、うごき、はげし――ッ゙!゙ あ゙っ゙!゙?゙ ひっ、ィ゙、ん゙ぐ、ぅ゙ア゙……、は、あ゙、あ゙、あ゙、ぐッ――ッ゙あ゙、ぉ゙あ゙あ゙ッ゙!゙!゙」
 どちゅ!どちゅ!どちゅ!
 突き当たりとなる肉壁を、触手が殴り付ける。
 ずりゅ!ごぷっ!ごちゅ!
 胎を往き来する触手が肉襞やしこりを無遠慮に轢いていく。巻き込まれて弾けて消える空気が、粘ついた水分と絡み合って恥ずかしい音を鳴らす。だが気にしていられるほどの余裕は、ウォルターには無かった。
 にぢゅにぢゅ、ぐちゅぐちゅ、と胸と陰茎の触手が音を立てている。
 そうして、
 「ぁ゙――、ッ゙!゙ ん゙あ゙、はッ、ぁ゙ッ゙、ぐ、ぅ゙ぅ゙……ッ゙!゙ か、はッ――、ッァ、~~~~~!!!」
 ガクンッとウォルターの身体が波打った。
 胸元が、触手の飲みきれなかった乳で更に汚れる。再三苛められた陰茎は潮を噴いていた。ぎゅうぎゅうと触手を締め付ける後孔は、言うまでもなくやわく拡げられていた。
 はひ、はひ、と浅く覚束無い呼吸をするウォルターの顎を、新たに伸びてきた触手がすくい上げる。ぽた、と舌先からまたひとすじの涎が落ちていった。
 触手に上を向かされたウォルターの顔は赤らんでぼんやりとしていた。無理もない。汗や涙や涎でべしょべしょの顔に、でろりと触手が降りてくる。くちをとじなければ。呼吸は整っていなかったけれど、ウォルターは口と目蓋を閉じる。けれど、ちからの入らない拒絶など、触手には障害にならなかった。引き結ばれた一文字を、その端から割り開いて、くちゅりぬちゅりと口内を侵していく。こぷ、とウォルターの喉から音がした。
 触手が喉奥まで入り込む。噎せようにも噎せられなくて、こふこふと不格好な咳の音しか出ない。ふーっ、ふーっ、と獣のような呼吸。ぽろりと眦から涙がこぼれた。
 こぽこぽと触手から何か粘度のある液体が注がれる。他にどうしようもなくて、ウォルターは注がれる液体を必死に飲み下していく。しかしウォルターの嚥下速度より速く注がれる液体に、身体は容赦を求める。ごぷっと口端に小さな水柱が立つ。鼻孔から、タラリと薄紅色の液体が垂れる。
 後孔を苛む触手もとくとくと何かを注いでいた。否――注いでいると言うよりは、敷いている。何かを吐き出しながら、ずり、ずり、と後退していく。胎の中に何かが残る感覚と、触手がゆっくりと後孔から抜け出ていく感覚に、ビクビクとウォルターの腰が跳ねる。
 ズル――どしゃり。
 上下の触手がウォルターに液体を注ぎ終えると同時に、ウォルターは解放された。崩れ落ちるウォルターの肌上をズルズルと滑り離れていく触手。壁は手指の戒めすら解いて両腕を吐き出した。膝をつき、肩から地面に倒れ込む。防護服はしっとりと湿り気を帯び、ところどころには染みまでできている。露出した顔は赤らんで、色々な液体に汚れている。
 「ぁ……、ぅ……、」
 はく、とウォルターが喘ぐ。微かに動いた指先は、地面を掻いて、その場から逃げ出そうとしていた。

 さくり。
 足音がした。
 ウォルターはその場から動けないでいる。僅かにも移動していない。その、頭側の闇から、さくりさくりと何かが近付いてくる音がする。細く浅い呼吸をしながら、ウォルターが暗闇へ眼を向ける。さくり。さくり。足音が近付いてくる。
 そして、暗闇の中から、獣とも人ともつかない顔が現れた。
 獣よりも短く、人よりは長い口吻。顔のパーツや配置は人に近い。耳は獣のものだ。たてがみのような毛が頭部や首もとを覆っている。首は、長い。そして蛇のようにしなやかだ。胴体は四足の獣に似ている。ゆらゆら揺れている細い紐のようなものは尾だろうか。背中側は艶やかな鱗で覆われていて、腹側は柔らかな毛皮に覆われている。胴の真ん中辺りから、一対の肢が生えているのが見えた。指を組んでいる。六肢三対。足先は――ああ、どの肢先も人の手によく似た五指だ。
 「……っ、」
 まったく見たことのない生き物を前に、ウォルターは息を呑む。
 ――クルルルル。
 生き物がウォルターへ顔を寄せる。喉を鳴らすような音が聞こえた。目を細めて、すり寄ってくる。どうやら取って喰われるわけではないらしい。汚れた顔を舌で舐められてくすぐったさを感じる。クルル。クルルゥ。甘えるような音色。おそらくこれが、この生き物の鳴き声なのだろう。だが、分からない。喰うためでないなら、何のためにここに――?
 ウォルターが内心首を傾げていると、その生き物はうつ伏せに倒れているウォルターの身体を跨ぐように背中側に陣取った。地面が翳る。
 「……?」
 生き物が、ウォルターの腰を持ち上げる。ゆるく握られた手指を広げて、地面にぺたりとつけたその上から前肢を重ねる。腰を持ち上げたのは真ん中の肢らしい。ずり、と臀部に熱が押し付けられた。
 「!!」
 生き物の目的を、それで察したウォルターは生き物の下から抜け出そうと身体や腕を揺する。しかし細身な外見とは裏腹に、生き物は前肢すらびくともしない。ずり、ずり。ウォルターが藻掻いている間にも、生き物は臀部に硬い熱を擦り付けている。
 クルル……。何かに気付いたように、ウォルターの腰を抱える中肢の片方を離す。それが向けられたのは、当然臀部だった。ビリ、と布の避ける音がした。すうすうと尻に外気が当たる。ウォルターが何をか言うより早く、ぬぢぃっ、と生き物の熱が、胎の中に潜り込んだ。
 「あ゙――がッ、ァ゙、」
 耳元で涼やかな鳴き声を聞きながら、ウォルターは淫猥な水音も聞いていた。自分の胎が、得体の知れない生き物に蹂躙される音だ。ごりゅごりゅ、ずちゃずちゃ。ぬかるんだ肉壁を抉り刮いでいく熱は、とかく硬かった。人の陰茎には無い、ネコ科の陰茎棘に似た突起物が胎を苛む。
 「ん、ん゙ン゙……! ふ、ぅ゙、ん゙ん゙……~゙~゙~゙ッ゙!゙」
 そうして、どちゅ、と一際強く腰が叩き付けられ、胎の中にどろどろとした液体を吐き出される。それは随分と重たく、流れ出る気配はおろか胎の中で流動する様子もない。それを吐き出している間に、生き物はウォルターの腰をギュウと抱き締め、顔を首もとへ擦り寄せ、甘えたような声を出していた。
 「はッ、は、ァ、ぅ、」
 だが、何にせよ、これで用は済んだだろう、とウォルターは思――おうとして、目の前に現れた、自分の腕を押さえているものと同じ肢に目を疑った。
 クルル。クルル。生き物同士が鳴き合う。ウォルターに取って嬉しくない会話内容であることは、すぐに知れた。
 ウォルターを抱えていた生き物が退いて、新たに現れた生き物がウォルターを抱え上げる。前肢でウォルターの胴を抱え、中肢と後肢で壁際へ行く。背を預けて、自分の腹にウォルターを抱え込む。両腕を上げさせて前肢で掴み、後肢でウォルターの足を開かせて後孔にそそり立った熱を添える。中肢で腰を持てば――挿入と揺さぶりは容易い。じゅぷんっ、と生き物の熱が胎を穿つ。
 「お゙ッ゙――、ご、ぉ゙、っ゙、~~~ッ、」
 ウォルターの顎が跳ねる。性処理具のようにウォルターの腰を持って上下に揺らしながら、しかし生き物は涎に濡れたウォルターの口端に口付ける。いとしい相手にするような仕草。ちゅ、ちゅ、と愛らしいリップ音の合間にクルルゥと甘い鳴き声が挟まる。きゅうきゅう締まる孔は確かに生き物を悦ばせていた。薄らとウォルターの腹に浮き上がる剛直が、どくんと脈打つ。
 「ィッ、ァ゙、――~~~~~!!!」
 ウォルターの身体がガクガクふるえる。もはや当人の陰茎からは何も出ていない。胸の方からは、とろとろと母乳が流れ出ていた。生き物の熱が吐き出す何かに、腹がふくれていく。
 ややあってウォルターの身体が弛緩する。くったりと生き物の毛皮に沈み込んで、もう動く気力も見えない。両腕はゆっくりと下ろされ、生き物の前肢と指を絡めて身体の横に置かれる。中肢は優しくふくれた腹を抱いていて、後肢は脚に添えられたままそこを優しく撫でている。もう一匹の生き物もまた、ウォルターをいつくしむようにその頬や腹に口付けていく。
 微睡むような時間が、しばらくあった。どれだけ経ったかは分からない。ウォルターは相変わらず生き物の身体にもたれかかり、茫洋としていた。身体が重たく、身動ぎすら億劫だった。指を動かせば手を握り返され、脚を揺らせば宥めるように腿を撫でられた。
 夢うつつに漂っていた意識が、引き戻される。胎の中で、何かが蠢いている。
 「っ!? ひ、ひぃっ!? なん、なに、ァ、や、やだ、あ゙、ひッ――!?」
 力の入らない身体で暴れようとするウォルターを、生き物は二匹がかりで押さえ付ける。前後から腕や胴を押さえられ、動きが封じられていく。ぬぽん、とずっと後孔に埋まっていた、背後の生き物の生殖器が眼前の生き物によって引き抜かれる。
 「んあ! あ、ぁ……、」
 引き抜かれた感覚はもちろん、栓を失った後孔からとろとろ流れ出ていく液体の感覚にすら身体がふるえた。
 「――ぅ゙あ゙、あ゙、はら゙、なん……、うごいぇ゙ゔ、かはッ、ひゅぉッ、」
 胎の中で蠢く何かは、外に出たがっているようだった。にわかに混乱を強めるウォルターに生き物たちはクルルゥクルルゥと意図の通じぬ声をかける。
 「ひっ、ひっ、やだ、おれ、こんな、こんな……ッ、ア、うむ? うむの、やだぁ……ッ!」
 どれだけ否定したところで抗う術はない。胎の中の何かは、着実に外へ向かって這ってきている。生き物たちがウォルターの顔と後孔を交互に見る。くぷ、とひくひく収縮する後孔に指が挿し込まれる。孔を拡げようとしている。
 「はっ、はっ、ひっ、ぐ……、ぅ、ひっ――、ァ゙、ア゙ア゙、ひッ、ぎッ……! ア゙ア゙ア゙!゙」
 ごぽ、ぐぼ、とウォルターの腹が波打つ。何かが、下ってきている。生き物たちは腹を擦ったり頬に口付けたり、甲斐甲斐しい。
 「ん゙ッ゙、ゔッ゙……! くッ、ァ゙……! ゔゔッ゙……!」
 顎が跳ねる。目蓋を強く瞑り、下唇を噛み締める。涙か汗か分からないものが蟀谷を濡らす。
 「――~~~っ!!」
 ごば、と多量の水分が、弾けるように後孔からあふれ出る。同時に何か固形物をひり出した感覚がウォルターにはあった。クルルゥ。クルルゥ。生き物たちが嬉しそうに鳴いている。
 「っ゙ぅ゙――~~~~~!!」
 一度目の出産の余韻が冷めやらぬ中、胎の中に存在を主張するものが、もうひとつ。
 産声らしいものは聞こえなかった。ひたすらに同じような鳴き声だけが騒いでいた。流れたのだろうか。幼子を褒めるように頭を撫でる肢を好きにさせながら、そんなことをぼんやり思った。
 ――クルルルル。
 だがそれは勘違いだった。いつの間にか現れていた三匹目の生き物が、スイと何かを差し出してきた。全身が湿っていて、首も短く全身が毛皮に覆われているけれど、それは、間違いなくこの生き物の幼体だった。
 「は――、はは、は、」
 産んだ。産んでしまった。この得体の知れない生き物の赤子を。自分の胎から。
 ウォルターの口から乾いた笑い声が漏れた。口端は上がっていない。ぽろぽろと両目から涙があふれた。生き物たちが優しくそれを舐め取っていく。幼体は二匹とも眠っているようだった。穏やかな寝息が聞こえた。
 「んっ……」
 幼体を傍らに渡した生き物がウォルターを抱え起こす。椅子になっていた生き物も、それを助ける。今度は壁に両手をつきながら、地面に膝をついた体勢に動かされた。
 一匹目と二匹目の生き物が幼体を預かり、三匹目の生き物がウォルターにのし掛かる。六本の肢を使って、なるべく身体に負担のかからないようにしてくれる。
 ぐぷ……。
 「は、ぁ、ンッ……」
 散々使われた後孔は、生殖器を容易く呑み込んだ。ぬぢっぬぢっ、ぐちゅっぐちゅっ、と腰が揺らされ始める。
 「ふッ、ぉ゙、お゙ッ゙、ア゙ッ゙、ア゙ッ゙――、」
 堪える気力を失った声が律動に合わせてこぼれる。うなじや、防護服越しの背中にリップ音が落とされている。ぽた、ぽた、と地面に染みを作るのが涙か涎か、もう分からなかった。
 ――クュルルルル。
 身体の下から高い鳴き声が聞こえて、ウォルターは閉じていた目蓋を開く。眼下に、幼い顔立ちの小さな生き物がいた。ぷるぷると震える肢で立っている。あの幼体だった。傍には大きな生き物もいる。付き添いだろう。
 幼体は何かを探しているようだった。とちゅとちゅ揺らされるウォルターの身体の下でうろうろしている。あばら、否、胸の辺りを啄もうとしているように見えた。
 ああそうか、とウォルターは理解する。赤子なのだ。母体に求めるものはひとつしかない。けれど自分の身体を支えるので精一杯なウォルターにはどうすることもできない。張った胸が揺れて、乳首に滲んだ母乳が滴る。防護服に染みができている。クュルル。幼体が成体に助けを求めるように鳴いた。クルル。成体が応える。ウォルターの防護服に肢を伸ばし――孔への挿入の際にそうしたように、ビリビリと破いてしまった。真ん中を綺麗に裂かれた防護服は、留められていない前開きの服のように左右の布を垂らす。露になった乳首へ、幼体が吸い付いた。
 「ふあっ、ああっ、あんンン……ッ!」
 舐められ吸われ、時折噛まれる乳首。乳を搾られる感覚。後孔を侵される感覚に加えて、上体からの快楽も頭を壊していく。背筋を駆け抜ける甘美な毒。ふらりと彷徨った視界の端に、もう一匹の幼体が立ち上がるのが見えた。胎の中の剛直が膨らんで、その速度を増す。
 逃げなければ。だが、どうやって?
 気を抜けばすぐにでも散逸してしまいそうな理性を握り締めながら、ウォルターは得体の知れない熱と快楽に沈められていく。
 そんなウォルターの姿を、暗闇の外に転がされたドローンのカメラがじぃと記録し続けていた。

 

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