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実に遺憾なことにーー旧世代型強化人間の体液成分がほぼコーラルに置換しているためーー胎に出された精液は掻き出さずとも何も不都合は無かった。それでも行為の一環として後処理はしていたが、残存分はあったらしい。あるいは、処理の前に吸収された分か。
とかく、異変に気付いたときには遅かった。
薄らとふくれていた腹が痛んで、故もわからずその場に崩れ落ちた。奴は、まるでそれを待っていたかのようだった。今日も今日とて姿を現していた奴は崩れ落ちた俺を見て目を細めた。
あっさり抱え上げられた身体はベッドの上に置かれ、やはり呆気なく下履きを奪われた。そして膝を立て脚を広げさせられた。
馬鹿な、と思ってもおかしくはないだろう。
しかし俺はそれどころでなく、腹の痛みに浅い呼吸を繰り返す他無かった。息め。奴が耳元で囁いた。俺はもう、訳の分からぬ頭でその声に従った。早く楽になりたかった。
そうしてーーころりと、透き通った薄紅色の、ちいさなひとがたが、俺の股の間から転がり出たのだ。
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