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【R18】Sugar tune that from the Daydream Box

英スラウォルがイチャラブしてるのを見たかっただけの話。自分用習作。

英スラウォルがイチャラブしてるのを見たかっただけの話(???)

どっちも丸い。世話焼き()スッラと甘えたウォルター。

スッラがウォルターのことかわいいかわいい言いまくってる(いつもの)

過去か生存ifかパラレルか、何も考えてない。どれでもどうぞ。

巣作りとかしてますがバース系でも何でも無いです。かわいいひとにかわいいことさせたかっただけ。


やおいはファンタジー。濁点喘ぎ有り。

気を付けてね。


---


 スッラが帰宅すると家の中は深と静まり返っていた。

 フローリングをキシキシ鳴らしながら、はてと内心首を傾げる。同居人であるウォルターは既に帰宅しているはずだ。いつもならば――帰宅の早い方の仕事である――夕食作りをしてくれているはずだが、その気配は無い。料理をする音はおろか、テレビの音すら聞こえない。リビングに、当然人影はない。

 だが人の気配自体はある。寝室だ。

 まさか体調不良。嫌な想像が頭を過る。

 今は健康のために身体を鍛えているとは言え、スッラからしたらウォルターは未だに「少年」だ。子供特有の細くしなやかな肢体と、それなりの頻度で体調を崩していたのを、いつだって昨日のことに等しく捉えている。

 少しだけ足早に寝室へ向かう。パタパタと足音が鳴った。

 そして、そっとドアノブに手を掛ける。

 キィ、と蝶番が軋む。部屋の中、ベッドの上には、こんもりとした山ができていた。

 「……ウォルター?」

 静かに扉を閉め、足音も忍ばせてベッドへ向かう。シーツの端から、見覚えのある色のシャツがはみ出ていた。

 ベッドに腰かける。小さくスプリングが鳴いたのを無視して、シーツを静かに掻き分ける。そうすれば、やはりそこにウォルターはいた。

 寄せられた眉間の皺は普段と変わりない、どころかいつもより深く見える。覗き見える服は余所行きのもので、帰ってきてすぐにベッドへ潜り込んだのだろうと思われる。そしてシーツと共に握り締めているのは、スッラの服だった。

 シーツの外に覗いているものとは色が違う。どうやら複数抱え込まれているらしい。確認のために室内のクローゼットやチェストを見てみると、確かに衣服が複数抜かれていた。

 クク、とスッラの喉が鳴った。

 「ウォルタァ、寂しくさせてしまったらしいな?」

 再度シーツを覗き込んでスッラは言う。声をかけられ頬を撫でられたウォルターの目蓋が、ふるりとふるえた。

 伏せていた瞳がスッラを見上げる。きゅ、と寄せられた眉間と下がった口端は、拗ねた子供のそれだ。

 「……遅かったな。夕飯なら冷蔵庫だ」

 スッラの手から逃げるようにウォルターはシーツへ潜ろうとする。それを、スッラが許すはずがない。

 「巣作りまでしておいて私に用は無いと? 相変わらずだなァ、ウォルター」

 頬から顎へ、指先が移る。片手で顎を掬われても、ウォルターは大して抵抗しなかった。

 否。できなかった。

 スッラに見つめられ、ゆらりとウォルターの眼が泳ぐ。

 「そ、れは……、……これ、で、十分、だ、から……、」

 十分、でないことなど、どちらも分かりきっていた。

 クツクツ笑ってスッラがウォルターを撫でる。意地を張った言葉とは裏腹に、心地好さそうに擦り寄る肌と細められる目が愛しい。

 「そうか。風呂へ行って支度をしてこい。私はお前の作ってくれた夕飯を食べてくる」

 目元に口付けを落としてスッラは立ち上がる。ウォルターの視線が追いかけてくるのを感じたけれど、構わず部屋を後にする。視線を外してやった方が、ウォルターは動きやすい。

 スッラがキッチンの冷蔵庫を覗くと、ウォルターの言った通り夕飯が用意されていた。かけられたラップを少し開け、電子レンジで温める。主食となるパンはトースターで焼き目をつけた。

 スッラが夕飯を食べ始めてから程なく、寝室の方で人の動く気配がした。ややあって、シャワーの音が聞こえてくる。ゆっくりと言うか、もっそりとしたその音と気配にスッラの口端が上がる。随分と“お疲れ”らしい。構ってやるのが楽しみだ。

 ゆっくり食事を終えて、後片付けもしてから寝室へ向かう。ウォルターは少し前に戻っているはずだ。

 そっと寝室を覗く。ベッドの上には、やはり山ができていた。けれど先程よりも僅かに小さく見える。洗濯機の中が、賑やかになっていることだろう。

 スッラもまたシャワーを浴び、最低限の準備を手早く整える。

 そうしてウォルターの元へ戻れば、シーツの隙間から「遅い」と愛らしい文句が出迎えてくれた。

 「待たせた分、可愛がってやろうな」

 「……! っ、普通、で、いい……!」

 シーツを剥げば、ベッドの上はスッラの服でいっぱいだった。洗濯され、畳まれて仕舞われていたものが、贅沢に敷物となっている。くしゃりと皺になっているのは、ウォルターが握り締めていた部分だろう。加えて、ウォルターの肩にかかっていたのは、先日洗濯に出したばかりの上着だった。

 スッラは仰向けにさせたウォルターの胸に手を置きながら「はは」と笑い声を漏らす。目の前のいきものが、可愛くて愛しくて堪らなかった。

 ウォルターのくちびるを食む。厭がるように閉じられた目蓋は、しかしスッラのくちびるを食み返そうとする動きで拒絶ではないと知れる。愛らしいおねだりに応えて口付けを深くしてやると、ねだっておきながらウォルターはすぐに逃げ腰になった。おぼれるのが、未だに怖いらしい。あるいは羞恥か。どちらにせよ可愛らしくて、スッラはウォルターの舌を捕まえて思うままに味わう。あふれるふたり分の唾液を、余すことなく注ぎ込む。

 「ン、ゥ゙……、んぐ、ゅ゙……!」

 スッラの着ているシャツを、ウォルターの指先が軽く引っ張った。

 ほどけた舌先を、銀糸が繋いだ。蕩けた舌を晒しながら、ウォルターが縁の濡れた目蓋を薄く開く。

 「――ッは、ぁ、ふ……!」

 眉がハの字を描いている。ほとんど反射的に再度くちびるを塞ぐ。ぎゅうと閉じられた目蓋の端から、ぽろりと涙の雫がこぼれていった。

 「ン゙、ゥ……! ん゙ん゙……!」

 今度こそ、確かな動きでスッラのシャツをウォルターの指先が引っ張る。口付けの合間、呼吸のために作られる隙間から、悩ましい唸り声がこぼれる。躊躇いがちに、しかし確かに舌に歯を立てられれば、スッラも理性の声に耳を傾ける気になる。

 「っ、しつ、こい……!」

 擦れ合い濡れて真っ赤に色付いたくちびるがわななく。てらりと明かりに照るくちびるは、いつもよりふくらと丸みを帯びて見えた。

 赤くなった目元。寄せられた眉間の皺が、平時とは違った趣を見せる。

 ふ、と口元を綻ばせながら、スッラは額や目元、頬、口端に触れるだけの口付けをしていく。

 「お前があんまり可愛らしくてな。ではここからはお前の好きなようにやると良い。ほら、」

 耳元で囁いて、身体の上から退いてやる。自分の服の上に横たわるウォルターと言う画は、分かってはいても腰を重たくさせた。

 うう、と悔しそうな声と顔をしながらウォルターがのっそりと身体を起こす。下着に小さく染みができていた。

 スッラのシャツへウォルターが手を伸ばす。耳まで赤い。そろそろと裾をたくし上げて、はたと何かに気付いたように手が停まった。

 「? どうした?」

 「……! きさまっ……! ……ぅ、ぐ……、っ、ぬ、ぬ、げ、シャツ、を……、」

 「ああ」

 スッラはウォルターの言葉に従ってシャツを脱ぐ。大方自分だけ肌を晒していたことが恥ずかしくなったのだろう。脱いだシャツをベッドの上に落とすと、それをウォルターの眼が追った。スッラは苦笑して「それで?」と訊いてウォルターの気を引く。

 「それで、次はどうする?」

 平生、行為のほとんどでスッラに身を委ねている――流されているとか、翻弄されているとも言う――ウォルターに、意地の悪いことを言う。スッラの思った通り、「いつもの」ことを思い返してだろう、ウォルターの肩がぴくりと跳ねた。

 「……まずは胸に触れるだろう? それから孔を解す。私がいつもしてやっているのを自分ですれば良い。簡単だろう?」

 縋るようにシーツの上の服を握ろうとした手を引き留めて、ウォルター自身の胸に導く。

 「復習だ。よく思い出せ。私はいつもどう触れてやっている?」

 スッラの手と声に促され、ウォルターの手がその跡を辿るように小さく動き始める。片手は胸に。片手は尻に。そろそろと伸ばされる。

 「っ……、」

 「と、ウォルター。ローションはちゃんと使え。傷が付いてしまうだろう?」

 ただでさえ羞恥に死んでしまいそうなのに、スッラからストップがかかってウォルターは泣きそうになる。恥ずかしさと失敗したと言う意識から、生理的でない涙が視界を滲ませる。

 「……はは。お前は、本当にかわいいな。ほら、手伝ってやるから続けろ」

 さっとチェストからローションを取り出して、下着の中に入ったままのウォルターの手にまぶしてやる。布の色が変わる。どうせ洗濯するのだ、気にすることはない。くちり、と控えめな水音が下着の中から聞こえてくる。

 スッラの肩にウォルターが顔を埋める。目を合わせるどころか顔も見れないらしい。だがスッラにとって、すぐ側に来た赤い耳は好都合以外何ものでもなかった。

 「乳輪を指先で撫でて……乳首は起ってきたか? アナルはどうだ? 解れてきているか?」

 「っ、っ……、ん、……!」

 わざわざ直接的な言い方をして、ウォルターに触れている場所や、していることを意識させる。肌を湿らせるウォルターの吐息が震えていて、口角が上がる。

 「起った乳首を摘まめ。親指と中指で摘まんで、人差し指の爪を立てろ。……好いか? ああ、ウォルター。もう片方の手が停まっているぞ。二本目は挿れているな? 止めていないで動かせ。しこりを見つけているならそれをよく揉め。避けるな。……いつもそこで好くなっているだろう?」

 「ッ゙!゙ ン゙……ッ! ふッ、ゔ……、ぐ……ぅ゙ッ゙!゙」

 根がそうであるからか、相手がスッラであるからか、ウォルターの動きは素直だった。言われた通りに自ら乳首をいじめ、後孔を拡げていく。がくがくと腰が揺れて身体が強張ったのは、間違いなく達したためだろう。だがスッラは休ませない。素知らぬ顔で、続きを促す。

 「もう片方の乳首もいじってやれ。腕は伸ばせるか? アナルの方はそろそろ三本目が入ると思うが……挿れてみろ」

 「はッ、は……、っ、ふ、ッ、ふ、ぅ……!」

 「ウォルタァ? 良い子だから、な? ほら、もう少しだ」

 「――ひ、っ、ァ、……んッ、ゃ゙、ぅ゙ぅ゙……!」

 怯む手に手を重ねて動かしてやる。触れられずとも芯を持った乳首を捏ね潰し、ひくひく収縮する後孔へ三本目の指を押し込んでやる。汗と涎とローションで、ウォルターの身体は上も下も濡れていた。

 ぐちゅりと後孔を掻いて指を抜く。ウォルター本人の指は挿入ったそのままだ。乳首をいじっていた手から手を離せば、その手はぱたりと重力に従った。赤く色付いた肩が上下している。同じように赤く熟れた耳に口付けとリップ音を残して、スッラはそっとウォルターの顔を上げさせた。涙や汗に塗れた顔が晒される。眼は、スッラから逃げるように逸らされた。

 涙を吸うように目元に口付ける。ベッドの上に落ちたウォルターの手が、控えめに腕へ触れてきて、あやすようにくちびるも重ね合わせた。

 触れて食むだけの口付けをして、スッラは下履きを脱いでウォルターを呼ぶ。熱は既に起ち上がっていた。

 スッラを見て、ウォルターもまたおずおずと下着から足を抜く。ぐしょぐしょになって、色が変わっていた。ツ、と糸を引いたのを、スッラは見逃さなかった。後孔から抜け出た手を自分の熱に触れさせる。ふ、と俯いたウォルターの顔が横を向く。赤くなった耳がよく見えた。

 ウォルターの腰を引き寄せる。スッラはウォルターの身体が脚の上に乗ったことを確認して、ごろりとベッドに寝転がった。自分の身体を跨いだかたちになったウォルターの、丸くなった目が可愛らしい。理解が早いのはウォルターの美点だ。

 「入れるタイミングもペースも、動き方もお前の好きなようにして良いぞ?」

 つまりスッラはウォルターに騎乗位をさせようとしていた。丸くなっていた目が、否、スッラを見るウォルターの顔がくしゃりと歪む。

 「っ、スッラ……!」

 「ウォルター。お前ならできるだろう? ここまでできたのだから。な?」

 「――ッ!」

 「私の上に腰を下ろすだけだ。お前も、欲しくて仕方ないのだろう?」

 そそり起つスッラの熱にウォルターの喉が鳴った。いつも、挿れられている熱だ。――否。スッラが、“挿れてくれている”熱だ。これを、今回は、自ら挿れる。

 改めて目の前にすると、その「雄」を教え込まされた身体はずくずくと疼いて渇きを訴え始める。無理だ、恥ずかしい、と怖気付く意識が、熱と欲に塗り潰されていく。

 「っ、……っ!」

 そろそろと腰を上げて、スッラの腹の上に移動する。膝立ちになって、起ち上がった熱に手を添えて、後孔に合わせる。緩やかに起っていたウォルターの熱が、小さく揺れた。

 くぷ、と熱の切先を孔が呑む。それだけで、ウォルターの肩は跳ねた。

 「あッ――……、くッ、ぅ……!」

 かた、と膝が笑う。スッラの身体の上についた手が震える。崩れ落ちてしまえば、楔が一息に打ち込まれることになる。それは、こわい、と本能でウォルターは認識していた。こめかみから頬へ汗が伝い落ちていく。

 「ウォルター」

 スッラが名前を呼ぶ。閉じていた目蓋を開くと、スッラが、微笑みながら手を伸ばしていた。縋るように、ウォルターはその手を掴む。ローションや腸液に濡れるのも構わず、指が絡む。ニィと吊り上がったスッラの口角は、やさしい感情だけのものではなかった。けれどそれに、ウォルターは気付かない。

 「ぁ……、ぅ、ッ、ん……!」

 キシキシカタカタと義手が鳴く。硬い指に締められても、スッラはニコニコとそれを受け入れていた。

 ゆっくりとウォルターの腰が下りていく。時々動きの止まる度、くぷくぷと孔が熱を食む音がちいさくした。それを振り払うように、ふるりと頭が振られる。

 スッラからしてみたら牛歩の状態であった。ゆっくり、ゆっくりと少しずつ呑み込まれていく、と思えば止まって、そこでやわやわ締め付けられる。ウォルターにその気は無いのだろうが、焦らされている。はふはふ肩で息をするウォルターの姿も相俟って、腰は熱く重たくなる一方だ。

 だが――とスッラはウォルターを眺める。折角ここまでやってきたのだし、何より、ウォルターが頑張っているからなァ、と思う。集中している。夢中になっている。何かから逃避するように。意識を追いやるように。水を差すのは野暮だろう。

 「っあ――」

 そんな時だった。ふっとウォルターの身体が“落ちた”のは。

 ばちゅん、と肉同士のぶつかる音がした。スッラも「あ、」と思った。かは、と肺から空気の押し出される音。が。

 「ひゅォ゙――ッ゙、か、は、ッァ゙、ァ――~~~ッ゙!゙!゙」

 ガクンとウォルターの背が反った。頭も、天井を仰いで喉元が晒される。繋いだ手が、離さないでくれと言わんばかりに力を込める。ガクガクふるえる身体の中、楔を呑み込んだ胎は、その熱さと硬さを必死に受け止めようとしていた。

 「ァ゙、ぅあ、あ゙……、ぐ、ぅ゙、ゔ……!!」

 スッラの腹の上で、ウォルターの半身は精を吐き出していた。ぱたぱたと双方の肌を汚した。だが串刺しになった衝撃を必死に処理しようとしているウォルターに、そこまで気を回している余裕は無かった。

 「ひゅッ、ひッ、ひぐッ……、かはッ、」

 ややあって、指先に籠められていた力がふっと抜ける。ぐらりと、スッラの胸にウォルターの身体が傾いた。

 絡めていた手をほどいてスッラはウォルターを支えながら受け止めてやる。閉じかけた目蓋の中の瞳が、ゆらゆら揺れていた。

 「頑張ったな、ウォルター。ぜんぶ入れられて偉いぞ」

 ウォルターの臀部へ手をやり尻たぶを掴んで揉む。空気が入り込んでくぷくぷ鳴った。

 「くぁ……、ぁ、ンッ、ぅ……、も、もう、むり、だ、っ、ぅ、うごけ、ない、」

 スッラの胸に顔を埋めたままウォルターは訴えた。やわくなった声の芯は、スッラへの甘えに相違ないだろう。

 「……」

 「ッ! ゃ゙!゙ ァ゙、やめろ、スッァ゙、あぁ゙ッ゙……!」

 軽く腰を揺らして下から突き上げてやれば、ウォルターの口からは甘ったれた声が漏れた。尻に添えた手に伝わるピクピクとしたふるえが愛らしい。

 この様子では満足に動くことなどできないだろう。

 スッラはウォルターの身体を抱えて、ごろりとベッドの上を転がった。

 ウォルターの身体を見下ろして、にっこり笑う。

 突然スッラを見上げるかたちになったウォルターの目は、怯えと期待に濡れていた。

 口付けをする。ぐちゅりと絡み合った舌先に、目蓋を閉じたウォルターの眉間の皺が深まった。

 「よく、頑張ったな。良い子だ、ウォルター」

 額に鼻先に目元に頬に、スッラはくちびるを落としていく。ウォルターの腰を抱え直すと、ひゅ、と眼下の喉が上下した。

 ズ――、とスッラの熱がウォルターの内側を擦った。

 「ッア゙!゙ ぁ、うあァ゙……! ぁぐッ、ぐ、ぅ゙……!゙」

 ぐぢゅ、ばちゅ、ごちゅ。

 硬い楔が柔い胎を殴り、穿ち、刺し貫く。

 それはウォルターの待ち望んでいた暴力だった。

 「ん、あ゙――ッ、ひぐッ、ォ゙、ごッ、ア゙ッ゙、ァ゙ァ゙――、」

 「我慢するな。聞かせろ。感じるままに鳴け。ほら、どう動いて欲しい? 教えてくれ、ウォルター」

 蛇が囁く。

 意地をほどいて理性を溶かして、ウォルターを剥く声だ。見上げる姿が、ひどく眩しく見えた。

 指先が逃げるようにシーツに縋る。引っ掛かったのは皺だらけになったスッラのシャツだった。けれどそれを握り締めることはできなかった。シャツの持ち主が、指先をほどいて自分のそれと絡めてしまう。

 ぽろぽろと、握り締めていたものがこぼれおちていくような気がした。

 「――」

 どちゅ、と身体の奥が揺らされた。

 「ひゅッ――、ひゅぐッ、かふッ……、はッ、は、ァ……、んァ゙、ァ゙ァ゙……!」

 「はは。気持ちいいか?」

 「あ゙、ぅ、ア゙ァ゙ッ゙、ア゙!゙ ん゙、ん……! ッァ、す、ァ、」

 「なんだ?」

 「ァう……、ぁ、た、りァ、い……! も、ッと、ぉ……!」

 胎をきゅうきゅうさせながらウォルターは言った。できる限り首を反らして目蓋を固く閉じて、それでも絡めた指から力は抜かずに、確かに言った。歩くに杖を要する脚が、健気に腰に触れた。

 「――ゃだ、スッラ、ちが、ちがう、」

 けれどすぐに自分が何を口走ったのか理解したらしく、慌てた様子で首を振る。思わず開かれた目蓋は潤んだ瞳を晒す。

 「良い子だ、ウォルター。お前の望む通りにしよう」

 「あ……、ああ……、ゃ、ちが……、すら、だめだ、ぉれ、」

 「「だめ」じゃない。な?」

 「まっ、スッ――ッひゅ、ァ゙、ん゙、ぎッ! あ、あ、アア゙ッ゙……、ふ、ぅ゙!゙」

 スッラが手をほどき、ウォルターの腰を抱え直して、腰を打ち下ろし始める。覗き込んだ顔の、半端に開いたくちびるに噛み付けば、目蓋が閉じて目尻から涙がこぼれ落ちていった。

 ぐちゅ、ぢゅるり。ごぢゅ。ちゅむ。ぐぷ。ぢゅず。

 上からも下からも水音がする。舌先がぴりぴり痺れて、背骨にはびりびり衝撃が走る。どちらも快感だった。

 スッラの身体を押し返そうとする手は片手間に背中へ導かれた。どちらの肌が汗ばんでいるのか、定かでない。指の腹ではすがれないと気付いたウォルターの指先は、つきりと爪を立てた。腕も脚も孔も、スッラを許していた。

 「は、はふ、ぅ、あ゙……、は、あ、ア゙……! ぁゔ!゙ あ゙!゙ は、ァ゙ア゙!゙」

 ちゅぷちゅぷ音をさせて自分の舌に奉仕するウォルターに笑みを浮かべざるを得ない。きっと無意識なのだろう。口元をべたべたに濡らす、相変わらずの下手さに安堵を覚える。ぁぷ、はふ、と分かりやすい息継ぎは、きっと女性の興を削ぐものだ。

 拡がった孔の中、腫れたしこりも熟れた襞のひとつひとつも、いちばん好きなのはスッラの触れ方だ。スッラにしか触れられていないし、だからスッラの触れ方を「好いもの」と疑い無く覚え込んでいる。

 「ォ゙――っァ゙、待っ、ひゅォッ……、そ、こ、ォ……ッ゙!゙」

 胎の奥の奥に押し入られて、そこに雄を受け入れるのだって、きっとスッラだから許すし満足できるのだ。

 「はッ――、はは……!」

 「相手(こいつ)だから」と言うのは、スッラも同じだった。キスもセックスも、ウォルターとでないと、もう満たされない。背中に残される爪痕も肩に刻まれる歯形も――滅多に無いけれど――胸元や首の辺りに付けられる鬱血痕も、ウォルターのものだから愛しく思える。

 スッラが蹂躙に等しい振る舞いをしてもウォルターは真直ぐに抵抗して、スッラが気紛れな倒錯に付き合わせてもウォルターは受容して、そして事後翌日に小言を少しこぼして――それだけ。性質としては人を選ぶスッラを、そのまま許したのも窘めたのも、ウォルターが最初で最後だった。

 ひとりで生きてきたスッラがウォルターを懐に“仕舞い込んだ”のは、必然と言えた。保護者のように世話を焼いて、パートナーのように触れ合った。

 その理性ごと、不安や憂鬱を押し潰すように、スッラの熱がウォルターの胎奥を抉じ開ける。

 ぐぼ、と身体を押し潰されて、ウォルターの溶けたバリトンが跳ねる。顎先と瞳が上向いた。胎も腕も脚も、自身に無体を強いる身体にすがっていた。

 「好きだろう? ウォルター」

 胎の奥、肉襞の輪に欲の先を嵌めながら、軽く腰を揺らしてスッラが笑う。獰猛で、無慈悲で、端正な顔だった。

 「ぁ、ぁ……、ん、ぅ……、す、すき、だ、」

 意地の悪い問いに対し、とろりと穏やかな、けれどそこに、確かに理性の明かりを灯して、ウォルターが吐息を吐く。

 「ァ゙、ぐ……、っ、おまえ、だか、ら……ァ、っ、おれ、は……、」

 首まで真っ赤にして、きゅうと四肢でしがみついて、後孔もキュッと締めた愛しい存在に、スッラは反射的に噛み付いていた。

 「ァ゙――ッ! アアッ! ぉ゙ッ゙、あ゙ッ゙!゙ かひゅッ、かはッ、ァ゙――、ん゙ぎ、ィ゙ッ゙、ァ゙ア゙ア゙ア゙!゙」

 「はッ! はは! ウォルター! ああ、ウォルター……、お前は、ほんとうに……!」

 「ん゙ォ゙!゙ お゙ッ、ごッ! かはッ! ァ゙ゔ!゙ ァ゙あ゙、ア゙……! ぁえ、ぁ゙、ア゙ア゙!゙」

 「ウォルター。ふ、ふは、は……、あぁ、ウォルター、私もお前を愛している。愛しているぞ、どんなに無様で醜いお前も」

 「ひ、ィ゙……!? ぁ゙、ひ、ッォ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙!゙!゙ ごほッ、ォ゙、オ゙オ゙ッ゙!゙ かは、ァ゙、ま、まへ、ッ゙!゙ すァ゙、まッ゙ぇ゙、……! こふ、かひゅッ、」

 ぐぽぐぽと胎の奥を鳴らされて、その度に腫れたしこりを轢き潰されて、喉元に噛み付かれて絞められて、ウォルターは咽ぶ。

 過ぎた刺激に跳ねる身体は、しかし押さえ付けられて逃げ場がない。とろとろ薄い白濁を垂れ流すだけの半身が、力無く腹を叩いていた。

 「あ゙あ゙!゙ ァ゙ア゙ア゙!゙ すら! すっア゙……!゙ ひ、ひぃィ゙ッ゙!゙ ゃ゙!゙ やら゙……! も゙、むぃ、だめァ゙……! ォ゙、ぅ゙ッ゙、ぐ……! はひ、ひッ、ア゙ア゙!゙ も、らめ、ら、ァ゙……!゙」

 そしてウォルターが悲鳴を上げる。音の無い悲鳴だった。同時に身体が強張って、その全身が自分を抱き征する雄に媚びる。背に爪を立て、腰を脚で引き寄せ、熱を胎が扱き上げる。眉を寄せた赤い顔は額に前髪が張り付いて幼げになっていた。喘ぐ口の中、唾液でてらてらと濡れた舌すら誘いの甘露だ。

 「――、~~~~~!」

 「――ッは! はは……!」

 スッラがウォルターの最奥に、熱の先端を擦り付ける。どくどくと、愛情とも執着ともつかない白濁が胎を埋めていた。

 「はッ……、ウォルター、かわいいな……、かわいい、ウォルタァ、」

 「ぁ……、ぅ、ぅ……、ひ、」

 もはや何を見ているか分からないウォルターの耳元でくすくす笑う。すき。かわいい。あいしている。睦言の類いを吹き込めば、キュンキュンと胎がふるえて愛らしい。名前を呼んでやれば、シーツの上に落ちた指先がピクリと動いた。

 「――……」

 一息吐いて、のそりと身体を起こす。

 他者を拒むようにシーツの中で丸まっていた身体は奥まで拓かれて蕩けている。様々な液体で汚れながらも触れるのに躊躇いを持てないのは欲が未だ尽きていないからだろう。乱れたシーツの上、同等あるいはそれ以上に散らかった自身の衣服に笑みが収まらない。“あの”ウォルターが稀に見せる隙であり甘えの合図。何度遭遇しても堪らない。今回は何が引き金となったのだろう。

 「ぁ、ん……」

 ウォルターの内面に想いを馳せながら口付けをすれば、閉じた目蓋の通り、意識の無い声が小さくこぼれた。

 スッラはてきとうなシャツを拾って自分とウォルターの身体を拭く。挿入したまま寝転がり、仰向けになって身体の上にウォルターを乗せる。まるで騎乗位の途中で寝落ちたようだ。手探りにシーツを引き寄せてかければ、すぅすぅと聞こえる穏やかな寝息を捕まえられたような気がした。


 「――!!」

 数時間後、目蓋を開けたウォルターは声にならない悲鳴を上げた。やけに温いと思ったら人間を敷布団にしていて、ついでに彷徨わせた視線の先に見知った顔面があったからだった。

 「!? な、なんッ――ひ、ァ……ッ!?」

 加えて臀部もとい胎に違和感があって、胎に収められたままのそれを無防備に締め付けてしまった。数時間前に高められた熱を、身体はしっかりと憶えていた。

 「ふァッ! っ! ぁ、ァあう……ッ!!」

 かくんと身体が跳ねて背筋が甘く痺れる。

 ああ、これは、マズい。と思った。

 「――っ、ふ、ぅ……、っ、っ……!」

 「……モーニン? ウォルター?」

 「ひッ――!」

 ぽんぽんと背中を叩かれる。寝起きの少し掠れた、けれどしっかり機嫌の良さそうな声が名前を呼ぶ。鼻腔をくすぐるにおいは、その存在をはっきりと認識した途端に濃くなった気がした。

 「ぅ、ァ……ッ!」

 キュン、と胎がまた熱を。

 「ぁ……、ふぁ、ひ、っ、ちが……、ゃ……!」

 「はは。寝起きからかわいいなァ、ウォルター。……足りなかったか?」

 スッラの手が腰を撫でて尻を揉む。そのままぺちりと軽く叩かれて、それでまたウォルターの身体は跳ねた。けれど「足りなかったか」と問うスッラの声が存外真剣なもので、ウォルターはふにゃふにゃ形を失いかけている声を必死に手繰り寄せる。

 「も、もう、いい……! クソ、何故こんな……っ、スッラ! 貴様、この……っ!」

 その場から逃げ出そうにもカタカタふるえる身体は言うことを聞いてくれない。何より、胎の内側を擦る熱がぞくぞくと背骨を焼き撫でる。

 「は、ァ……! ――ッ!」

 結局スッラの上にぺたんと伏せって、ウォルターはぐずりと鼻を鳴らした。

 「…………降ろせ」

 「このまま風呂場まで連れて行ってやろう」

 目の前に差し出された頭を遠慮なく撫でながらスッラが笑う。当然、ウォルターには見えていない。

 「やめろ。抜け。さっさと抜け。……クソ、どうしてもう硬くなってるんだ」

 「お前がかわいいからだな。……ほう? そうかそうか。私に褒められるのがそんなに好きか。どこまでもかわいい奴だなお前は」

 「――ッ! スッラァ゙……!」

 獣の唸り声にも似た声がスッラを威嚇する。だが爪も牙も立てない――スッラを害すると言う発想が無いのだろう――ウォルターは、やはりかわいい生き物だ。

 ははは、とスッラは笑う。良い目覚めだ。宣言通りこのままウォルターを風呂場へ運んで世話を焼いてやろう。きっと楽しい。

 そしてスッラの計画は――上手くいった。繋がったままウォルターを風呂場へ運び、そこで軽く抱いてから、恥じ入るのをあやし宥めながら中の奥の奥まで洗った。湯を溜めたバスタブにも浸かったし、水気もふわふわのタオルで拭ってやった。帰りも、疲れているだろうと横抱きに抱えて寝室へ戻った。

 だがその後は。

 構い過ぎたのか、ウォルターはシーツに包まって出てこなくなってしまった。話しかけても一言二言投げ返されるだけになってしまった。

 仕方がないのでスッラはウォルターをシーツごと抱え込んで寝ることにする。どうせ今日の仕事までまだ時間はある。チラと腕の中を覗き込めば、ウォルターがこっそりと見上げてきていた。ぶつかった視線が慌てて逸らされる。背を向けられない辺り、甘えられているのだろうなと言う確信がある。突き放されない、どころか微かに寄せられる身体は、シーツを被っていないスッラに対する意地と良心の表れだろう。

 かわいいなァ、とやはり思う。

 スッラが、今回シャツを何枚か捨てたと言ったのを聞いて目を泳がせていたのも可愛らしかった。自分のせいで捨てることになった申し訳なさと、捨てられる“スッラの衣服に対する”惜別の情だった。捨てた分、当然新しいものを買う予定だが――それがウォルターの“巣”に使われるのは当分先のことだろう。

 スッラはくふくふ笑い声を漏らした。ウォルターが不器用で愛らしいからだ。

 シーツから覗く髪に口付けを落として、スッラはウォルターを抱える腕にそっと力を込めた。


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