英スラウォルで機械姦。のつもり。wp勝利後拉致監禁洗脳人格破壊系。ちょっと流血描写。着地場所は甘め。難産でした。
「物語の破綻も人類の破綻も、君が君の人生と共に健やかにあることと比べたら些細なことさ。」
機械姦スラウォル。のつもり。
そして英スラウォルのつもり。
wp勝利√。拉致監禁洗脳人格破壊系。着地場所は甘め。
ちくぴとか濁点喘ぎとかコラキメHCとか。
ちょっと流血描写。
機械系の良さを活かせてない気がする……。
英ウォル堕とすのにもっと丁寧丁寧丁寧な描写や流れを組みたいけど諸々の力が足りません。力が……欲しか……!(訛)
難産でした(手だけ付けてたのを数ヶ月越しに回収)
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思うに、結局この男が「自分の人生」を生きることなど無いのだ。過去に囚われ、亡霊に縋られ、刷り込まれた使命を自分の悲願にしている。哀れで、度しがたく、かなしい存在。そんな男のために時間と命を費やしてきた自分も大概だが――とかく、その追いかけっこももう終わりだ。
ようやく鳥籠の中に仕舞い込んだ獲物を撫でて、スッラは笑った。
ウォルターを“固定”して数時間が経った。モーターやエンジンの駆動音が部屋に響く。ぐちゃぐちゃ、ずぶゅずぶゅ、と粘ついた水音は絶え間ない。対して、ウォルターの声は途切れがちだ。おそらく意識が無いのだろう。無理もない。
悠々と室内を歩くスッラは身綺麗だ。下を履いて、首にタオルをかけている。見たまま、一人シャワーを浴びてきていた。
床を方々這うコードやケーブルを避け、跨ぎ、四方の壁を埋めるように積み上げられた機械の間を往く。モニター、計器、制御装置。機材は多岐に渡る。だがメインとなるのはウォルターを固定した4機だ。ウォッチポイント・デルタで僚機として使った機体を解体(バラ)して組み直して拵えた機械。制御装置の再構築は多少面倒を感じたが、他は然して苦もなく作業を進められた。部品の組み替えと接続、システムとプログラムの構築。どれもウォルターのことを考えれば淀みなく手が動いた。
前傾姿勢型コックピットのような装置に固定したウォルターの顔をすくう。涙や涎や汗で汚れている。両手足を固定されているから、拭いたくても拭えないのだ。かわいそうに。意識が飛び、幾分やわらかくなった表情――とは言え、寄せられた眉間の皺は健在だ。薄く開かれたくちびるから、時折うなされるような喘ぎ声がこぼれる。それを、吐息を吐くように笑って、スッラは自分の唇をウォルターの唇に重ねた。
くちびるを食んで、歯列を辿って、口内を割り開く。意識の無い舌を引っ張り出して、擦り合わせたり噛んだりして好きに味わう。隙あらば噛みついてこようとする普段とは違って張り合いは薄いけれど、穏やかな触れ合いも良いと思った。
キスしたところでこのお姫様は目覚めない。
じゅ、と舌を吸ってから顔を離す。手を伸ばしてコントロールパネルを手繰り寄せる。パネルを操作して、スッラはウォルターを苛んでいた機械を停める。ズルリと後孔から長大な管が抜け出ていき、陰茎を包んでいた管が外れる。首と下腹部に巻き付き、そこを圧していた管もスルリと離れ、胸の飾りに噛み付いていた管も大人しく離れていった。四肢を固定していた器具のロックも解けば、ウォルターはどしゃりと崩れ落ちる。おそらく、その衝撃でだろう。小さな呻き声が聞こえて、指先や腕がぴくりと動いて、起き上がろうとするのが見えた。
しゃがんで、ウォルターの髪を掴んで上を向かせる。プツプツと、手の中でちいさな音がした。
痛みに歪んだ顔が現れる。その顔はやっぱり色々な液体に汚れていて、哀れで無様で可愛らしかった。痛みか羞恥か悔しさか、涙で潤んだ目もまた良い。モーニン、と浮わついた声でスッラはウォルターに笑いかけた。
「モーニン、ウォルター。ご機嫌如何かな? 見たところ……好過ぎてトんでいたようだが」
「…………さい、あくだ……。へた……くそ、め」
掠れきった声でウォルターは悪態を吐く。どろどろに汚れてなお、その意志と理性は形を保っているようだ。その強情さにスッラはむしろ嬉しそうに笑った。
「く、っは、ハハ! それは悪いことをした。数値としては……随分愉しんでいるようだったのでな」
スッラが壁と化したモニターを見遣る。そこには数時間ごとのウォルターの様子が、その時の各数値と共に映し出されていた。スッラの眼を追ってモニターを見てしまったウォルターが眼を伏せた。
「さて」
その顔を、見もせずにスッラはウォルターの髪から手を離す。疲弊して力の入らない身体はやはりどしゃりと崩れ落ちた。
「そろそろ私の相手をしてもらっても良いか?」
言いながら、スッラは既にウォルターの背後へと回っていた。答えなど、端から求めていない行動だった。
首にかけたタオルを放り、下履きを脱ぎ捨てて、ウォルターの腰を持ち上げる。
身体の下に隆起した台のあるおかげで足は閉じられない。つい先程まで機械を咥え込んでいた孔はひくひくとふるえ、ぬかるんだ肉壁を覗かせていた。
ずぷ、と前戯も何もなく、硬く昂った欲が挿入される。無機質な機械には無かった熱に、かは、とウォルターが眼を剥いた。
「ォ――、ぁ、ア……、」
熱を拒むように――あるいは歓迎するように孔が縮こまる。はは、とスッラは笑った。
「良い子だ、ウォルター。やわくて熱くて、健気だ」
ぐぢゅ、ぐぷ。硬い熱が、柔い胎を穿ち始める。
「あ゙、ッ、……は、ァ、や、ゃめ、ぇ゙……ッ!」
ずぷゅ、ずりゅ、と胎の中を動く熱は、しかし緩やかなものだ。意識を失うまでの、胎の底を殴り付けるような機械の動きとはまったく違う。生ぬるいと言うか、やさしい動きだ。
「ぁう、ぅ゙、ん゙ん゙……、~~~ッ!」
それなのにびりびりと背筋を走る快感は強く大きく、ウォルターは背中を丸めて耐えようとする。それを、スッラは笑って見ていた。
とちゅ、くちゅ、と切っ先が胎をつつく。その動きに合わせるように、おそらく無意識にウォルターの腰がゆるゆる動く。もっと激しいのがお好みらしい。
ぱちゅ、と今一度腰を打ってからスッラはウォルターの胸へ手を伸ばす。胸を抱えて身体を起こし、自分は機材の壁に背を預けて、背面座位の体勢。ずず……と自重により深く咥え込むことになった熱に、孔はひくひくとわなないた。それをくつくつ笑って、スッラはウォルターの胸をするりと撫でる。
機械にいじめられていた胸の飾りは真っ赤に熟れて立ち上がっていた。
ふくらんだ、ちいさな実の周りを指先で撫でると、肩が揺れてクゥと喉が鳴った。すりすり、くるくると乳輪を指先で擦る。それだけで、は、は、と湿った吐息を漏らすウォルターは、きっと悩ましげな表情を浮かべているのだろう。ほとんど力の入っていない手が、スッラの腕に引っ掛かっていた。
それを、かわいいなァと笑ってスッラは無視する。ぎゅむ、と人差し指と親指で乳頭を摘まみ潰した。
「ひ、ぎ――ッ!?」
ウォルターの背が反って、孔がきゅうと締まる。それで中の熱をまた感じて、ひぃ、と短い悲鳴が上がった。
スッラはそのまま摘まんだ乳頭をグイと引っ張った。ウォルターの胸が突き出される。
「ひ、ぃ゙、ォ゙……ッ、ぅ゙、あ゙ッ、ゃめ、ぇ゙……!」
頭が微かに動いて、背後を振り返ろうとしているのが分かった。
スッラはウォルターの乳首からパッと手を離す。そして胸を抱え込んで自分にもたれかからせる。真っ赤なうなじや耳が目の前に来て、遠慮なくくちびるを落とした。その感覚、リップ音にすらふるりと身体がふるえて愛らしい。
スッラがクク、と喉で笑う。
「ん゙ぎ、ィ゙ッ゙ッ゙ッ゙」
そして思い切り、ウォルターの胸の先に爪を立てた。胎がきゅうと縮こまり、きゅむきゅむと熱を揉む。その心地好さに口角を上げながら、立てた爪を揺らしてやる。
「ゃ゙、や゙、ァ゙、っ、ァ゙……! す、ら、こんな、ゃめ、ろ、ォ……ッ゙!゙」
「好過ぎてか?」
「っ゙な゙、わけ……ひッ、ィ、ィ゙ア゙ア゙ッ゙……!゙」
短く整えられている、とは言え、硬い爪でぐりぐり虐められた胸の先にはその痕が刻まれていた。だがスッラはその痕を消すように、再度乳頭を摘まみ上げる。機械に散々育てられた乳首は結局、立派な性感帯として芯を持ってしまっていた。
そこで、スルリと機材の中からスッラは何かを取り出した。正確には、抜き出したように見えた。
上機嫌に、鼻歌まで歌いながらスッラはウォルターを抱え込む。手放された乳首がじんじん熱を持っていた。
そして機材から抜き出した何か――針を胸に当てる。それに気付いて、ひゅ、とウォルターの喉が鳴った。
「な……、は、ぇ? そ、んな……、なに、を、」
「大丈夫。大丈夫だ、ウォルター。すぐにお前も気に入る」
スッラは狼狽えるウォルターをてきとうにあやして言う。まさかウォルターも、そんなところに手を加えられるとは思っていなかったのだろう。
ツプ――と、乳頭に対して水平に針が入れられる。
「ひぎッ、ァ゙、……ッ!!」
「はは! ……締まったな。やはり痛い方が好きか?」
「っ、っ……! はずせ……!」
肩や腹を上下させながらウォルターは言う。自分の意思とは関係なく強ばる身体に、溺れかけているようだった。
だがスッラがウォルターの要求を呑む要素など、そこには一欠片も無かった。もう片方の胸にも、同じような針が当てられる。
「待っ、やめろ、こんな、無意ぎィ゙ッ゙!゙!゙」
ウォルターの懇願など端から無いかのように、針は再度通された。飾り気の無い、ただの棒とも言える無機質が、その胸を飾る。
いまだ呼吸を浅く繰り返す胸の先、その周りをくるりと指先で撫ぜて背中に口付けを落とす。赤い雫が、薄く線を描いた。胸の中央から鳩尾へ指先を走らせると、ひくんと身体が跳ねて強ばった。
「分かっていると思うが、触れるなよ。傷口を拡げたり膿ませたいのなら別だが」
「ッ、ぅ゙、ぅ゙ぅ゙……!」
「ふは。穴が安定したらもう少し凝ったものを着けるか。どんなものが良い? 希望くらいは聞くぞ」
「っ、ッ……! ざれごと、を……!」
熱に濡れ、涙に潤んだ瞳が、それでも固い意志を灯してスッラを睨む。その眩さに、スッラは刹那、確かに灼かれた。
「――く、ッハハハ! ウォルター! お前と言うヤツは! 本当に手を焼かせてくれるな!」
スッラは腹筋を使って身体を起こす。その手はウォルターの首を掴んでいた。
ズダン、とウォルターの身体が台の上に押し付けられる。ウォルターの手が縋る場所――あるいは武器になるもの――を探して空を掻く。目の前には、名も用途も知らぬ機械が、山のようにあった。
そして掴んだのは、スッラが来るまでウォルターの腕を固定していた部位、その中身だった。少し前まで掴まされていた部分を、今度は自ら掴む。それはまるで罠にかかった獲物だった。
「殊勝だな、ウォルター。やはりお前は「良い子」だ」
背後でスッラの動く気配がして、小さな機械の駆動音がする。しゅるり。かちり。ウォルターの手が、動かなくなる。
あ。と、思った。
ザァと血の気の引く音が聞こえた。
「――ァ゙、ア゙ア゙ッ゙!゙ っぐ、ぅ……、かは、ァ……ッ!」
けれどそれも一瞬。すぐに胎を穿つ音が戻ってくる。
ぐちゅ、ずちゅ、どちゅ。背後で弾む呼吸は愉しそうだ。
機械に散々なぶられ、しかし機械には無かった熱で焼かれ、胎はスッラを嬉々として締め付ける。ウォルターの意思に関係なく、身体は欲と熱を受け入れていた。
「あ゙、あ゙――、ッア、ん゙ッ゙、ぐ、ぅ……! ッぎ、ぅ゙……!」
「はは、」
快感に流されまいとウォルターの身体が強ばり、背筋が陰影を描く。それを見てスッラは笑声をこぼす。ウォルターが愛らしくて、指先に力が篭った。掴む腰に、痕が残る。興奮が興奮を呼んで、熱は螺旋のように渦巻き駆け上がり――確実に欲望を育てふくらませていた。
ごちゅ!
胎を苛む熱の切っ先が、胎の奥を抉った。
かは、とウォルターが目を見開く。ぽろぽろ涙がこぼれ落ちていった。
「ひゅっ――、かひゅ、っ、ァ、ぉ゙、オ゙……ッ!」
ごぢゅ! ごぢゅっ! ぐぢゅっ!
一際キツく締まった胎を、スッラは更に穿つ。ウォルターの身体の下で、ぬぢゅぬぢゅと水音がねばつきながら揺れていた。
「――ハッ!」
そうして、スッラが一際強く腰を打ち付ける。ばちゅ、とウォルターの薄い臀部や腰の肉が波打った。
「ぁ、う、ぅ、……っ!」
じわりと胎の中に熱の広がる感覚。出したな、と背後のスッラを睨もうとしたところで、快楽に沈んだ身体は言うことを聞いてはくれなかった。カタカタふるえるばかりで、文句もひとつだって舌先がしびれて出てこない。
そうこうしているうちに、スッラはずるりと熱をウォルターの胎から引き抜いた。
「良い子だったな、ウォルター。よくやった」
背中や肩や首元、耳元。まるで慈しむように口付けが落とされていく。
ウォルターの下肢はもう力を入れていられなかった。台に阻まれ、足を閉じられないままくたりと沈んでいる。とろり、と太股を白濁が伝う。それにまたふるりとウォルターの身体がふるえ、悩ましげな声が小さくもれた。
スッラはやはり慈愛にも似た表情でウォルターを見て、そして、再度機械の管を後孔へ埋めた。かは、とウォルターが目を見開いた。
「ひ、ぐ……ッ!? なん、……きさま゙、ァ゙……!」
「生憎私は未だ「ヒト」でな? 片時も離れずお前を可愛がってやりたい気持ちは山々なんだが……」
スッラは白々しく眉尻を下げる。上がったままの口角が実に愉しげだ。
するすると脚をケーブルが這う。まるで生きているかのように。するりするりと巻き付いて、ケーブルはウォルターの脚を開いたまま固定してしまった。
「仕方がないから、私が手ずから組んだプログラムでお相手しよう」
何が仕方ないんだ。ウォルターは自分の前に椅子代わりの機械を放り、そこに腰かけた男を睨み付ける。強化手術の痕跡が、モニターに照らされて、場違いに煌めいて見えた。
まったく誤算だったのは、スッラがウォルターにゴーグルとヘッドホンを当てたことだった。無抵抗につけられたそれらから流れてきたのは、数刻前の自分の醜態だった。
真っ赤な顔と身体で無様に喘ぎ、悶えている姿。嫌だ、やめろ、と唇を戦慄かせたところで、それは無意味だった。
ヘッドホンの向こう側で、機械の駆動音が聞こえた。身を捩ろうとして――ズン、と、衝撃が。
「ゔあ゙、ア゙、ッぐ、ァ゙、ア゙ゔッ゙、ゔッ゙、オ゙ッ゙、」
『ひぐっ、ゃ゙、も゙、やらァ゙!゙ ひぎゅッ、ゃめ゙ッ゙、ゃ゙、ァ゙――!゙』
ぐちゅ、ごちゅ、ぐぢょ、ぐぷ。
ぬぢゅ、どちゅ、ずりゅ、ずぶ。
聞きたくもない淫猥な音が、重なって、染み込んで、響いている。目の前に、汗や涙や涎に塗れて汚れた自分の顔。上気した頬に潤んだ双眸は、曰く、蕩けて好さそうだたとか何とか。こんな、こんなだらしのないものが良いなど、どうかしている。どう見たってみっともない男の泣き顔だ。
やはりスッラは、自分を馬鹿にして嘲っている――とウォルターは、ゴーグル内に映る顔と似たような顔をしながら唇を噛む。ほんの一瞬のことだ。すぐに唇はほどけて涎と嬌声を垂らす。
目蓋を閉じれば映像は遮断できる。だが、音が強まって、ありもしない――だろう――淫画を思考が描いて身体が熱を生む。結局ウォルターは、意識があるうちは目蓋を開いていることを選んでいた。そして、ああ、また、ゴーグルの中で自分が果てた。
どこもかしこも熱くてひりついて、寝ても覚めても変わらない風景と状況に、ウォルターは頭がおかしくなってしまいそうだった。ぽろぽろこぼれる涙が生理的なものなのか感情的なものなのかも分からない。
「ああウォルター。私はお前に泣いて欲しいわけじゃあない。どこか痛い場所があるか? それとも何か怖いことがあったか?」
それなのに、スッラは、ウォルターですら判らない涙の色を判じようとする。ゴーグルの縁から染み出た雫を、目敏く“掬い上げる”。
優しい手付きで、ゴーグルとヘッドホンが外される。そこにはパイロットスーツでも何でもない、ラフな服装に身を包んだスッラが立っていた。
どれだけの時間が経っていたのだろう。気付けば後孔や陰茎の機械も動きを止めていた。ひく、とただ挿さっているだけの機械を締め付けた孔に、ウォルターの目が泳いだ。
揶揄される、と思った。けれど、予想に反してスッラは色々な液体に濡れたウォルターの頬を撫でるだけだった。細められた目には、喜悦と慈愛と、少しの憐憫。ゆったり肌の上を行き来する指先は優しく、ウォルターは無意識にその指先に擦り寄っていた。束の間の安寧だった。
スッラは疲弊し、隙を見せるウォルターの頬をそっと両手で包む。顔を近付けると、細められほとんど閉じていた目蓋が、さすがに開かれる。だが、もう遅い。くちびるが重なった。
「ァ……、っ、ん゙! っぁ……、」
ウォルターは拒絶を示そうとした。けれど、舌を食まれ、擦り合わせられれば、そこから生まれるぴりぴりふわふわした感覚に力が抜けていく。甘く感じる唾液を注がれても、乳飲み子のように受け入れるしかない。
そうして、ちゅむちゅむぐちゅぐちゅと口内をまさぐられれば、ウォルターの顔はとろりと上気したものができあがる。まるで薬でもやったかのようだ。その自覚があるのか、とろけた顔が悔しげにスッラを見る。
「なあウォルター。お前は、本当にお前「が」使命を果たさなければならないと思っているのか? 誰だって良いだろう、結果が同じならば。そもそもお前「が」成し遂げなければならないことか? お前「は」何もしていないと言うのに」
スッラは穏やかな顔で囁いた。
「ウォルター、お前は良い子だ。頭も良い。聡い子であるお前なら分かるだろう? あの教授が、真にお前にして欲しいことを。お前が選ぶべき「遺志」を。お前の犬たちが死んだのは確かにお前のせいだが、お前が犬たちを死なせなければならなかったのは、お前のせいではない。私はちゃんと分かっているぞ、ウォルター。お前は良い子だ」
それは毒のようにウォルターを侵した。普段ならば容易く撥ね付けられる言葉が、ジワジワと意識に染み込んでいく。
「ウォルター。もう苦しむな。装うな。偽るな。お前は何も悪くない。他人のためにお前が傷付く必要は無い。お前はお前のために生きて良い」
ぐるぐるとスッラの言葉が回る。甘い声だ。触れる手も優しい。眠りに誘うかのようだ。ウォルターの目からぽろぽろこぼれる雫を指先が拭う。
「――……、き、さま……っ、盛ったな……!」
ウォルターが、まろい表情のまま呻いた。
「私は何も? だが――そうだな。旧世代型は体液中のコーラル濃度が高くはあるな?」
お前も知っていると思うが、とスッラは笑った。
「ウォルター。素直になれ。私が全て許す。もう楽になれ」
そして、暗転。
次にウォルターが目を覚ましたとき、周囲の風景に変わりは無かった。薄暗い部屋。積み上げられた機材。種々の映像を映して青白く光るモニターたち。
ただ体勢は変わっていた。台に身体を預けるのではなく、跨がるかたちになっていた。手首と足首が括られて、反った胸の針で串刺しにされたままの乳首が灯りに照らされている。後孔には相変わらず管が居座っていた。もはや出せるものの無い陰茎はくたりと萎れてそのままだ。
気分は悪くなかった。ふわふわとして、多幸感があった。胎の奥をずんずん圧す管に合わせて、媚びるような息が漏れる。婀娜めいた表情が浮かんでいた。
度重なる気絶と覚醒に時間の感覚は完全に失われていた。空腹は感じない。喉の渇きもない。腕には栄養補給のためだろう注射痕が残っていた。口元を濡らす液体の出所は、ウォルターの上部、機械の天井部に収まった吸水用の細いホースだ。身体も意識も、おかしくなり始めていた。
「モーニン? ウォルター。調子は如何かな?」
そこに、優しげな声が聞こえた。機材の壁に肩を預けて、スッラが立っていた。
「すっら、ぁ、」
スッラを呼ぶウォルターの声は丸いものだった。あう、と身体をふるわせて機械による絶頂を受け止めた後、閉じた目蓋を開いてスッラを眼で呼ぶ。嬉しそうな苦笑を浮かべて、スッラは壁から身体を離してウォルターへと歩み寄る。
「私を眼だけで呼びつけるなど、お前くらいのものだ」
「ぁ……、す、すまな、ぃ、」
「いい。構わん。何度でも呼べ。その声で眼で」
スッラはウォルターの前まで来ると視線を合わせて、流れるように口付けをした。スッラの口付けを、ウォルターは拒まなかった。かぷ、くちゅ、と拙い舌がスッラを追う。口角が、上がらないわけがなかった。
じゅ、と舌先を吸ってからスッラは口付けを止める。小さく声を漏らすウォルターが愛らしい。
「それで? 私に何か用か? まさかキスして欲しくて呼んだのか?」
「ぅ、ゃ、ち、ちが、ぅ……、おれ、俺、は、……? どうして、ここ、に……?」
スッラを見てからややあって、ウォルターが微かに眉を寄せる。何かを思い出そうとしているように見えた。
「っははは! ウォルター、憶えていないのか? 仕事が全て片付いたからに決まっているだろう。その祝いに、いつもとは趣向を変えたことがしたいと、そう合意したじゃあないか」
スッラはウォルターの思考を遮るように笑って言った。表情も声音も常と変わらない、“いつもの”ものだ。
「……? そう、だった、か……? 仕事……すべて、かたづいた……?」
「ああ。全て片付いた。当たり前だろう。私とお前が組んで、成せないことなどあるか? まったく困った奴だな。仕事が終わった後にはあれだけ褒め倒してくれたと言うのに」
「そう……だったか……?」
「そうとも」
そうしてごく自然に再度口付ける。思案に気を取られ、開いたままだったくちびるを塞ぎ、口内を侵す。舌を擦り合わせ、食んで食ませてあふれた唾液をウォルターに注ぐ。ウォルターの見ていない顔は、真剣なものとも言えた。
口付けられて、ウォルターの表情が、またふわふわとやわくなる。
「ん、ぅ……、すっ、ら、これ、も、ゃだ……、ずっと、おれ、いじめる、」
「やめろと言ってもやめないでくれ、とはお前の要望だったが……良いのか?」
「っぅ……」
「……ふふ。冗談だ。お前が嫌なら終いにしよう。外してやるから大人しくしていろ。良い子にしていられるな? ウォルター」
スッラの言葉に。
ウォルターは、濁った目で頷いた。
「ぁ゙ゔ……! はッ、ぁ゙、んん゙……!」
ずる、り、と管の抜け出た後孔はぽっかりと内側の粘膜を晒す。ひく、ひく、と収縮する様は淫猥以外何ものでもなかった。
腕や足にケーブルの痕を残す身体を膝の上に乗せて、スッラはウォルターの胸へ手を向ける。
「ひっ、ギッ……!」
針に指を引っかけ引っ張ると、ウォルターは針と指を追うように胸を反らした。
「ゃ……、ゃ、ぁ……、」
怯えを孕んだ眼がスッラに訴える。引っ張って、ちぎらないでくれ、と。そんなこと、するわけがない。スッラはウォルターの杞憂を笑って流し、針から指を離す。
「っ、ふ、ぅ……、っ! ん゙ッ゙ぐ、ぅ゙ッ!?」
そうして、今度は、ぐりりと乳頭を指で押し潰した。
ガクンとウォルターの身体が跳ねる。ちいさく腰が揺れていて、軽く達したことが知れた。自身の身体の反応に、ウォルターは戸惑い――あるいは羞恥する。俯いて顔を逸らした。
「ゔ、っ゙……、ん゙、ん゙ッ゙……!」
スッラはそんなウォルターを眺めながら、胸元に口付ける。胸の先、鎖骨の下。リップ音と痕が咲く。
そして、遂にウォルターの自由を奪っていた四肢の拘束に手がかかる。
ぱちり。かちゃ。スッラはウォルターの様子を窺いながら戒めを解いた。逃げ出そうと反抗されたとて遅れを取ることはないが、できることならウォルターに“乱暴”したくない。
拘束の外れた手が、だらりと下がる。そして、おずおずと、スッラの方へ伸びてきた。
「お、れ……、は、いいこ、か……?」
背中に回される手と胸元に埋められる頭を追いながら、スッラの耳はウォルターの小さな声を拾う。
スッラは賭けに勝ったようだった。
「ああ、ウォルター。お前は良い子だ」
ウォルターの腰へ腕を回し引き寄せてその問いを肯定する。心なしかウォルターの身体は細くなっていたけれど、そんなことは些事だ。これからいくらでもやわくしてやれる。
「良い子だから、ずっと私の側に居ろ」
「ん……。ぁ……、でも、そうしたら、きっとめいわく、」
「はは。迷惑なものか。離れられる方が迷惑だ」
「ぅ……ご、ごめん、なさい」
「謝るな。いま私の側にお前は居る。謝る状況ではないだろう?」
「ぁ、ぇ、え、と……、……、す、すっらぁ、」
「ははは! お前はほんとうにかわいいなァ! ウォルター!」
スッラは結局最後に自分の名前を縋るように呼んだウォルターを掻き抱く。
ウォルターの纏う鎧を融かして剥ぎ取り、ようやく素直な少年を引きずり出せた。達成感と安堵で胸が満ちる。
そうだ、この男はもっと子供でいるべきだった。少しずつ大人になるべきだった。他の子供たちがそうであるように。
これを「壊れた」と表すことも、間違いではないだろう。スッラは確かにウォルターを壊した。鉄の男を融かして堕として幼子じみた「何か」にした。だがそれでも、死ぬよりはマシだ。
「……ウォルター、」
スッラはその耳元で名前を囁く。スッラの服に顔を埋めていたウォルターが顔を上げる。茫洋とした顔の、眉間の皺は薄くなっていた。
「生きろ。自分のために生きて、生きろ」
「……スッラは? スッラも、一緒?」
「ふ、は。お前が望むなら?」
「スッラ、生きて。おれをひとりにしないで」
おいていかないで、と少年は顔を歪める。それはきっと少年が「友人」たちに言いたくて言えなかった言葉だった。別ればかりの人生を送ってきたのだろう。
「仕方のない奴だな」
呆れた風に言うスッラだが、声も目元への口付けも優しいものだった。
元より責任は取るつもりだ。その気が無ければ半世紀以上もの間その存在を追ったりなどしない。
スッラにとってウォルターは人間性であり良心であり光だった。
「――さて。ではそろそろベッドへ行くか」
着ていた上着をウォルターに羽織らせて、その身体を抱えて立ち上がる。わ、とウォルターが小さく声を上げた。一挙一動が愛らしくて仕方がない。
そして、パタリと扉が閉まる。後に残されたのは薄暗い室内と無数の機材、噎せ返るような情事の跡。
柔らかなベッドの上、かちりとウォルターの左足首に美しいアンクレットが嵌められる。一見シンプルな銀の飾りは、しかし着けたもの以外は外せない枷だ。
不思議そうな顔でアンクレットをなぞるウォルターに「プレゼントだ」と言いながらその手を取る。手のひらを重ねて指先を絡めて、もう何度目かの口付けをする。触れるだけの軽いもの。喉元、胸元へと下っていく感覚にウォルターは「くすぐったい」と目を細める。スッラは笑いながらウォルターを押し倒した。
「生意気だな! ではこうしよう」
耳元をくすくすと吐息がくすぐる。そのまま首筋を辿り鎖骨や胸元に痕を残していく。
「は、ふッ……、っあ! んッ……!」
薄いくちびるが肌を辿る感覚にむずがっていたウォルターだが、吸われ、噛まれる感覚に擽ったさとは異なるものを感じ始める。教え込まされた快楽を、身体はしっかりと思い出していた。
けれどスッラは決定的な刺激を与えず、緩やかな愛撫ばかりを施した。前戯や最中と言うよりも後戯だった。それはウォルターを眠りへ誘った。
ちいさく鳴きながら、ウォルターの目蓋がとろりと落ちていく。絡んだ指先に、きゅうと力が込められた。
「……眠れ、ウォルター。疲れただろう」
ウォルターの言いたいことは分かっている。覗き込んだ顔は泣きそうにも見えた。
「大丈夫だ。側に居る」
ほどいた片手で、退いた身体の上へシーツを引き上げる。そうして遂に空調とシーツの暖かさに目蓋が落ちる。穏やかな寝息を立て始めた手中の小鳥に、スッラは満足そうな笑みを浮かべる。
たとえ夢から醒めたとて、何度でも堕として沈めて生かしてやろう。
もはや自分たちは舞台を降りた。戻る必要もないだろう。好きに争わせ殺し合わせておけば良い。あそこに「少年」の居場所は出る幕は、もはや無い。これからは、失われた時を取り戻していく時間だ。
「グッナイ、ウォルター。良い夢を」
そしてハンドラー・ウォルターは表舞台からその姿を消した。ルビコンⅢで消息を絶ち、その後は誰も知らない。だが、ハンドラー・ウォルターが姿を消して以降、ルビコン星系周辺で活動している某傭兵が猟犬を殺したと言う話も聞かなくなったから――かの惑星で飼い犬たち諸共命を落としたのだろうと言われている。