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【R18】ドロップキャンディは銀河に融けたよ

ニキにご奉仕するウォル。生存if甘々イチャイチャあほえろスラウォル。濁点喘ぎとか口淫描写とかソフトSMとか。

ニキにご奉仕するウォル。ご奉仕したいのでちょっと積極的。ニコニコしながら見守りニキ。

つまり生存if甘々イチャイチャあほえろスラウォル。


濁点喘ぎ、ソフトSM、陰毛描写(一瞬)有り。もう少し詳しい要素↓

攻め←受け:フェラ、ディープ・スロート、飲精

攻め→受け:軽度の股間踏み、軽度の言葉責め、乳首クリップ、イラマ

身体機能とか反応とかよく分からんちんなのでご都合してる。


何もかも捏造と妄想。


気を付けてね


---


 ウォルターは、時々、突拍子もないことをする節がある。それは、当人からすれば深遠なる理由があるのだろうが、その「突拍子もないこと」の対象者やそれを見ている者には、奇行とか挙動不審とか、そういうものに映る。

 とはいえ、ウォルターがその突発的な行動の発露に選ぶ人間は、ウォルターが親しいと感じている人間に――今のところ――限られているから、彼ら彼女らは「またか」とか「かわいいなあ」とかで流してしまう。

 さてそして今回は何をどう思ったのか、スッラの脚の間でウォルターは両膝をついていた。

 眺めは良い。スッラはウォルターを見下ろしながら小さく口端を上げる。ともすれば、嗤っているように見える表情だ。

 案の定、素直なウォルターは嗤われていると受け取ったらしい。ム、と唇がヘの字になって眉間に皺が寄る。

 可愛らしい反応に、今度こそスッラはクツクツ喉を鳴らした。

 「それで? 今回は何をしたいんだ?」

 ウォルターを覗き込みながら頬に手を添える。反射的に細められた目が愛らしくて、親指がすりりと頬の上の辺りを撫でた。

 一瞬、撫でられる猫のような表情を浮かべたウォルターは、しかしすぐに元の真面目な顔を作って答えた。

 「お、俺、だってお前を満足、させて、っ、やれる」

 言っているうちに、じわじわとウォルターの肌が色付き熱を帯びる。だからつまり、そういう話なのだろう。

 けれど、スッラはウォルターの言っていることがいまいちよく分からなくて、かくりと首をかしげた。実際に見ることなどできないが、頭上に疑問符が浮かんでいる。

 「別に、私は満足しているが?」

 あっけらかんと放たれるその言葉に嘘はない。体力差があるなりにウォルターは付き合ってくれるし、毎回と言っていいほど「意識がなくなっても足りなければ使っていい」と言ってくれる。実際スッラがウォルターを「使う」ことは滅多にないしもっと言い方があるんじゃないかと思うけれど、気遣われて悪い気はしない。何より時々試す「趣向を変えた」ものも何だかんだと付き合ってくれるのだから言うことはない。

 つまり端的に言えば、スッラはウォルターとの夜に満足していた。

 だがウォルターの方は現状を良しとしていなかった。

 なぜなら、だって、思い返せばスッラはウォルターに構ってばかりなのだ。ウォルターがグズグズに溶けて昼間には考えられない弱音と懇願を吐いて身体の制御と意識を手放すまで構うのだ。そんなの、労働量とその対価が対等ではないでないか!

 スッラに報いる。そのために、奉仕する。ウォルターは――また――使命感に駆られていた。

 「ぉ、お前は何もしなくていい。おれっ、俺が、っ、ちゃんとする、してやる、から、」

 付き合いの長いスッラは、また何か頑張ろうとしているなあ、と他人事のように察する。これもまた言って聞かせても思い留まってはくれないのだろう。ならば、まあ、好きにさせてやるかと思う。ウォルターの生命に関わることではないし、なにより自分のために必死になる姿を可愛らしいと言わずに何と言うべきか。

 「ふむ」とスッラは頷いた。

 「わかった。そこまで言うならやってみろ」

 そうしてウォルターの挑戦――もとい奉仕は始まったのだ。

 多くの場合、ふたりがベッドに上がるのはバスルームを経てからだ。けれど今回はそうではなかった。帰宅してからほぼ一直線に寝室を訪れていた。

 ベルトを抜いて、ズボンの前を寛げようとするウォルターに「シャワーは」と訊くと、「ぃ、いい」と上擦った声が返ってきた。

 そうしてウォルターは無事に下着の中から性器を引っ張り出した。

 自分にもあるものだから、それ自体に対する感慨は特に無い。けれど、目の前のそれが、普段自分を暴いているモノだと思うと、途端に心臓が跳ねた。

 その、動揺を、悟られないようにウォルターは萎えたままのそれに唇を寄せる。

 勃起していないペニスはやわらかい。ずしりと重みはあるけれど、口に含めてしまう。奉仕する、とは言いつつ実のところぶっつけ本番と言っていい状態のウォルターは恐る恐ると言った風に舌を這わせる。

 「……」

 「……」

 ちろちろ、ぺろぺろ、と単調な舌の動きは飴玉を舐める以下だ。

 「……?」

 「……、」

 遠慮なのか恐怖なのか、拙いにも程がある愛撫に色気など無い。最初にピクリと反応して以降、スッラのペニスは大人しいものだった。

 「? ??」

 それも無理はないだろう。その意識が性的興奮から逸れているのだから。

 スッラはウォルターの頭の上で片手を口許に遣って――噴き出すのを堪えていた。

 気持ちいいとかそんなことよりも、可愛らしいが先に立つ。

 なんて可愛らしいいきものだろう! こんなに必死になっているのに成果の一つ得られないなんて! いつもの厭らしさはどこへやったのだろう。ああいやけれど、キスは相変わらず苦手なようだし下手だし。

 エトセトラ、エトセトラ。

 「……」

 トドメにブツを咥えたまましょぽり……と肩を落とす姿!

 犬の耳と尾が見えた。仮にもハンドラーなのに。

 「ごッフ」

 堪えきれなくなって、とうとうスッラは噴き出した。グフッ、ングッフ、と堪えていた分噎せてしまう。

 上体を捩ってゲフゲフやっている途中、ペニスが外気に触れてひんやりとした。ウォルターが口を離したのだろう。だから、ほら。

 「……」

 怒ろうとして「至らない自分のせいだ」と怒りを自分への失望と相手への申し訳なさに変えた、迷子のような眼がこちらを窺っている。

 チラと横目で様子を見れば、吐く言葉を失った口許に覗く赤い舌が艶かしい。

 「ふっ、フフ、ふはは、は、悪い。お前が、あんまり必死なもので、ふふ、」

 かわいくて、等とは言わなかった。言ってしまえばウォルターはこの行為を機械的にこなす方向に切り替えると思ったのだ。羞恥を殺してただペニスをあやすだけの行動をする。そんなもの、人に使われる道具と何が変わろう。

 「情報収集はしなかったのか? 仕事の下調べは大事だろう?」

 「ぅ……」

 ウォルターの情報収集能力は、決して低くはない。そうでなければほとんど独力でルビコン入りなど叶わないはずだ。

 「後ろめたくて調べられなかったか?」

 けれど同時に、ウォルターは、意外と感覚的と言うか、大胆な節がある。例えばこんな風にほぼ予習をせずに本番に臨んでみたりだとか。

 だがまあ今回は仕方ないと言えなくもないだろう。何せ調査対象が対象だ。実行に移してくれたことを喜ぼうではないか。

 スッラもスッラでウォルターにそういうことをさせたり要求したりすることは今までなかった。する必要がなかったから。現在進行形でも必要があるとは思わないけれど。

 「ぉ、俺、できる、ようになる、から……! ちゃんと、っ、ちゃんとできるようになる、から、」

 「資料も何も見ずにか?」

 「……。つ、次の機会までには、調べる……しらべて、くる……」

 そこでスッラは素晴らしいことを思い付いた。

 ウォルターが初心者であることはもう疑いようがない。ならば自分好みに仕込めるということだ。ウォルターが調査のために何をどこを当たるのかは知らないが、それらも接触させずに済む。ウォルターに限って「情報源」の選り分けの失敗はないだろうが、この様子を見ていると危うさが勝る。

 実質的にはwin-winではないか。

 内心うんうん頷いて、スッラはウォルターをやさしく見下ろす。少年にするように、頭を撫でてやる。

 「まあそう気を落とすな。せっかくだ、1から付き合ってやろう」

 「だが、」

 奉仕する相手の手を煩わせるのは、とウォルターは眉尻を下げる。そのくせ「もうバレているのだし、どうせ教わるならスッラがいい」と顔に書いてあるのだから性質(たち)が悪い。鉄のような意思と覚悟を持つくせに、固まるまでが飴細工ではないか。

 「ではお前は、他人がやる、一般的な技術で私を満足させられると考えているのか?」

 ひとつ確認しておくと、強化人間の身体構造と非強化人間の身体構造に大差はない。代替手術を受けていたとて、その機能や仕組みが人間のそれから大きく反れることはない。だから「一般的な技術」を手本にしたとて特段問題はないのだ。

 けれどスッラはウォルターがそのことに思い至る前に畳み掛けて「一般的な情報や技術では不十分なのではないか」と不安を煽った。

 「私を喜ばせるために私の意見を聞かずにどうすると言うんだ」

 ウォルターは自身の知らぬことについて、押しに弱い。慎重になるきらいがある。知らぬ自分よりも知る誰かに委ねる。それは柔軟と言える美点になるけれど、今はスッラにとって都合のいい性質でしかない。

 「ぅ、ぅう……わかっ、た、」

 「良い子だ」

 そうしてウォルターの「お勉強」が始まったのだ。

 数日後。

 スッラは再びベッドの上からウォルターを見ていた。

 今日は二人ともシャワーを浴びている。深い意味はない。たださっぱりしたかっただけだ。

 バスローブの下方だけを広げてソワソワしているウォルターは「待て」を言われた犬にも思える。

 初めてでもあるまいに――。クク、と喉で笑ってスッラは口を開く。

 「前回お前は口だけで挑んでいたが――手を使っていけないと言うルールはない。むしろ起つ前なんかは使った方が良いだろう」

 手を出せ、と言われるがままにウォルターは両手を差し出した。そこへ、トポポポポ、と透明で少し粘度のある液体が垂らされる。ふわりと甘いにおいがした。

 「飲んでも問題ないものだ。慣れるまでは使うと良い」

 「む……」

 自力で成し遂げたいらしいウォルターは少し不満げだ。不満げだが、今は仕方ないと指先に透明な糸を繋げながらペニスに触れ始める。

 ぬちゅ、ぬりゅ、とローションを塗り広げて、滑りの良くなったペニスや睾丸を撫でていく。

 撫でて辿って啄んで、時々揉んで――そうすれば、ペニスは緩やかに芯を持って上向き始めた。それを見て、ウォルターはパッと――見るものが見れば分かる程度の変化だ――顔を輝かせる。

 まるで初めて実験に成功した子供のようだ。思わず「ンッフ」とスッラが肩を揺らす。それに気付いて、ウォルターはすぐに「ム」と口許を引き締めた。はぷ、と緩く芯を持ったペニスが咥え込まれる。

 「んむ……ふ、ぅ、んん……」

 むぐむぐ頬張る姿はやっぱり「可愛らしい」ものだ。スッラは性的興奮と言うより生理現象で起ち上がるペニスと、自分のペニスを懸命に育てるウォルターを他人事のように見下ろす。

 「キャンディのように舐めてくれているが……美味いか?」

 「そんなわけっ……!」

 スッラが薄く笑いながら吐いた言葉に、反射的にウォルターが反論し――ようとして、ペニスから口が離れた。

 ふるん、と揺れたペニスが、ペチリとウォルターの鼻先を叩く。まったく不意の接触に、ウォルターの目が丸くなった。

 目の前に、起ち上がったペニスがある。

 一拍遅れてそれを認識すると、「ひぅ……」と間の抜けた声が漏れ聞こえた。

 スッラと「お勉強」をするようになってから、ウォルターは仕事中に飴玉を転がすことが多くなった。何なら雇った傭兵やスタッフに飴玉を分け与えている姿すら見かける。ハンドラーと同じ味を食べたいと薄荷味を口に放り込んだハウンズは揃って顔をくちゃくちゃにしながら引っくり返っていた。飴を転がすウォルターを面白がってか、カーラに至ってはその飴を買い与える始末だ。おかげでウォルターのデスクの上やガレージの出入り口、会議室のテーブルの真ん中なんかには色とりどりの飴玉が積まれている。

 しかし――当然――スッラは知っている。ウォルターのそれが糖分補給でも気を紛らわせるためでもないことを。

 だからほら、スッラと眼が合うとウォルターの口許が一瞬停まる。

 だが単に飴玉を転がしているだけで成果が出るかと言えば、そんなことはなかった。無理もなかろう。仕事中の「自習」なのだ、ほとんど無意識に、単調に球体を転がすだけの行為が、どうして高度なテクニックとなろう。

 「棒付きでなくて良いのか? そちらの方が似ているだろう」

 遂に端末をいじりながらスッラが言う。ほら、と差し出された画面にはフレーバーも大きさも様々な棒付きキャンディの一覧。端末の画面を見上げるようなかたちで視線を上げたウォルターは、ともすれば睨み付けているようだ。けれどスッラには潤んだ瞳の上目遣いにしか見えなくて、上機嫌に口角が上がる。ぐぐ、とウォルターの眉間に皺が寄った。

 「大体――自分が触れて気持ちいいと感じるところを、まず触れてみたりしないのか?」

 ずるりと咥えていたものを吐き出してウォルターが眼を逸らす。

 それは意地の悪い問い掛けだった。

 スッラにはその自覚があった。

 相変わらずローションに濡れた手をペニスに添えたままにしているウォルターの腹の辺りで、ごそりと何かが動いた。

 「っ!?」

 ツツ、とスッラの爪先が、ウォルターの股座を辿っていた。

 「なっ、や、やめろ、邪魔をするな……!」

 困惑を帯びた抗議の声が上がる。もぞりと身動いで、距離を取ろうとする身体をもう片方の足が引き止める。

 「ぅあっ!」

 そしてお仕置きだと言わんばかりにグリリと足裏が股間を踏んだ。そのまま、やわやわと足が揺らされたり浮いたりする。

 「んッ、ぐ、ぅ、ふッ、ぅぅ……ッ!」

 「ほらウォルター、どこが気持ちいい? 集中しろ」

 「ゃ、ふァ、ぁ、や、やァ……っ、」

 ぐにぐに刺激されてペニスが芯を持ち始める。広い足の裏で触れられるペニスのどこが気持ちいいかなど、分かるはずもなかった。

 「ぁ、ぁあ……、ぁっ、ぅ……、」

 ウォルターの息が上がる。ぎゅっと閉じられたまぶたも色付いて見える。縋るように凭れかかった先には自分の育てたペニスがあったけれど、気にしてはいられなかった。むしろその熱とにおいで身体の芯が震えてしまう。それでまた、目の前の男の足裏がペニスを圧す。

 そしてはふはふと熱い吐息に撫でられるペニスもまたひくんと反応を示していた。ふむ、とスッラは冷静に性的興奮を認める。微笑ましい一歩だ。まあ、ウォルターからしたら不本意な――意図した動きではないので――ものだろうが。

 「踏まれて好くなっているのか。はは、いけない子になってしまったな?」

 「んっ、ぅ゙、ぅ゙ぅ゙ぅ゙……ッ、」

 「ほら続けろ。勉強するのだろう?」

 「っあぅ、ァ、ハッ……、ぅう……ッ、」

 そもそも、スッラに散々躾られてしまったウォルターの身体――特に下肢――は至極素直だ。仕込んだ張本人であるところのスッラに触れられるなら、尚更。

 ペニスを押されてなぶられて、しかし疼くのは腹の奥底だ。ウォルターにとってその刺激は、好くはなるけれど、もはや決定打にはなってくれないものだった。

 「ア゙ッ、ぅ゙、ぐァ、ぁッ~~~!」

 スッラの熱に貫かれてウォルターの背骨が熔ける。

 今日はここまで、と切り上げられ、そこからは「いつも」と変わらない夜だ。ベッドの上に引き上げられて白波の底へ沈んで――否。沈められる。

 ……いつもと変わらない、と言ったが、その実以前よりも酷くなっている気はしている。ご褒美だとか何とか言っているせいだと思われた。……確信はない。

 「ゃッ――や゙、あ゙……! ん゙ッ゙ぐ、ぅ゙、ア゙、はッ……っ、ァ゙、ァ゙ア゙ア゙……!!」

 ごっちゅぐっちゅと胎の中を突かれて掻き回されてウォルターの身体はガクガクふるえっぱなしだ。硬く大きく、しっかり勃起したスッラのペニスを、ウォルターの後孔はぐっぷり咥え込んでいる。

 ゆるゆる腰を動かして、わざとくぷくぷ音を立てながら、スッラは嫌々するウォルターに訊いてやる。

 「ん? 何が嫌なんだ? お前の望んだ物だろう?」

 「ッひゅっ、ォ゙――っ、ぅ゙ぅ゙……っ、ちが、ちがゔ、ちあうぅ……!」

 ああそうだろうとも。

 スッラは知っている。ここ最近ウォルターがやたら嫌々するのも、ぽろぽろこぼす涙に自身への失望が混じっているのも。

 「何が違うんだ?」

 「ぉれっ、おれが、ぁ! おれがすっらの、っ、きもちよ、ぐ、ぅ゙! っす、する、ぅ、ゔぅ゙っ゙……!」

 「私は気持ちよくなっているぞ? ウォルター、お前で」

 「ちがうぅ! こ、こっち、ぃ゙、っじゃ、なく、てぇ……!」

 今日も懸命に訴えるウォルターを「ははは」と低い笑い声が撫でていく。

 多少不機嫌だったりご機嫌斜めになったとて、ウォルターが「勉強」を放り出すことはなかった。

 元より覚えはいい。更に数日経てばローションを使わず、手も補助程度の動作でペニスを起たせることができるようになっていった。

 「……いいぞ。もう少し裏の方へ舌を回せ……そう。……クク、ああほら、そこ以外も触れてくれ」

 そしてウォルター自身にも、変化が見られるようになっていた。

 「んっ……、ん、ふッ……、んむっ、ん……、ンッ……!」

 まぶたを閉じて、ペニスを咥えながらウォルターがもぞもぞと腰を揺らす。当初より随分深く呑まれるようになった――スッラがそう、できるようにした、とも言う――ペニスに熱く濡れた粘膜を感じながら、スッラは鈍い光を灯した目を細める。クク、と渇きの覗く喉が鳴った。

 「く、ふ、はは、……相変わらず、咥えて感じるか」

 ぐり、とスッラの足がウォルターの股間を踏む。

 ぎくり、とその身体が強張った。

 「ンッ! ン……、ふ、ぅぅ……っ、」

 それなのに恐る恐る開かれたまぶたの奥はとろけているのだからズルいことだ。

 「ッォ゙!?」

 うっかり反応したペニスが跳ねてウォルターがえづく。咥内のものを噛んでしまわないよう、必死な姿もまた良い。

 「咥えながらコレに貫かれることを考えているのか? それとも、咥えたコレに貫かれているのが良いのか?」

 何にせよ――楽しそうで何よりだ、とスッラは笑う。ふぅふぅ必死に呼吸するウォルターの口許から唾液が溢れて垂れ落ちている。足の下で主張している半身も似たようなことになっているだろう。

 「ン゙、ン゙ン゙……! ん゙ォ゙、ごッ、ぉ゙、ぉ゙……!!」

 ああ。酷い有り様だ。ひどく厭らしくて艶かしい。達したくて、でも足りなくて恥ずかしくて、小さく腰を揺らして藻掻く様が憐れで愛しい。こんな姿を見るために抱いてきたのではないのに、嬉しい誤算だ。

 苦しいのか喉がきゅっきゅと締まる。

 スッラはクツクツ笑った。この反応ばかりは、いつも可愛がっている孔と似ているように思う。締め付けの話だ。

 いつからか、いつの間にか、「勉強」と言うよりもそういう「プレイ」になっているような気がした。

 けれどスッラはそれを言わない。ウォルターはまだ真面目に「勉強」しようとしていたから。

 だからこんな――見るからに「そういうもの」である小道具だって許してしまうのだ。スッラを待たせてしまっているから。待たせてしまっている間、スッラがその気になってくれるなら、なんて。

 「んっ……ふ、ふッ、ふぅッ、ふ、ふ……ッ、」

 目尻を真っ赤に染めてウォルターが肩で息をする。ほたほたと汗と涙に湿った頬を手のひらでやさしく叩いてやれば、ずるりとペニスが吐き出された。そのための合図だ。

 「上手く深く咥えられるようになってきたな」

 良い子だ、と褒めながら、スッラは手にしたチェーンをクイと引く。それはウォルターの胸へ繋がっていた。

 「ッあ! ァ、ぅ、ぐッ……!」

 ウォルターの乳首には飾り気のないクリップが噛み付いていた。実験で電極を噛むような、しかしそれよりはいくぶん牙の丸いもの。言うまでもなく、スッラが付けたものだ。

 硬く冷たい牙に噛まれ、じんじん熱を持つはしたない飾りが、痛いのか気持ちいいのか、ウォルターは分からない。わかりたくない。それこそ遊ぶように、時々引っ張られて揺らされて、挙句以前股間にされたようにぐりぐりと押さえ付けられて、その度にウォルターは咽んだ。

 とろけた表情(かお)をスッラに晒して。

 アブノーマルに片足を突っ込んでいる、と言う自覚は、一応ある。だってこんな、ウォルターに厭らしい格好をさせて奉仕をさせて、それで興奮するなんて、少し前には考えられないことだ。否。考える機会があったら、たぶんしっかり「良い」と反応しただろうけれど。けれどでも、「こんな」ウォルターを考えたことなど、今までなかった。そのままで十分だったから。

 だが「これ」も、これで良い、と獣欲が歓喜するのをスッラは肯定する。嗜虐趣味があるとは思っていないけれど、「これ」は好い。

 「んッ、ぅ、ひ……ぁう、ぅ゙……!」

 くふくふ笑いながらスッラはまたチェーンを引っ張る。赤くなった乳頭がかわいそうだ。そこを庇うように、ウォルターの身体が倒れ込んでくる。元より乳首をいじめられるのは――認めようとはしないだろうけれど――好きなようだったが、ここまでしても良いとは思わなかった。これもまた嬉しい誤算、だろうか。

 「ふ、っ、は、はーッ、はーッ……、」

 熱く湿った吐息に撫でられるペニスはもうしっかり起ち上がっていた。鈴口から溢れた先走りが垂れ落ちて、ウォルターの顔を汚す。肌に触れる粘液に、反射だろうか、ウォルターは蜜でも舐めるかのようにそれを追って顔を動かした。んむ、と幹が啄まれて、ちゅぱちゅぱぺちゃぺちゃと軽く吸い付いては舐められる。もう近いうちにウォルターは「最後まで」奉仕できるようになるだろう。

 「上手だ、ウォルター」

 チリチリ手中のチェーンを鳴らして遊びながらスッラはウォルターを褒める。髪を撫でる手のひらに釣られるように視線を上げれば、鼻筋と眉間に皺を寄せて片方の口角を上げた獰猛な顔が笑っていた。ギラギラした瞳は以前よりも随分危うい。

 ああ――雄だ。

 ウォルターは漠然と、そんなことを思った。

 食んだ熱も鼻をくすぐるにおいも、与えられる痛みすら、何もかもがウォルターを溶かしていく。あつくて大きな手のひらのやさしさにもウォルターの目は細くなる。とろとろに溶けて、ぐっちゃりどぷりと沈んでしまう。

 あふ、とこぼれたのは恍惚か諦念か、あるいは理性だっただろうか。

 「ウォルター。もう少し付き合え」

 「ん……」

 掠れた声が熱を吐く。こくりと頷いた鼻筋が、傍らの熱杭を擦った。

 ウォルターは当初よりも随分上手くなっている。それはスッラも認めるところだ。けれど、上手くなっている、とシーツの中で都度伝えてもウォルターはいまいち信じていない。

 それもあって、スッラに「スッラがウォルターにして欲しいこと」を言われると安心するのだろう。

 スッラをその股座から見上げるウォルターは素直なものだ。

 「奥まで咥えろ。無理はしなくていい」

 「ん……ッ、ふッ……ふ、ォ、」

 スッラはそう言ったけれど、ウォルターはぐぷぐぷペニスを咥え込んだ。

 鼻先で陰毛を掻き分けて、汗に湿った肌へ触れる。喉と呼吸の落ち着くのを待ってまぶたを開けば、見上げた先に苦しそうな顔で笑っているスッラがいた。頭に乗せられた手のひらは、髪を撫でてくれているのと同時に、頭を鷲掴むのを堪えているようにも思われた。

 「はッ、はは――良い子だ、ウォルター(good boy, Walter)」

 喉を押し拡げるペニスは熱く重たく硬く脹れている。苦しいのだろう。ウォルターには分かる。ウォルターも同じ器官を持っているから。

 だから次に自分が何をすべきなのか、薄っらと理解できた。

 「動いていいか」

 獣の唸り声が、なるべく優しく聞こえるように気遣われたのがわかった。凶暴な熱と欲望を茹だらせてなお、スッラはウォルターに優しかった。

 ウォルターはそれが悔しい。いいのに。遠慮などせずとも、許可など求めずとも、同意など待たずとも、構わないのに。好きに「使えば」いい。

 「っ、」

 ウォルターは目を細めてこくりと首を縦に動かした。

 直後――否、ほとんど同時に、頭に置かれていた手へ力が込められた。

 じゅぼっ、ぎゅぼっ、ぐぽぉっ、と水音が立つ。ひどい音だ。合間には、荒い息遣いと微かな呻き声。

 「ハッ、ハッ――ははっ、は、ああ、好いな。く、ふふは、」

 スッラが腰を振りながら笑う。愉しそうだ。その足元には、スッラの股間に顔を埋めたウォルターがいる。まぶたをぎゅうと閉じて、喉に熱された欲望が動くのを浮き上がらせて、スッラに跪いていた。

 喉からひどい音がしている。ごきゅっ、ごぼっ、と粘膜と粘液が擦れ合ったり、ねばついた空気の潰れる音だ。がぼごぼと出入りする質量に溺れかけたりしながらも、ウォルターは喉を閉めたりくちびるをすぼめたりしようとする。頭を掴んでいる手のひらが熱かった。

 「んぶっ、ふむ゙ッ゙、ん゙む゙ぅ゙、ぅ゙……! んぐォ゙ッ゙、ごッ、ぼッ、ォ゙」

 「くふ、っははは! なあウォルター、っ、このまま受け止めろ。お前が望んだことだ。そうだろう?」

 「ん゙……、ん゙、ォ゙……!」

 スッラの手が、ウォルターの頭を押さえ付けた。同時に、ウォルターは喉を開いて、叩き付けられる欲望を受け止めようとした。

 けれど身体の反応は生理的なもので、慣れていないことには多少の不本意も生まれると言うものだ。

 「ごほっ! ごふっ! んぶっ、ぇ゙ほっ、」

 粘度のある飛沫を叩き付けられてウォルターは噎せる。身体が跳ねた。そのまま頭を押さえられ続けることはなかったから、呼吸自体はすぐにできるようになった。

 ぱたぱたと白濁が落ちていく。噎せて揺れる頭を、一旦離れていった手が撫でる。視界の端で、スッラがしゃがもうとしているのが見えた。

 「ン゙ッ……ん、ぅ……!」

 スッラがしゃがもうとするのを、ウォルターは身体を寄せて止める。少しだけ落ち着いた、しかし欲の残滓をそのままにした雄にウォルターは手を伸ばす。

 「はッ! ……ふふ、いやらしいな?」

 「んむっ……む、……ふッ、ん、」

 ちゅっ、ちゅぽっ、とペニスを吸い始めるウォルターに向けられた声は、その言葉とは裏腹に穏やかなものだった。ちゅむり、とほんのりとコーラルの甘さの混じる青臭い液体が舌の上に乗る。頭の上で「はァ、」と熱っぽい息が吐かれたのを聞いて、ウォルターは胸の辺りが暖かくなるのを感じた。

 それから数度、ウォルターは「復習」した。完璧だとは言わないけれど、舐ることも吸うことも咥え込むことも、使われることも、一通りできるようになった。これならスッラを満足させてやれる!

 と、思っていたのに。

 「ぅ゙あ゙、ァ゙、ぐぅッ、ぅ、ひっ、ひィッ――!!」

 「お勉強」の必要が無くなったウォルターは、以前のようにベッドの上でのたうっていた。

 「ど、して――なんッ、れ゙ぇ゙……!」

 折角習得したのに、最後に「復習」して以来、実践できていない。しようとしても、気付けばベッドの上に転がされているのだ。

 何故。どうして。疑問と不安が巡る。

 だってそのやり方は、スッラの好きなやり方のはずだ。だってスッラがそう教えた。それなのに、なんで。

 「ゃゔ……ぅ゙ぅ゙……!」

 後孔にスッラを受け入れながらウォルターはぐずぐず鼻を鳴らす。

 「うん? 何を泣くんだ? ほら、キスしてやろう」

 「ぅ、ぁぷっ、んっ、むぅ……っ、んん……!」

 ああそう言えば――「勉強」している間、キスはあまりしていなかった気がする。ことにふと気付いた。まあ、陰部に触れた口と口付けをしたいとは、普通思わない。その点でスッラを責めるつもりはない。

 「んっ、ン、ふッ……、ぅ、」

 音を立てて舌を吸い、甘く噛み、擦り合わせる度にウォルターの身体がふるえて孔が締まる。

 びりびりして甘くて気持ち好くてウォルターは口許をべちゃべちゃにしながら夢中でキスに答えようとした。

 つまりスッラの目的はそれだ。

 口淫よりもキスをしろ、と。

 先んじて抜いておけば多少楽になるとか身体への負担が減るとか考えたようだが、そんなことはどうでもいい。スッラが何度もウォルターに欲をぶつけるのは、言うまでもなく「ウォルター」だからだ。無理も何もしていない。普段と同じように、好きにしている結果だ。

 だからまあ、ウォルターの行動は杞憂と言ってもいい。まったくスッラ専用というか、スッラのためのやり方を教え込むことができたのは良かったけれど。実践の機会は多くないだろう。

 ぢゅっと舌を啜って、スッラはウォルターのくちから舌をずろりと抜いた。てらてらと濡れた舌が唇を舐めて、それから相手の真っ赤に熟れたくちびるへふにりと押し付けた。

 「ふ、ふふ。キスは好きか? ウォルター」

 「ぅ……、す、すき、」

 「私のペニスを咥えるよりも?」

 「とっ、当然、っだ、ろう……!」

 やはりそうらしい。そうかそうかとスッラは笑う。

 まぶたの上にくちびるをひとつ落とす。そのあとの、スッラを見上げる顔の嬉しそうなこと! だからいいではないか、先に何度か抜いておくかどうかなど。そんな時間があるのなら、その分楽しみたい。

 「ウォルター。言っただろう。そもそも私はそのままのお前で満足していると」

 スッラが笑うのを、ウォルターはゆらゆら揺れる水面の底から見上げていた。

 ――最近は、飴玉の減りが芳しくない。

 

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