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【R18】きみが獣だとしても

「四つ足の獣になってお前を食らう夢」
獣スッラ×ウォルター。獣姦・淫語・結腸・潮噴き・濁点喘ぎ描写有り。ふわふわ甘め。
習作とかリハビリとかそんな気分。

「四つ足の獣になってお前を食らう夢」

  ――雨の箱庭にて。


獣スッラ×ウォルター

夢の話なのでふわっとした感じで読んでいただければ……

練習とか習作とかリハビリとかそんな気分もある。


獣姦・淫語・結腸・潮噴き・濁点喘ぎ描写有り。

年齢指定描写は期待しないでねあんまりね_(X3」∠)_


ふわふわ甘め

気を付けてね


---


 それが夢だと気付いたのは、からだに違和感があったためだ。

 ふと目覚めて――と言うよりも、遠くへ行っていた意識が戻ったような感覚がした。瞬きをひとつする。美しい場所だった。屋内か屋外かは分からない。そんな場所に天蓋が張られていた。薄いレースが垂らされた向こうには、大小様々なクッションが置かれているようだった。そしてそこには、ひとつの人影が埋もれるように横たわっていた。

 人影に誘われるようにしてスッラは足を踏み出す。そこで――自分が四つ足の生き物の姿をしていることに気付いたのだ。

 踏み出すと同時に腰が上がり、立ち上がる。少しだけ低くなった視線に端に踏み出した足が入る。それは五指ではなかった。鋭い爪を持つ、異形の前肢。小さく背後を見遣れば、視線の高さに毛皮に覆われた胴や後肢が見えた。おまけにゆらりと揺れる尾まである。フン、とスッラは鼻を鳴らした。

 身体の動かし方は感覚で理解していた。元からそういう生き物だったかのように、何不自由なく肢を動かして、スッラは天蓋の下へ向かう。

 地面はいつの間にか艶やかな絹になっていた。きらきらと天蓋を透かす木漏れ日に輝いている。そんな天蓋の奥の方、薄く影の落ちた場所にで、人影はクッションに埋もれていた。

 クルル、とスッラの喉が鳴る。目蓋を閉じた顔は穏やかだ。音を立てないよう近付いて、額と額を合わせるように顔を寄せれば、毛皮の触れた感覚に目蓋がふるえた。

 「スッラ」

 少し掠れた、微睡みの柔い声がスッラを呼ぶ。小さな衣擦れの音を立てて持ち上げられた手が、当たり前のようにスッラを撫でた。

 とろりとした瞳は木漏れ日の光を湛えている。ゆっくりと閉じては開くを繰り返す目蓋にも、夢うつつであることは疑いようもない。スッラという温もりを得て、それはより強くなっているようだった。

 そんな姿が、ひどく甘く見えた。

 唾液が溢れて喉が渇く。けれど一番は頭と腰だ。ズクリと熱く重くなる。ゆらゆらと揺れる尾を停められない。

 はて己はこんなにも我慢のできない性質だっただろうかとふと思い――どうせ夢なのだから良いではないかと傭兵らしい獣性が理性を嗤い飛ばした。

 「ウォルター」

 獣が囁く。熱に掠れた声だった。

 うん? とウォルターが小首を傾げる。おさない仕草だ。とろけた表情に、ゆるやかに結ばれたくちびるが、弧を描いているような気さえしてくる。

 「喰っても良いか」

 「そのために、来たのだろう?」

 スッラの問いに、ウォルターはやはり柔らかな声で答えた。


 獣と人の口許はかたちが違う。きれいに合わさることなどなかった。けれど触れることはできる。

 口吻とくちびるを何度か触れ合わせ、スッラが薄く口を開くと、それに応えるようにウォルターも口を開けた。恥じらうように、控えめに開かれたくちびるを、獣の舌が割る。

 「あぅ……、んむ、っ、」

 ぬろりと厚く長い舌が差し込まれる。咥内を埋めるように入ってくる舌を、ウォルターは懸命に迎え入れる。

 人間の短い舌を擦り合わせ、甘噛みして、奉仕する。けれど間に合うはずもなく、満足に仕事をする前に逆に絡め取られてしまう。小さな舌が大きな舌に包まれて、巻き付かれて、ぐちゅぐちゅと音が鳴らされる。もはや口付けと言うよりも頬張っているかのような有り様だ。注がれる唾液を、こくこくと懸命に飲み下す。押し込まれた舌も溢れる唾液も苦しい程だろうに、それは健気な姿だった。

 「ぷあっ、……は、ふ、」

 けれど、銀糸を紡ぎながら一息吐く姿は「健気」だけではない。

 色付いた頬や目元。潤んだ瞳。濡れた口許。いとしげにスッラの輪郭を辿る指先。

 それはまた色香も十二分に帯びていた。

 べろりとスッラがウォルターの首筋を舐める。今からそこを食むのだと思わせる動きだった。

 実際スッラはそこに軽く牙を立てた。鋭い犬歯が肌を破らぬよう、噛む位置を考えて、また噛む力も極弱くして肌に牙を滑らせる。ウォルターはその感覚と状況に、ふるえる吐息を小さくこぼした。

 スッラの首をウォルターの腕が引き寄せる。毛皮に顔を埋めて、甘えるように擦り付ける。脚はゆるやかに開かれていて、その間にスッラの身体はあった。

 ウォルターの纏っている服は、服とは名ばかりの薄布だった。それを衣服らしく整えているならまだしも、緩く柔く軽く巻き付けているだけだから、無防備としか言いようがない。

 スッラが鼻先で布をかき分け、吻に引っ掛かった布をそのまま引けば、簡単にウォルターの肌は外気に晒される。抵抗は無かった。

 あわいを広げられ、身体の柔らかな部位がスッラの前に晒されても、ウォルターは横たわったそのままでいた。木漏れ日にきらきらと光を湛える瞳が、穏やかに獣を待っている。

 自分の欲望はもちろん、その期待に応えるかたちでスッラはウォルターの足の間に熱を擦り付ける。穏やかな触れ合いだけで涎を垂らす欲望の塊は獣に相応しい。ずりゅ、と小さく腰を揺らせば、ウォルターは恥じ入るように目を伏せて――もっととねだるように自らも小さく腰を揺らした。

 クツクツとスッラの喉が鳴る。獣の鼻先が、一度ウォルターの額を小突いた。そしてウォルターの身体を下へ下へ辿っていく。けれど、腹の辺りで、スッラの顔をウォルターの両手が包んだ。スッラは顔を横へ向けて、自分を引き留めるウォルターの手を咎めるように軽く噛もうとする素振りを見せる。それでも手は放してくれなくて、チラリと当人の顔へ目を遣った。

 伏せられた目はそのまま。しかし、確かに朱く色付いていた。

 「あ……、ぅ、」

 スッラの下から、もぞりと抜け出そうとする。と言うよりも、身体を転がそうとする。ためらいがちで、恥ずかしげな様子だ。スッラはウォルターのやりやすいように、少し離れて見守ってやる。そして――。

 「も、もう、準備、なら、できてる、から、」

 うつ伏せになり、尻を上げた、正しく獣のような姿勢になって、ウォルターは自身の尻たぶを左右に広げて見せた。そこには、雄膣と言うべき様相の――縦にすじとなった――後孔が、とぷりと透明な蜜を垂らしてスッラを待っていた。

 「き、きて……、」

 ひくりとふるえたのは、羞恥故だろう。けれどそれでまた縁から蜜が溢れるのだから際限がない。

 ああまったく。夢とは実に都合の良いことばかりだ。

 スッラはウォルターの背後に立つ。ぬるりと尻の間を熱が往き来した。

 「は、ぁう……、」

 その感覚にウォルターは熱っぽい息を吐く。ひくひくとわななく孔の縁が、熱を引き留めようとその幹をついばんでいた。

 ぬりゅぬりゅと数度往き来した熱はあふれた蜜を塗り広げる。そうして、ようやくくぷりと楔の先が孔に埋められた。

 「あ、んっ……!」

 胎を侵す熱にウォルターが悶える。手は尻から離れてシーツ代わりの絹を握り締める。ふるふると揺れる後頭部は、額をクッションに押し付けているらしかった。スッラの熱が胎の中を進むたび、ウォルターの腰がびくびくと跳ねる。

 そうして、柔くて狭い肉の壁を押し退けかき分けて、人の身には過ぎる獣の欲が収められる。

 「んあ、あ……っ、かは、ァ……ッ!」

 最奥の直前まで突き込まれた楔に内臓や呼吸が圧迫されて、苦しげな呼吸がウォルターの口からこぼれる。けれど、不快でないことはその表情を見ればすぐにわかることだった。胎もまたきゅうきゅうと硬い熱を、縋るように抱き締める。

 背後からウォルターを覗き込み、口端からあふれた涎を舐めとると、快楽に痺れた口が小さく動いて、濡れたくちびるがやんわりと舌を食んで引き留めた。ちろりと伸ばされた舌が、ザラついた獣の舌を舐める。それでどうして口付けにならないことがあろう。ぴちゃぴちゃ、ちゅぷちゅぷと水を指先で遊ぶような音が白い光の中に溶ける。

 スッラが前肢をウォルターの肩の前に置く。沈むクッションを追うようしてにウォルターの上体が低くなり、下肢が高くなる。そして、スッラの鼻先がウォルターの耳殻を辿った。


 ズッ――と胎の中で熱が動いた。ウォルターの目が見開かれ、切なげに眉が寄せられる。埋められていた胎が空虚を予感して、けれどそうはならずに質量が戻ってくる。ぐちゅん、と楔の捩じ込まれる音がした。

 「あ、ああッ、ぁぐ、っひ……! んぎっ! ひ、ひぅう!」

 ぐちゅ、ずちゅ、どちゅ、と熱された楔が胎の中を往き来してぬかるんだ水音が立つ。スッラは快楽にまみれた声で喘ぐウォルターを見下ろしていた。

 悶える度に動く筋肉が艶かしい。滲んだ汗に濡れた身体は艶やかで、しかし下品ではない。首まで朱く、また腕や足も各所が色付いた様は可愛らしさすらある。声を抑えようとして呼吸を詰まらせるも、結局大して意味を成していないのもいつものことだ。

 夢とは記憶が整理されている映像なのだと言う。真偽は分からない。けれど記憶が元になっているのなら、自分しか知らないはずのウォルターの姿が目の前にあることも頷ける。顔も声も背も胎も、現実と遜色ない。

 ああけれど。体温や味が極希薄であることは、やはり惜しい。

 「はう、あ、う、ッ――は、ん、ンンッ……!」

 半身を揉みながら扱いてくれる後孔は確かに心地良い。けれどこちらの腰を焼くようなあの熱は、今はない。滲んだ汗を舌に乗せても甘くも辛くもない。まるで人形を抱い(つかっ)ているようだ。

 獣に人形とはな。

 我ながら滑稽な夢だ。スッラの口許に自嘲が浮かぶ。クゥクゥ鳴いていたウォルターが首だけで小さく振り返ろうとしたのは、ちょうどそんな時だった。

 「ん、ん……、ふぁ、ぁ……、す、ら?」

 とろとろに蕩けた声が眼が、スッラを呼ぶ。

 「っあ! はう……んっ、すっら、おれ、おれのこと、ぉ、ッ、おなほ、して……っ?」

 スッラを呼んで、その無垢な声は凄まじく淫靡な言葉を吐いた。

 それはスッラの願望だろうか。それとも「それ」を言いたげなウォルターを見ていたからだろうか。――本当に、言いたかったことなのかは、ウォルターにしか分からないけれど。

 けれど、夢だとしても、“ウォルター”からの誘いを無下にすることなど、考えられなかった。

 「良い子だ」

 ましてやスッラの快楽を優先する意図を含む言い方だ。夢だとて滑稽だとて、応えないなんてありえなかった。

 ずぼ、ぐぢゅ、と水音が酷いものになる。ねばついて、ぐずついて、はげしいものだ。

 「うあ! ああッ! ぁぐ! ぐ、ぅ、お、オ゙ォ゙……ッ!」

 「はっ――、ははっ、」

 知らず、スッラは笑っていた。四つ足の獣に背後を取られて、それでも与えられる快楽を享受する姿が堪らなかった。

 「あ゙、あ゙あ゙! はッ、ひッ、ひぐッ! ォ゙、ア゙、ぁ゙、ぉぐ……、おく、ぅ゙、きてぅ……!」

 じゅぶじゅぶと肉襞を轢いていた熱が最奥をゴツゴツと突き始める。腹を抉り、破りすらしそうな獣の欲に、しかしウォルターは嬉しそうに啼いた。そうして。

 ウォルターが目を見開く。ぽろぽろと雫がこぼれて、目元や頬を濡らしていた軌跡を更に光らせた。

 「ぅ゙あ゙――、」

 ぐぼ、と。音がした。ひとの身体の、奥の奥から、熱と欲望が煮詰まって、泡立って、弾けたような音がした。

 ウォルターの瞳が上を向く。舌の突き出た口から「かひゅ、こひゅ、」と乾いた呼吸音がこぼれる。崩れ落ちかける腰は、しっかりと奥の肉の輪の縁に返しを引っかけた獣の欲に、休息を許されなかった。

 貫かれて、そのままその熱に支えられる。人の身ならば、なかなか叶うことのない経験だ。

 「くぁッ……!」

 ズロ、と最奥の縁を捲りながら楔が抜け出ていき――

 「――かはッ!」

 ズドン! と打ち込まれる。

 その衝撃たるや。

 「うあ、あ、あぁ、あ……、あ゙、がァ゙ッ!」

 ウォルターはクッションに額を擦り付けて耐えようとする。腹を叩く半身はだらだらと涎を垂らして糸を引いていた。

 「んきゅ、ひぎゅッ、ゔあ゙、あ゙あ゙ッ゙!゙ あ゙、あ゙ー゙ッ゙!゙」

 ぐぼっぐぼっぐぼっと獣の熱が最奥まで侵して埋める。抽挿に振り払われる襞のひとつひとつも、引き潰されるしこりも、抉じ開けられては突き崩される奥の扉も、何もかもにウォルターは咽び啼いた。

 スッラはウォルターがどれだけ啼こうが腰を止めなかった。道具(オナホール)のように使ってくれと言ったのは他でもないウォルターの方であったし、何より気持ち良いからだ。温度は感じずとも、締め付けとぬかるみは感じられたから、「それ」が気持ち良いのだと頭が認識した。

 「あう、あ゙、ぐうっ……! かひゅッ、ひはッ、ア゙、ア゙……!」

 スッラの動きに合わせてウォルターの腰が――ゆらゆら、なんて理性的なものには見えなかった――がくがくと跳ねる。

 「ぁ、あ゙、あ゙……! くる、きちゃ、きちゃう、……ぅ゙ぅ゙!」

 「く、ふ、はは、「くる」のではなく「いく」のだろう?」

 「ふおっ! ォ゙、あ゙、ゔァ゙、ゃ、ヤぁ゙――っ!」

 そして、ぎゅうぅ、とウォルターの身体が縮こまった。

 「ぁ……ぁあ、あ、ア゙……! ひ、っま、まて、っ、いま、ま、だ、ァ゙……!」

 余韻を、味わおうとびくびく跳ねる身体――背中――を、スッラの前肢が押さえ付ける。体重をかけられ、反らされる背に、快楽の弦が張る。

 ウォルターの腹の下で、つるりと半身の先が絹の上を滑った。それは鋭敏になった身体には過ぎた刺激だった。

 「ひいっ――! ひ、ひッ、イ、ァ゙、ア゙ア゙ア゙! ァ゙ぎっ! ごふッ、ひゅオッ、ァ――! ッ゙!゙!゙」

 ずぼ、ぶぢゅ、とねばついた水音の後ろで、ぬちゅぬちゅと粘液をかき混ぜるような音がする。その度にウォルターは口端から涎を垂らしてクッションに指先を埋めて白くした。

 ウォルターが呼吸を詰まらせる度、その苦しさを表すように身体は咥え込んだ雄を締め付ける。それは締め付けられる側からしたら、とても良い“具合”だった。グルグルと、無意識に喉が鳴っていた。

 「ん゙……、ふ、ァ゙……! ゔあ゙、あ゙……!」

 胎の中でスッラの熱が今一度硬く熱くなるのをウォルターは感じた。

 「――は、」

 「――~~~~~ッ!!」

 意識が白く焼けたのは、ほぼ同時だった。

 ぎゅぼ、と半ば捩じ込まれるように、猛々しい雄が最奥を穿ってふるえた。そこからだくだくと灼熱があふれ、注ぎ込まれ、ウォルターはがりがりと手に触れるものを引っ掻いて傷を残す。ウォルターの半身がばしゃばしゃと潮を噴いていたけれど、構っていられなかった。快楽の大波に呑まれまいといくら藻掻こうと、背中に置かれた獣の前肢が逃げることを許さない。

 「~~~ッ! はッ、ァ、……っ、ぁ――っ!」

 流し込まれる熱は指では到底届かない場所を浸し、そして襞の隙間を埋めるようにして外へあふれ出そうとする。だくだくと、波々と、どくどくと、欲は際限が無かった。

 くぱ、くぷ、とひくつく孔の縁から白濁が流れ出かける。それを、スッラは更に身体を寄せることで防ごうとした。おそらく、本能からの動きだった。

 胎を貫かれ、熱を注がれて、ウォルターの身体はびくびくかくかくと跳ねる。その上に覆い被さっているスッラには、朱くなった首が、よく見えた。

 獣の口吻が、開かれる。

 「んいッ――!? ひ、ァ……っ?」

 がぶり、とスッラはウォルターの首に噛み付いた。

 血は溢れなかった。代わりに、とぷとぷとシロップのような透明な液体が溢れ出した。噛み心地もまたふかふかとしていてスッラは二度三度と口を離さずに噛む。溢れたシロップがスッラの口許やウォルターの肌を濡らした。

 ウォルターに痛がる様子はなかった。むしろうっとりと熱っぽい息を吐いていた。たぶん、このままスッラに食われたとて、ウォルターは文句の一つも言うことはないだろう。

 噛んで貫いてのし掛かって、スッラはしばらくウォルターの上でそうしていた。

 気が済んだのは、ようやっと熱が落ち着いて、残滓も胎へ残すようにふるりと身体がふるえた頃だ。

 噛んでいた首元を放し、肉の輪に嵌め込んでいた楔をゆっくり腰を引いて抜いていく。こぷり、と白濁の逆流する音が小さくした。

 「ふぁ……ァ、ふぅ、っん……、」

 スッラの熱が抜け出ると、ウォルターは上げていた下肢をずしゃりと崩した。その身体の下にあった絹地やクッションの端はぐしょぐしょに濡れていた。

 少しだけ身体を横にして、とろけた眼でスッラを見上げる。溢れるほど欲を注がれた腹が、薄くふくらんでいるような気がした。

 「は、ぁふ、んん……」

 てらてらと濡れ光るくちびるに誘われて口付けをする。軽く触れ合わせて、そして互いの口許をぺろぺろと舐めるくらいの、じゃれ合いのような口付けだ。

 そうしてスッラは、そのままうつらうつらとし始めるウォルターの身体の下へ、クッションを押し退けて身体を押し込んだ。スッラの腹の辺りにウォルターがもたれかかるようなかたちだ。くるりと身体と尾を丸くすれば、大きなクッションに埋もれるのと大差無くなる。ウォルターは少しの間もぞもぞと動いていたけれど、やがて良い場所を見つけたのか大人しくなった。ツイと首を回して見下ろせば、穏やかな寝顔がもうそこにあった。

 くあ、とスッラもあくびをひとつこぼす。心地良い疲労感とうつくしい光の庭園にまぶたが重たくなる。夢の中で夢は見られるのだろうか。そんなことがふと頭を過ったがすぐに木漏れ日の中へ溶けていった。ゆっくりとまぶたが閉じる。

 暗転。


 「――、」

 もぞりと何かが側で動いて、ぬくもりが離れていく感覚。

 スッラはそれを引き留めようと――引き留めなければいけない気がして――手を伸ばして、触れたものをそのまま掴んだ。

 それを、スッラは確かに“掴んだ”。


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