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ア社堕ちウォルでモブウォル

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 新V.Ⅷウォルター。ルビコンでの動乱の後、ヴェスパー部隊の末席に加えられた加工済みの男。調整が未だにこうして行われているのは不安定なのか何なのか。
 簡素なベッドに寝かされたウォルターを、その調整の人手として呼びつけられた一般隊員の男は見下ろしていた。
 薬剤とコーラルの混ざった溶液から引き上げられた身体はしっとりと濡れている。義肢の外された身体は小さく、軽そうに見える。
 良い、ご身分だ。
 まぶたを閉じたウォルターを見ながら男は思った。すこし、気が立っていたのだ。連日の雑務で睡眠時間どころかプライベートな時間が減っていた。
 噂によるとウォルターは社の備品らしい。貴重な生体パーツだか生体サンプルだとか。
 その時の男の思考は鈍っていた。だから「社の備品なら自分が使ったとて構わないのでは?」なんて考えに至ったのだ。
 ベッドの上に乗り上げる。ギシリと軋む音がやけに大きく聞こえた。
 支給品のパイロットスーツを脱いで、ウォルターへ手を伸ばす。背中とベッドの間に手を差し入れて、その身体を抱え起こすと、やはりそれは軽かった。濡れたままの肌が、ひんやりと体温を吸う。
 身体を自分にもたれ掛からせて、臀部に手を伸ばす。掴んだ尻は小ぶりで肉が薄かった。
 双丘を割り開いて後孔へ指を差し入れる。硬い。何か良いものは無いかと辺りを見回すと、ベッドの側のテーブルに、保湿用と思われるワセリンの容器が置かれていた。迷わずそれを手に取り蓋を開ける。
 油分の力を借りてぐにぐに後孔をほぐしていく。腰に熱が集まっているのが分かる。ウォルターはまだ眠っているようだったが、身体への刺激に時折声が漏れていた。緩やかに兆している性器が、ウォルターの「生」を感じさせた。
 指が3本入るようになると、男は孔をほぐすのを止めて自身の性器を扱いて起たせた。
 孔にあてがい、持ち上げたウォルターの腰をゆっくり下ろしていく。さながら、オナホールに陰茎を挿れる時のようだ。
 だが、無機物とは比べ物にならない。
 締め付け、熱さ、動き。すべてが淫靡で、すべてが極上だった。
 思わず熱の籠った息を吐く。
 と同時に、耳元でウォルターの呻き声が聞こえた。今までのものとは違う、茫洋としながらも意識のある声だ。
 「んっ……ぅ……? なに……なん、だ……?」
 男は焦った。叫ばれ、暴れられでもしたら厄介だ。四肢がないとは言え相手は強化人間。どうする。どうする――と、そこでふと、時折同僚たちが口にしていた与太話を思い出した。
 「――き、企業のため。企業のためですよ。隊員の性処理は、企業の利益を生むために必要なパフォーマンス向上プロセスです」
 企業のため。ウォルターはその言葉に弱く、チラつかせてやればどんな要求にも応えてくれるのだ、等と。
 半信半疑ではあった。
 そしてその結果は――。
 「きぎょう……、の、ため……。っぁ、ん……、わかっ、た……。おれ、を、つかって、くれ」
 嘘だろう。
 男は賭けに勝った自分に驚いた。覚醒しきっていないだろう意識で、そのまま身体を預けてくるウォルターにも驚いた。
 緊張と苛立たちにささくれていた胸中に、僅かに余裕が生まれる。
 「……ウォルター隊長って意外といやらしいんですね。企業のためならオナホにもなってくれるなんて……俺、知りませんでしたよ」
 「ぁん、あっ、ふぁ……っ、俺、ぁ、ちが、そんな……いやらしく、なんて、ぇ、」
 「いやらしいですよ。俺のちんこきゅうきゅう締め付けて、ぐねぐねうねって搾り取ろうとしてる」
 「あう……、ぁ、言う、な、言わないで、くれ、ぉれ、そんな、つもり、っ、ぁ、あ――」
 とちゅとちゅ。ぱちゅぱちゅ。ゆさゆさ、ぎしぎし。室内に淫らな音が響く。
 男は道具を扱うみたいにウォルターの腰を掴んで上下に揺する。好き勝手胎を突き刺されて揺すられて、ウォルターは覚めきらない意識で夢見心地に喘ぐ。調整用コーラルによる酩酊が、長引いていた。
 「んあ、あ、ふぁ、んん……!」
 とろとろに溶けたウォルターの声に頭が侵される。男は夢中になってウォルターを使った。揺すって突いて、舐めて噛んだ。
 そうしてどぷりと、しっかり欲を吐き出した。
 「――っ、はっ、ぁー…………ふぅ」
 満ち足りた息を男は吐く。こころもからだもスッキリさっぱりとした心地だ。
 同時に、腕の中の存在が頭を占める。なんて素晴らしい備品だろう。病みつきになってしまう。くたりと脱力した身体を撫で擦りながらくふくふ笑い声を漏らす。知らぬ間に達していた陰茎と白濁すら可愛らしい。汚された身体のことなど気にならなかった。
 だが男は――気付いていなかった。自身の背後に立つ人影に。調整中の社の備品(ウォルター)を勝手に使うことが、どのような処分対象になるのか。
 末端の一兵卒である男は知らなかったのだ。男一人分の戦力など、アーキバスではいくらでも交換と補充が利くことも含めて。

 男の行方は、誰も知らない。

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ア社堕ちウォルとル解生存ifウォル(!?!?!?)
三次創作というヤツになるはず……。

足し算です。not掛け算。
強いて言うなら部下ウォル(ア社堕ちサイド)とスラウォル(ル解生存ifサイド)前提のウォルとウォル。

思いの外長くなったので単品で。

完全に出来心。おれだけたのしい✌(’ω’✌ )三✌(’ω’)✌三( ✌’ω’)✌
たのしかったので(組み合わせ変えたりして)またやりたいと思っ( ‘д‘⊂彡☆))Д´)

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 目の前の男を、ウォルターは目を丸くして見下ろした。
 そこには大きなクッションと、それに身体を預ける四肢の無い男がいた。クッションの上の男は、ウォルターのように――しかし随分おさない目付きで――目を丸くしてウォルターを見上げていた。
 何よりウォルターが驚いたのは、その男がウォルターによく似ていたからだった。纏う空気はだいぶ違っていたけれど、顔はそのものだった。色の無い髪、コーラルの瞳、そして――四肢の義肢用接続器。ゆるやかな服を纏っていても、覗く表面や浮き出る形で分かる。ウォルターも“同じ”だから。
 「……だぁれ?」
 その問いかけにウォルターは目を細める。声も同じだ。纏う空気と同じく、幼いものだけれど、それは間違いなく“ウォルターの声”だった。
 「……すっら、どこ? かーら? ろくにーいち? えあ?」
 もそもそとクッションの上で身をよじる。周りにひとを探して、誰の姿も返事も無いと徐々に理解してその目が不安に揺れ始める。
 「み、みしがん? ちゃてぃ? おきーふ?」
 どこ? いないの? と周囲を見回す迷子が挙げた名前にウォルターは、やはり目を細める。
 男が挙げた名前――特に、最後に挙げた名前は、それは、それを、どうしてお前が呼ぶ? とウォルターは警戒する。オキーフという名前は、ウォルターの属する組織でも重要な位置にいる人物と同じ名前だ。仮にこの男が呼ぶ「オキーフ」と別人だとしても、その確証が得られるまでは油断すべきでないと判断した。
 ウォルターは優しげな顔を作って男の前にしゃがんだ。
 「……お前、名前は? 俺はウォルターと言う。相手に名前を訊くときは自分から名乗るものだ」
 「うぉるたー? おんなじだ? おれもね、なまえ、うぉるたー」
 自分を覗き込むウォルターをまっすぐに見つめ返して男――もうひとりのウォルターは目を瞬かせた。きれいな、しかし澄み過ぎて何処を何を見ているか掴みきれない目に映されてウォルターは息を呑む。だが、相手はその動揺に気付かなかったらしい。ふ、と笑うように息を吐いて、ウォルターは「そうか」と答えた。
 「そうか。ではウォルター、お前は何者だ? オキーフ、という人物との関係は?」
 相手を怖がらせないよう、警戒させないよう、親しげにウォルターは訊く。
 ウォルターの読み通り、相手は穏やかに尋ねるウォルターを警戒する様子もなくクッションの上で小首を傾げた。
 「おれ……、おれ、は、おれ? おきーふはね、おきーふだよ。だいにせだいでね、ときどききてくれる」
 V(ヴェスパー).Ⅲ.オキーフは元第二世代だ。今現在生存している旧世代型は少ない。偶然の一致、ではないだろう。
 時々来てくれる、か。最悪の場合、オキーフを「調べる」必要がある。それは少なからずオキーフに気に掛けてもらっているウォルターとしてはあまり気分のいいものではない。
 できることなら、それは避けたい。ウォルターは思考を巡らせる。そこで、自分が先進局帰りで義肢の予備を持っていることを思い出した。
 「……?」
 見たところ、「ウォルター」の義肢接続器はアーキバスのものだ。それも謎であるけれど――ならば使えるだろう、とウォルターは思った。
 カチャカチャとケースを開き、中身を取り出すウォルターを、もうひとりのウォルターは子供のような目で見ていた。
 けれど。
 「ぃっ……!? ゃ、やだッ……! それっ、やッ……ァ゙、」
 ウォルターが何をしているか、しようとしているのか、理解する時にはもう遅かった。身体を捩って距離を取ろうとするも、ウォルターは「本物」のように働く手足でウォルターの身体を押さえ付けて予備の義肢を着けていってしまう。
 義肢に、ウォルターはケーブルを繋げていた。つまり義肢を媒介に、「ウォルター」の情報を回収することができる。
 そして「ウォルター」は、自分の情報が抜かれるとか何か「外」のものが入り込んでくる感覚が分かるのだろう。繋げられていく義肢を拒絶した。
 「や、ぁ……! ゃだ、これッ、はずし、はずして……っ」
 装着――否、繋げられただけで動作はしない義肢がサリサリとクッションを擦る。抵抗ですらない。それは「ウォルター」も理解しているようだった。
 幼い目元が潤み始める。
 「やだあ……! たす、たすけ、て、」
 そしてこぼされた言葉に、ウォルターは腹の底がカッと熱くなるのを感じた。
 ――助けて、など。助けて欲しいなど、その顔で、その口で、その声で、言うんじゃない。助けなんて求めるな。俺は、“ウォルター”は、助けられてなどいけないのだ。自分のために救いを求めてなどいけないのだ。
 ウォルターは無意識のうちに奥歯を噛み締めていた。細められた目は忌々しげだった。
 「データ」を抜いてから確認しようと思っていたけれど、気が変わった。ウォルターは「ウォルター」を直接覗くことにした。
 「ぅぐ――!?」
 ケーブルを伝って「何か」が入り込んでくる感覚に「ウォルター」は目を見開いた。
 頭の中を吸い出される感覚とは別に、もっと何か大きいものが入り込んで直接触れて掻き回していくような感覚。普段は穏やかであることが多く、また良くも悪くも変化の少ない表情がぐしゃりと歪む。
 「カハッ――ぅえ゙ッ、ふうっ、ゔ……、ぎ、ぅ、カヒュッ、や゙ぅ゙、ぅ゙ぅ゙……!」
 「……っ、」
 対するウォルターもまた表情を険しいものにしていた。「ウォルター」が、抵抗してきたのだ。
 まさか「ウォルター」が抵抗できるとは思っていなかったウォルターは驚異的と言える速度で押し返されていくプログラムを急いで補強、再展開していく。
 「ゃゔぅ゙……!」
 クッションの上でけふけふ噎せている姿からは信じられない技術だ。
 だがそれでも、少しずつ「裏口」から「ウォルター」の情報を集めていく。子供らしい素直さで、「ウォルター」は正面のウォルターにばかり集中していた。
 「ウォルター」の過去が、断片的に見えてくる。それはやはり、奇妙なものだった。
 見たことのあるような景色、音。しかしそれをウォルターが知っているはずはない。だってウォルターはこのルビコンⅢで争乱に巻き込まれ、アーキバスに救われたのだから。それなのに。なのに、何故だろう。「ウォルター」の記憶は、見たことのある景色や音ばかりだった。
 例えばそう、この強化手術の風景とか――……手術? これは、強化手術の風景か? 再教育センターで、下準備をされることが? 自分はファクトリーで加工されただろうか。今、どうして自分はこれがファクトリーの風景だと思った? 行ったことはないはずなのに。
 ……HAL。ああ、HAL。HAL826。愛機だ。なぜ「ウォルター」も乗れる? 否。HAL826は一機しかいないはずだ。ならばこのHALは何だ? 成層圏を越えて、ザイレムへ行って――ザイレム? ザイレムとは、この巨大な船のことか? 否。俺は、何故この船を「ザイレム」と呼んだ? 知っている……のか? 否。否、知らない。知るわけがない。俺が。俺は、知らない。ザイレムなど、621など、知らない。俺は、俺の使命は、違う、使命じゃない。命令だ。企業の命令だ。俺がまっとうすべきなのは。
 「……ぐ、ぅ……!」
 「カハッ――ヒュッ、ぅあ゙、」
 バツンッ! と何かが弾けるような音がして視界が白くなる。あまりの負荷に強制シャットダウンが起きたのだ。「ウォルター」が声無き悲鳴を上げていた。
 「――、」
 ウォルターは、意識を失う直前――暗闇に身を委ねようとした直前に、大きな手のひらが自分に向かって伸びてくるのを“初めて”見た。

 そして、目蓋を開けば真白い光が目を焼いた。

 

(「隊長! 大丈夫ですか! 先進局帰りに倒れられたと聞きましたが!」「医務室へ行きますか。先進局は……あまりお勧めしたくありませんが……」「ああっそんなまだ安静にしていた方がいいですよ!」「……えっオキーフさんのところへ? へ?」「あっ、まっ、お待ちくださいウォルター隊長!」)

(「? どうした、嫌な夢でも見たか? ……うん? アーキバス……の、ウォルターが嫌? お前とは別のウォルター? が、お前にハッキングを仕掛けてきた? ……。大丈夫だ。少なくとも今ここに「アーキバスのウォルター」はいない。大丈夫だ。私がいる」「……」「れっ、レイヴン、アーキバスは壊滅状態です、あなたが壊滅させました! 侵入の痕跡もありませんし、周辺ネットワークへのアクセス記録もありません! 落ち着いてください!」「オキーフとやらも、今のアーキバスにウォルターって職員は居ないってさ」「連絡が早いな灰かぶり。……だがそれならやはり夢か? それにしては随分な取り乱しようだが……」)

 

交わる枝先
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